小助くんの小さなぼうけん

ケンタシノリ

文字の大きさ
113 / 347
小助くんと夏の出会い

雨の中で小助くんとゴロ太くんのおすもう

しおりを挟む
 小助は、お母さんといっしょに近くの畑へやってきました。これから行うのは、小助にとってもっとも楽しみにしていることです。

「わあ~い! スイカ! スイカ!」

 大すきなスイカがたくさんみのっているのを見て、小助はうれしさのあまり大はしゃぎしています。小助は、さっそく大きなはっぱにおおわれたスイカをとろうとしています。

「よいしょ! よいしょ!」

 大きなスイカを手にすると、小助はお母さんに見せようとそれをもち上げました。小さい体でもち上げる小助のすがたに、お母さんはやさしい顔つきで見つめています。

「小助くん、でっかいスイカをもってきたね」
「スイカ! スイカ!」
「それじゃあ、家へもって帰っていっしょに食べようかな」

 小助がもってきたスイカをお母さんが見ているその時、空のほうはきゅうにうすぐらい雲におおわれるようになりました。

「あらっ、雨がふり出してきたわ」
「わあ~っ! 雨だ! 雨だ!」

 お母さんが畑から近くの木の下にかくれる中、小助はうすぐらい雲のほうをながめています。そこから聞こえてくるのは、ゴロゴロと鳴るかみなりの音です。

 かみなりの音は、しだいになんどもはげしく鳴りひびくようになりました。

「ゴロゴロゴロッ……。ピシャン! ピシャーン!」

 いなびかりが光ると、かみなりの男の子・ゴロ太が空からおりてきました。小助は、ゴロ太のすがたを見てピョンピョンとびはねながら大よろこびしています。

「ゴロ太くん! おちゅもうちよう(おすもうしよう)!」
「おいおい、こんな雨の中でおすもうをするのか?」
「おちゅもう! おちゅもう! おちゅもう!」

 ゴロ太は、小助によるおすもうのおねだりにタジタジです。けれども、自分がおすもうで小助よりも強いことを見せつけたいという気もちをゴロ太はもっています。

「しょうがないなあ。おれの後についてこい!」
「わ~い! おちゅもう! おちゅもう!」

 どんなに雨がふりつづいても、小助とゴロ太はへっちゃらです。これから2人は、大きな池のそばでおすもうをとるところです。

 池にうかぶハスのはっぱの上には、カエルたちがケロケロと鳴きながらあつまってきました。カエルたちは、小助たちが今から何をするのかじっとながめています。

 小助とゴロ太は、あいての顔を見ながら向かい合っています。

「おちゅもう! おちゅもう!」
「小助! どっちが強いかしょうぶだ!」

 小助とゴロ太は、あいての体をつかんでおし出そうといっしょうけんめいになっています。じめんのほうは、ふりつづく雨で水たまりだらけとなっています。

 その水たまりに、小助は足をとられてしまいました。

「わっ! わわわっ……」
「これでどうだ!」

 ゴロ太は、これをのがすまいと一気に小助をたおそうとします。しかし、小助は何とかふんばってりょう手でがっぷりと組みあっています。

「ぐぐぐっ……。しぶといなあ」
「んぐぐぐぐっ! んぐぐぐぐっ!」

 小助とゴロ太は、がっぷり四つでなかなかしょうぶがつきません。何とかしてあいてをたおそうとおたがいに考えていた時、大きな池のそばでそろって足をすべらせてしまいました。

 池へおちてしまった小助とゴロ太ですが、すぐに水の中から顔を出しました。すると、小助はおすもうのことをわすれてハスのはっぱにいるカエルたちのほうへ近づきました。

「ぼうや、どうしてここへくるの?」
「いっちょ(いっしょ)に歌おう! 歌おう!」

 こうして、小助は雨がふりつづく中でカエルたちといっしょにケロケロと鳴き声を上げています。池から上がったゴロ太は、元気な鳴き声で歌う小助のすがたをじっとながめています。

「やれやれ、小助はすっかりあっちのほうにむちゅうになっているなあ」

 小助とカエルたちによるかわいい歌い声は、うすぐらい雨空に向かってひびきわたっています。ゴロ太とおすもうでどっちが強いのかどうか、それはまだまだ先のことになりそうです。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

まほうのマカロン

もちっぱち
絵本
ちいさなおんなのこは 貧しい家庭で暮らしていました。 ある日、おんなのこは森に迷い込み、 優しいおばあちゃんに出会います。 おばあちゃんは特別なポットから 美味しいものが出てくる呪文を教え、 おんなのこはわくわくしながら帰宅します。 おうちに戻り、ポットの呪文を唱えると、 驚くべき出来事が待っていました

はじめて言葉を話した青年

藤本夏実
絵本
言葉はどうやってうまれたかを考えたことはありますか?言葉の起源を考え、人との交わり方を気にしながら、書きました。はじめて言葉を話しだしたら、こんな感じかなと思います。

宇宙人は恋をする!

山碕田鶴
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞/奨励賞を受賞しました。ありがとうございました。】 私が呼んでいると勘違いして現れて、部屋でアイスを食べている宇宙人・銀太郎(仮名)。 全身銀色でツルツルなのがキモチワルイ。どうせなら、大大大好きなアイドルの滝川蓮君そっくりだったら良かったのに。……え? 変身できるの? 中学一年生・川上葵とナゾの宇宙人との、家族ぐるみのおつきあい。これは、国家機密です⁉ (表紙絵:山碕田鶴/人物色塗りして下さった「ごんざぶろ」様に感謝)

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

ちびりゅうと びゃっこくんの ふしぎな てんらんかい

関谷俊博
絵本
これも いつもの だましえです。タイトルは「てんらんかい」としましたが、かなり くるしまぎれです。

冒険者ではない、世界一のトレジャーハンターになる!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」宝船竜也は先祖代々宝探しに人生を賭けるトレジャーハンターの家に生まれた。竜也の夢は両親や祖父母のような世界1番のトレジャーハンターになる事だ。だが41年前、曾祖父が現役の時代に、世界に突然ダンジョンが現れた。ダンジョンの中でだけレベルアップしたり魔術が使えたりする上に、現れるモンスターを倒すと金銀財宝貴金属を落とす分かって、世は大ダンジョン時代となった。その時代に流行っていたアニメやラノベの影響で、ダンジョンで一攫千金を狙う人たちは冒険者と呼ばれるようになった。だが、宝船家の人たちは頑なに自分たちはトレジャーハンターだと名乗っていた。

瑠璃の姫君と鉄黒の騎士

石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。 そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。 突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。 大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。 記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。

処理中です...