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お嬢様は鬱陶しいようです
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「うるさい!」「うるさい!」
ヴィヴィアナが歌い始めたところを狙ったかのように怒鳴り声が聞こえ、遮られてしまった。まるで吠えるように聞こえるその声がだれであるかすぐに分かった。この冬の間、他の使用人たちは彼女と距離を置いたというのに、たった一人噛みついてきた例外。――旦那様の護衛である。
折角気分がよかったのに邪魔をされて一瞬睨みそうになったが、すぐに抑えてにっこりと笑った。
「あら、どうしたのかしら?」
「お前の声はうるさいから黙れと言っている!」
旦那様とヴィヴィアナが仲良くしていることが相当気に入らないようで、毎度キャンキャンと本当に鬱陶しい駄犬だ。だがこの駄犬、冬の間に突っかかってきたのはいつも人がいない場所で、旦那様に関係する人が周りにいなかったものだから意外と嗅覚は利くのかもしれない。それにしても家令は前にこの犬を近づけさせないようにすると言っていたのに、そんなことも出来ないなんて相も変わらず無能だ。
はぁ、とヴィヴィアナは小さくため息をついた。この男はもちろんリストに載っているが、順番は後の予定だ。今はまだ、絶望の底に落とすには早いというのにこんな風に毎度噛みつかれては面倒極まりない。
仕方がない、とヴィヴィアナは目を細めた。先ほどの温和な雰囲気は一気に霧散し、ピリリと雰囲気が鋭いものに変わる。少し、躾けてやろう。
この犬は勘だけはいいのだろう。なにか感じ取ったようで睨みつけてきた。
「貴方、名前は?」
「お前に教えるか!」
別に知りたかったわけではない。その答えが欲しかった。
「答えないならそれで構わないわ。その代わり、優しいわたしが名前を付けてあげましょう」
「なにを……っ!」
「確か遠い東の国では貴方のように忠義のある犬をポチ公と呼ぶそうよ。ああ、いい名前。今日からポチと呼んであげるわ」
犬でも馬鹿にされていることは分かったようだ。顔を真っ赤にしている。沸点が低いものを挑発するのは愉快だ。ヴィヴィアナは煽るように続けた。
「ポチのお兄様、確かもうお亡くなりになっているわよね? 旦那様の叔父様との戦いのときに。残念ねぇ? それで兄の代わりに旦那様を護衛しているの? 健気だこと……」
「なぜ兄貴のことを知っている!?」
「自分の屋敷に仕えているもののことはすべて知っているわよ。それとも、知っていてはいけないの?」
「弱みを握っているとでも言いたいのか? はっ、ついに本性を現したな性悪女」
「性悪だなんて酷いわ。わたしってば、こんなにも優しいのに」
だって、と声を低くして続けた。口角を上げて笑みを強める。
「――――だって、貴方の幼馴染のこと、黙ってあげているもの」
ヴィヴィアナの言葉に、男は明らかに動揺していた。今までとは違う、探るような目つきで少女をねめつける。
「な、にを……?」
「なにって、ポチの幼馴染で、旦那様の愛人のことを話しているのよ?」
「お前はなにを知っている!?」
「お前、ですって? ポチは今、誰と話しているのかわかっているのかしら?」
目の前にいるのはこの屋敷の女主人なのよ? ということは駄犬にも伝わったようだ。くっ、と悔しそうにしている。だが、プライドが邪魔をするのか二人称を改めて問うことはしないらしい。仕方がない犬だ。おすわりくらいは教えてあげるべきかもしれない。
「わたし、優しいけれど、ポチにとっては性悪なのでしょう? 本当に性格の悪いことをしてしまいそうだわ。例えば――――家令に貴方の秘めた想いを伝える、とか」
この男の一番知られたないこと。それは旦那様の愛人に懸想していることだ。誰にも言わないようにと秘めていた想いを暴かれた気分はどうだろうか?
