悪役令嬢のはずなのに!?〜いつのまにか溺愛ルートに入ってたみたいです〜

Yun*

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幼少期編・続

二人の誕生日

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ケーキ店を出た馬車は雑貨店の前でとまった。

この雑貨店はアンティークショップで
ティアナが幼い頃から愛用している。

馬車を見た
顔馴染みの店主がお出迎えに来てくれる。

「お誕生日おめでとうございます」
店主は私とオッドを交互に見る。

「ありがとう」
「?」
オッドはきょとんとしたが私は笑顔でお礼を言った。
店主は誕生日を覚えてくれていた。


カタログが置かれた応接室に通されると
お茶を用意してくるた。
ギルは私の隣にぴったりくっ付いて座り
オッドは後方に待機している。

お茶を飲みながら待っていると、
店主が大きなジュエリーボックスを持ってきた。

「オッド、こっちきて!」
オッドを手招きして呼ぶと
興味なさそうにやって寄ってくる。

興味のなさそうな顔で
店主が持っていた
ジュエリーボックスを除きこむと

「?」
予想外のものが入ってたことに
オッドの顔が点になった。

ジュエリーボックスの中には懐中時計が並んでいる。


懐中時計には魔法が付加されている。

魔法の性能によって
"人" が "物" を選んで買物をする事が多いが
高品質の物は "物" が "人" を選ぶ事もある。

この懐中時計は一個一個が手作りで
いろんな複合魔法が組み込まれていて
世界に二個と存在しない。

使い手によって与えられる魔法は異なり
手をかざし魔力を少し流すと
相性が良いものは光り輝くのだ。


「ね、手を添えてみて」
固まるオッドに声を掛ける。

オッドはおそるおそる手をかざした。

ぱぁっ
懐中時計のひとつが光を放ち出し
オッドは無意識に時計を手に取った。

オッドは手に取った時計を見るめる。

懐中時計は
夜空のように青く白く輝いていた。


私が寝ている間に
オッドが上級魔法に合格したと聞いて
お祝いのプレゼントを用意しようと考えていた。

3ヶ月程前にこの店にお父様と下見に訪れ
店主にプレゼントを見に来た事を伝えると
誕生日お祝いかと尋ねられた。

その時、気づいたのだ。

オッドは誕生日も教えてくれない。
だから、お祝いもしたことがなかった。



「誕生日プレゼントよ」

懐中時計を見つめていたオッドは
私の声にはっと顔を上げた。

「誕生日?」
オッドは困惑した視線を向ける。

「オッドは自分のこと
 何にも教えてくれないじゃない?
 だから
 オッドと出会った"今日"を
 オッドの誕生日にしたの。」

私の言葉に
オッドはポカンとした顔をする。

「これからは、
 私の誕生日に一緒にお祝いしよう。」

オッドは
はっと意識を戻すと

「そんなの必要ない。」
暗い顔でつぶやいた

「なぜ必要ないの?」
私もすかさず返す

「誕生日なんて無くていい・・」

オッドは自分を探られることが嫌いだ。
こういった話題が出るたびに
芋虫をすりつぶす様に顔をゆがめ瞳を曇らす。

「私はオッドの誕生日を祝いたい。」

「だから必要ないって言ってるだろう!」
オッドは顔をイラつかせている
「俺が必要ないって言ってるんだから問題ないだろう!?」
そこにはいつもの怠惰な彼の姿はない

「なぜそんなに頑ななの?」

「関係ないだろ」

「関係あるわ」

私はずいっとオッドに近づく
「あなたはクロウド家の執事よ」

「だからって何でも話さないといけないのか!?」
オッドはもう苛立ちを隠さない

「いいえ、
 あなたにはプライバシーの権利がある」

「プライバシー?」
オッドは怪訝な顔を見せる

「自己の情報をコントロールできる権利のこと。
 話すか離さないかはあなたの勝手次第。」

「じゃあ、その権利使う。
 話さないのは俺の勝手だ。」

「なら、私ももう聞かない。
 でも
 お誕生日をお祝いするのは私の勝手よ。」

ゲームの中の悪役令嬢ティアナを思い出す。
上から目線で我儘で思い通りにならないと気が済まない女王様。
ゲームのティアナそのままに

「私、自分勝手なの。」
傲慢な笑顔で嗤った


オッドは
瞳を揺らしながら目を見開き

「…言うようになったじゃん。」
しばらくたつと
いつもの口調で笑った。
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