小助くんの小さなぼうけん

ケンタシノリ

文字の大きさ
122 / 347
大きな池の向こうでぼうけん

池の中で小助くんとバケギョのぼうけん

しおりを挟む
 茶色いかいじゅうは、小助の顔をじっとにらみつけながら口をひらきました。

「どうせ、おめえはおれの口にのみこまれるだろうけどな」

 ぶきみな声を出すおそろしいかいじゅうですが、小助は新しい友だちになろうとそばによってきます。

「いっちょにあちょぼう(いっしょにあそぼう)! いっちょにあちょぼう!」

 茶色いかいじゅうは、大はしゃぎする小助のすがたにいかりがこみ上げてきました。

「おい! ふざけるのもいいかげんにしろ!」
「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」

 どんなにかいじゅうがどなりつけても、小助はいっしょにあそんでくれていると思っています。小助は、こわいかいじゅうの顔を見ながら楽しそうにわらっています。

「いいか、おれの名前はバケギョというやつだ!」
「小助! 小助! 小助!」
「おめえの名前じゃない! おれの名前はバケギョだ!」
「わ~い! バケギョ! バケギョ!」

 小助は、かいじゅうの名前をはじめて知るとうれしそうにはしゃぎながらバケギョのせなかにまたがりました。バケギョは、自分のせなかですわりながらピョンピョンしている小助をふりおとそうといきなりおよぎ出しました。

「わわわっ!」
「おれをおこらせたらどうなるか、おめえにたっぷりと思い知らせてやるぜ!」

 バケギョは、池の中をものすごいはやさでおよぎ回っています。あまりのはやさに、小助はあやうくふりおとされそうになりました。

「ぐぐぐぐぐっ……」
「ふっはっはっは! これでおわりと思ったら大まちがいだぜ!」

 ぶきみなわらい声を上げるバケギョにたいして、小助のほうもりょう手であいてのせなかにしがみついています。バケギョは小助を空中でふりおとそうと、いきおいをつけて池の中から水しぶきを上げて一気にとび出しました。

「わ~い! ちゅごい(すごい)! ちゅごい!」

 バケギョといっしょに空中にういている小助ですが、そのすがたを目にしたケモスケはすぐに大きな声でさけぼうとしています。

「小助くん! そのかいじゅうは……」

 ケモスケは、小助に何か言おうとさけび声を上げました。しかし、さいごまで言う前に小助はバケギョといっしょに水中にふたたびとびこんでいきました。

「そのかいじゅうって?」
「あれはねえ、バケギョというおそろしいかいじゅうなんだ。そのかいじゅうにはぜったいに近づいてはいけないと言われているの」

 小助をたすけたいという思いがあっても、こわいかいじゅうがいるところへはなかなか近づくことができません。そんなみんなのしんぱいをよそに、小助は水の中をあばれるようにおよぎつづけるバケギョにしがみついています。

 小助は、水中から空に向かってふたたびとび上がろうとするバケギョの頭の上にまたがるようにすわりました。そして、バケギョが池から空中に高くとび上がったその時のことです。

「プウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ!」
「うっ! おれの顔にくさいおならを……」

 空中で鳴りひびいたでっかいおならの音は、ケモスケのせなかにのっているどうぶつたちの耳に入るほどのすさまじさです。バケギョは、小助のおならこうげきによってそのまま池にたたきつけられるようにおちてしまいました。

「くそっ! おぼえてろよ!」
「またあちょぼう(またあそぼう)! またあちょぼう!」

 バケギョは、小助に何されるか分からないのでそのまま池のふかいところへさっていきました。茶色いかいじゅうの後ろすがたを見ながら、小助は手をふりながらまたあそべるのを楽しみにしています。

 池の中で大ぼうけんをくり広げた小助は、ケモスケやどうぶつの子どもたちとともに山のてっぺんからおりていきました。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

はじめて言葉を話した青年

藤本夏実
絵本
言葉はどうやってうまれたかを考えたことはありますか?言葉の起源を考え、人との交わり方を気にしながら、書きました。はじめて言葉を話しだしたら、こんな感じかなと思います。

まほうのマカロン

もちっぱち
絵本
ちいさなおんなのこは 貧しい家庭で暮らしていました。 ある日、おんなのこは森に迷い込み、 優しいおばあちゃんに出会います。 おばあちゃんは特別なポットから 美味しいものが出てくる呪文を教え、 おんなのこはわくわくしながら帰宅します。 おうちに戻り、ポットの呪文を唱えると、 驚くべき出来事が待っていました

宇宙人は恋をする!

山碕田鶴
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞/奨励賞を受賞しました。ありがとうございました。】 私が呼んでいると勘違いして現れて、部屋でアイスを食べている宇宙人・銀太郎(仮名)。 全身銀色でツルツルなのがキモチワルイ。どうせなら、大大大好きなアイドルの滝川蓮君そっくりだったら良かったのに。……え? 変身できるの? 中学一年生・川上葵とナゾの宇宙人との、家族ぐるみのおつきあい。これは、国家機密です⁉ (表紙絵:山碕田鶴/人物色塗りして下さった「ごんざぶろ」様に感謝)

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

ちびりゅうと びゃっこくんの ふしぎな てんらんかい

関谷俊博
絵本
これも いつもの だましえです。タイトルは「てんらんかい」としましたが、かなり くるしまぎれです。

冒険者ではない、世界一のトレジャーハンターになる!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」宝船竜也は先祖代々宝探しに人生を賭けるトレジャーハンターの家に生まれた。竜也の夢は両親や祖父母のような世界1番のトレジャーハンターになる事だ。だが41年前、曾祖父が現役の時代に、世界に突然ダンジョンが現れた。ダンジョンの中でだけレベルアップしたり魔術が使えたりする上に、現れるモンスターを倒すと金銀財宝貴金属を落とす分かって、世は大ダンジョン時代となった。その時代に流行っていたアニメやラノベの影響で、ダンジョンで一攫千金を狙う人たちは冒険者と呼ばれるようになった。だが、宝船家の人たちは頑なに自分たちはトレジャーハンターだと名乗っていた。

瑠璃の姫君と鉄黒の騎士

石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。 そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。 突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。 大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。 記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。

処理中です...