さすがにこれにはポチも耐えられなかったようだ。気温はまだ冬に近いというのに、沸騰したかのように顔を真っ赤にさせた。
「お前になにが分かる!」
飛び掛かるガタイのいい男。そのまま掴みかかられてしまいそうに思えたが、一人の女が即座に間に立ちふさがり、一瞬で男の足を払ってそのまま背負い投げをした。ドスンと重い物が落ちる音が響く。そして地面に大の字になった男の腕の自由を足で奪ってしまった。
一瞬の出来事で、男は状況を理解することが出来ず、目を丸くしていた。そしてそのまま自分を拘束する女――カーニャを睨みつける。
「離せぇ!」
「これではおすわりではなくなってしまったわね」
「……申し訳ありません」
「いいえ、カーニャ、上出来よ」
吠える駄犬は無視されてことにまた腹が立ったようだ。じたばたと暴れている。しかし、女性の中では長身のカーニャは力が強く、ポチとは違ってきちんと人の仕組みを知って拘束しているいるので抜け出せるわけがない。
「こんなことして楽しいのか!? この性悪!」
「ポチにとって性悪なのだから、この気持ちは楽しいのかもしれないわね? ああ、このまま家令に突き出してしまおうかしら? わたしを襲った暴漢だと。――――それとも、さっきの件を伝えてもいいわね」
「くっ、お前になにが分かる!」
先ほどと同じ言葉で怒鳴るポチ。それは自分の幼馴染にずっと想いを寄せていたのに、旦那様にかっさらわれた気持ちのこと? それとも尊敬する兄の大事な主だからと護衛を続けているが、本当は愛人との様子を見続けるのが辛いこと? それが分かるかとヴィヴィアナに聞くのだろうか? 他ならぬこの犬の幼馴染であり旦那様の愛人であるあの女が同じことをしたと知らないのだろうか? 自分だけが悲劇の主人公になった気分だなんて、自己中心的な男だ。
ヴィヴィアナはしゃがみ込み、駄犬の顔を覗き込んだ。未だに睨むこの犬をこのまま消してしまいたくなる。けれど、それだけでは後々もっと追い込んでおけばよかったと後悔するのが目に見えている。
「いいこと? 聞きなさい、この駄犬。わたしは犬の気持ちなんて分かりたくないわ。今後その言葉をわたしに向けたら、自分がどうなるかそのひ弱な筋肉しか詰まっていない脳でよく考えることね」
カーニャに合図をすると、そのまま脳を揺らすアッパーカットが決まり、ポチの意識はなくなった。この脅しでこれからは静かになるだろう。この駄犬が一番隠しておきたい秘密をこちらが握っているのだから。
折角楽しい気持ちできたピクニックは終わりだ。お気に入りの場所で過ごすにも近くの地面にのびた犬がいては気分は害されるだけだ。仕方がないから部屋でパイを食べよう。
ポチを放置してそのまま自室に戻った。風邪くらいは引くだろうが、知ったことはない。
それから気分が上がることもなく、夕飯の時間になった。その間はなにもする気も起きず、ただ無為に時間を過ごした。黙らすためとはいえ、あの犬の相手をするのは疲れる。
夕飯の時間になってヴィヴィアナは着替えさせてもらった。これからまた旦那様の相手をしなくてはいけない。気持ちを切り替えなくては。――――今のわたしは、『旦那様を愛する妻』だ。
「お待たせいたしました」
珍しく旦那様が先に食堂に着いていたようだ。向かいの席に腰を下ろす。どうやら楽しいことでもあったのか、表情にそれがにじみでている。食前酒をそろって口にすると、その時を待っていたかのように話し始めた。
「ソイニは本当に優秀だ」
そんな言葉から始まった旦那様の言葉を、ヴィヴィアナはまぁ、と驚いたように返した。
「今年の春からの予算を見させてもらったが、前年のものよりもずっと見やすいし、まとまっている。それに加えて今まで無駄だった部分を全てそぎ落としているからコストがだいぶ減っていた。承認印が必要だからと解説を頼んだらひとつ残らず端的に話してくれた。その後は今の領地の状況や収益、支出、それぞれを見たが、どれも新しいことばかりで楽しかった」
「それはなによりですわ。お疲れ様です」
「ありがとう。覚えることばかりで疲れはしたが、父や兄たちに少し近づけたようで嬉しい」
普段はお互いに大体同じくらいの話をするが、今日はずっと旦那様が楽しそうに仕事について語っていた。記憶をなくす前から仕事人間だったが、今の様子を見るに元々その素質があったのかもしれない。メインディッシュを食べるころまでそれは続いた。
そして今日のメインである肉料理が運ばれてくる。説明を聞くと、特選フィレ肉のパイ包み焼きのようだ。プレートに載ったパイをナイフで切ると、中から濃厚ソースに絡まった柔らかい肉が出てくる。フォークに少し取って口に入れると、肉汁が口の中で広がって美味しい。
「この料理は初めて食べますわ」
「確かに初めて見るが、中々美味しい」
旦那様と二人で品評する。普段ヴィヴィアナが食べている料理はユリィが作ったものだ。旦那様と食事が同じ時間であっても苦手なものが多いと言い訳して旦那様とは別にユリィが作ったものを食べているが、今日は彼女がたまたま時間がなくて料理人に任せたのだ。初めて食べて当然である。
「そういえば、今日は同じ料理だな」
「ええ、いつも任せています侍女に頼みごとがあったものですからわたしの分も旦那様の料理人にお任せしたのです」
「そうか、味はどうだ?」
「苦手なものは事前に伝えておりましたので美味しくいただけましたわ。これからのデザートも楽しみです」
ヴィヴィアナは嬉しそうに笑った。
そしてメインディッシュを終え、デザートまで食べて満足すると、旦那様の給仕をしていた家令に声をかけた。
「今日の料理、とても満足したわ。ユリィの負担が減るから、これからもお願いしたいの。だから、料理人を呼んでくださる?」
「畏まりました」
頭を下げて部屋を出ようとする家令にああ、と思い出して付け加える。
「わたしが呼んでいた、ときちんと伝えてちょうだいね」
ヴィヴィアナが歌い始めたところを狙ったかのように怒鳴り声が聞こえ、遮られてしまった。まるで吠えるように聞こえるその声がだれであるかすぐに分かった。この冬の間、他の使用人たちは彼女と距離を置いたというのに、たった一人噛みついてきた例外。――旦那様の護衛である。
折角気分がよかったのに邪魔をされて一瞬睨みそうになったが、すぐに抑えてにっこりと笑った。
「あら、どうしたのかしら?」
「お前の声はうるさいから黙れと言っている!」
旦那様とヴィヴィアナが仲良くしていることが相当気に入らないようで、毎度キャンキャンと本当に鬱陶しい駄犬だ。だがこの駄犬、冬の間に突っかかってきたのはいつも人がいない場所で、旦那様に関係する人が周りにいなかったものだから意外と嗅覚は利くのかもしれない。それにしても家令は前にこの犬を近づけさせないようにすると言っていたのに、そんなことも出来ないなんて相も変わらず無能だ。
はぁ、とヴィヴィアナは小さくため息をついた。この男はもちろんリストに載っているが、順番は後の予定だ。今はまだ、絶望の底に落とすには早いというのにこんな風に毎度噛みつかれては面倒極まりない。
仕方がない、とヴィヴィアナは目を細めた。先ほどの温和な雰囲気は一気に霧散し、ピリリと雰囲気が鋭いものに変わる。少し、躾けてやろう。
この犬は勘だけはいいのだろう。なにか感じ取ったようで睨みつけてきた。
「貴方、名前は?」
「お前に教えるか!」
別に知りたかったわけではない。その答えが欲しかった。
「答えないならそれで構わないわ。その代わり、優しいわたしが名前を付けてあげましょう」
「なにを……っ!」
「確か遠い東の国では貴方のように忠義のある犬をポチ公と呼ぶそうよ。ああ、いい名前。今日からポチと呼んであげるわ」
犬でも馬鹿にされていることは分かったようだ。顔を真っ赤にしている。沸点が低いものを挑発するのは愉快だ。ヴィヴィアナは煽るように続けた。
「ポチのお兄様、確かもうお亡くなりになっているわよね? 旦那様の叔父様との戦いのときに。残念ねぇ? それで兄の代わりに旦那様を護衛しているの? 健気だこと……」
「なぜ兄貴のことを知っている!?」
「自分の屋敷に仕えているもののことはすべて知っているわよ。それとも、知っていてはいけないの?」
「弱みを握っているとでも言いたいのか? はっ、ついに本性を現したな性悪女」
「性悪だなんて酷いわ。わたしってば、こんなにも優しいのに」
だって、と声を低くして続けた。口角を上げて笑みを強める。
「――――だって、貴方の幼馴染のこと、黙ってあげているもの」
ヴィヴィアナの言葉に、男は明らかに動揺していた。今までとは違う、探るような目つきで少女をねめつける。
「な、にを……?」
「なにって、ポチの幼馴染で、旦那様の愛人のことを話しているのよ?」
「お前はなにを知っている!?」
「お前、ですって? ポチは今、誰と話しているのかわかっているのかしら?」
目の前にいるのはこの屋敷の女主人なのよ? ということは駄犬にも伝わったようだ。くっ、と悔しそうにしている。だが、プライドが邪魔をするのか二人称を改めて問うことはしないらしい。仕方がない犬だ。おすわりくらいは教えてあげるべきかもしれない。
「わたし、優しいけれど、ポチにとっては性悪なのでしょう? 本当に性格の悪いことをしてしまいそうだわ。例えば――――家令に貴方の秘めた想いを伝える、とか」
この男の一番知られたないこと。それは旦那様の愛人に懸想していることだ。誰にも言わないようにと秘めていた想いを暴かれた気分はどうだろうか?
さすがにこれにはポチも耐えられなかったようだ。気温はまだ冬に近いというのに、沸騰したかのように顔を真っ赤にさせた。
「お前になにが分かる!」
飛び掛かるガタイのいい男。そのまま掴みかかられてしまいそうに思えたが、一人の女が即座に間に立ちふさがり、一瞬で男の足を払ってそのまま背負い投げをした。ドスンと重い物が落ちる音が響く。そして地面に大の字になった男の腕の自由を足で奪ってしまった。
一瞬の出来事で、男は状況を理解することが出来ず、目を丸くしていた。そしてそのまま自分を拘束する女――カーニャを睨みつける。
「離せぇ!」
「これではおすわりではなくなってしまったわね」
「……申し訳ありません」
「いいえ、カーニャ、上出来よ」
吠える駄犬は無視されてことにまた腹が立ったようだ。じたばたと暴れている。しかし、女性の中では長身のカーニャは力が強く、ポチとは違ってきちんと人の仕組みを知って拘束しているいるので抜け出せるわけがない。
「こんなことして楽しいのか!? この性悪!」
「ポチにとって性悪なのだから、この気持ちは楽しいのかもしれないわね? ああ、このまま家令に突き出してしまおうかしら? わたしを襲った暴漢だと。――――それとも、さっきの件を伝えてもいいわね」
「くっ、お前になにが分かる!」
先ほどと同じ言葉で怒鳴るポチ。それは自分の幼馴染にずっと想いを寄せていたのに、旦那様にかっさらわれた気持ちのこと? それとも尊敬する兄の大事な主だからと護衛を続けているが、本当は愛人との様子を見続けるのが辛いこと? それが分かるかとヴィヴィアナに聞くのだろうか? 他ならぬこの犬の幼馴染であり旦那様の愛人であるあの女が同じことをしたと知らないのだろうか? 自分だけが悲劇の主人公になった気分だなんて、自己中心的な男だ。
ヴィヴィアナはしゃがみ込み、駄犬の顔を覗き込んだ。未だに睨むこの犬をこのまま消してしまいたくなる。けれど、それだけでは後々もっと追い込んでおけばよかったと後悔するのが目に見えている。
「いいこと? 聞きなさい、この駄犬。わたしは犬の気持ちなんて分かりたくないわ。今後その言葉をわたしに向けたら、自分がどうなるかそのひ弱な筋肉しか詰まっていない脳でよく考えることね」
カーニャに合図をすると、そのまま脳を揺らすアッパーカットが決まり、ポチの意識はなくなった。この脅しでこれからは静かになるだろう。この駄犬が一番隠しておきたい秘密をこちらが握っているのだから。
折角楽しい気持ちできたピクニックは終わりだ。お気に入りの場所で過ごすにも近くの地面にのびた犬がいては気分は害されるだけだ。仕方がないから部屋でパイを食べよう。
ポチを放置してそのまま自室に戻った。風邪くらいは引くだろうが、知ったことはない。
それから気分が上がることもなく、夕飯の時間になった。その間はなにもする気も起きず、ただ無為に時間を過ごした。黙らすためとはいえ、あの犬の相手をするのは疲れる。
夕飯の時間になってヴィヴィアナは着替えさせてもらった。これからまた旦那様の相手をしなくてはいけない。気持ちを切り替えなくては。――――今のわたしは、『旦那様を愛する妻』だ。
「お待たせいたしました」
珍しく旦那様が先に食堂に着いていたようだ。向かいの席に腰を下ろす。どうやら楽しいことでもあったのか、表情にそれがにじみでている。食前酒をそろって口にすると、その時を待っていたかのように話し始めた。
「ソイニは本当に優秀だ」
そんな言葉から始まった旦那様の言葉を、ヴィヴィアナはまぁ、と驚いたように返した。
「今年の春からの予算を見させてもらったが、前年のものよりもずっと見やすいし、まとまっている。それに加えて今まで無駄だった部分を全てそぎ落としているからコストがだいぶ減っていた。承認印が必要だからと解説を頼んだらひとつ残らず端的に話してくれた。その後は今の領地の状況や収益、支出、それぞれを見たが、どれも新しいことばかりで楽しかった」
「それはなによりですわ。お疲れ様です」
「ありがとう。覚えることばかりで疲れはしたが、父や兄たちに少し近づけたようで嬉しい」
普段はお互いに大体同じくらいの話をするが、今日はずっと旦那様が楽しそうに仕事について語っていた。記憶をなくす前から仕事人間だったが、今の様子を見るに元々その素質があったのかもしれない。メインディッシュを食べるころまでそれは続いた。
そして今日のメインである肉料理が運ばれてくる。説明を聞くと、特選フィレ肉のパイ包み焼きのようだ。プレートに載ったパイをナイフで切ると、中から濃厚ソースに絡まった柔らかい肉が出てくる。フォークに少し取って口に入れると、肉汁が口の中で広がって美味しい。
「この料理は初めて食べますわ」
「確かに初めて見るが、中々美味しい」
旦那様と二人で品評する。普段ヴィヴィアナが食べている料理はユリィが作ったものだ。旦那様と食事が同じ時間であっても苦手なものが多いと言い訳して旦那様とは別にユリィが作ったものを食べているが、今日は彼女がたまたま時間がなくて料理人に任せたのだ。初めて食べて当然である。
「そういえば、今日は同じ料理だな」
「ええ、いつも任せています侍女に頼みごとがあったものですからわたしの分も旦那様の料理人にお任せしたのです」
「そうか、味はどうだ?」
「苦手なものは事前に伝えておりましたので美味しくいただけましたわ。これからのデザートも楽しみです」
ヴィヴィアナは嬉しそうに笑った。
そしてメインディッシュを終え、デザートまで食べて満足すると、旦那様の給仕をしていた家令に声をかけた。
「今日の料理、とても満足したわ。ユリィの負担が減るから、これからもお願いしたいの。だから、料理人を呼んでくださる?」
「畏まりました」
頭を下げて部屋を出ようとする家令にああ、と思い出して付け加える。
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