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雪の中でも元気な小助くんとワン太くん

小助くんとケモスケくんの雪の中でおすもう

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 小助はお母さんかいじゅうのおっぱいをのみおえると、近くにある大きな木のそばへやってきました。まわりには、白くつもった雪におおわれたけしきが広がっています。

「えいっ! えいっ! えいっ!」

 大きな木に向かって、小助は声を出しながらりょう手でなんどもおしています。ケモスケは、そのようすをじっと見ながら小助に話しかけています。

「小助くん、何をしているの?」
「おちゅもう(おすもう)! おちゅもう! おちゅもう!」

 小助は、たくさんつもった雪の中でも大すきなおすもうのけいこを行っています。ケモスケは、小助がはらがけ1まいでけいこをつづけるすがたをこの目で見ています。

「ぼくといっしょにおすもうしようよ」
「おちゅもう、いっちょにちよう(いっしょにしよう)! いっちょにちよう!」

 雪の中でおすもうがしたいというケモスケの声に、小助はうれしそうにとび上がっています。

 じめんに雪がたくさんつもっているので、いつものように土ひょうを作ることはできません。そんな中にあっても、小助とケモスケはおすもうをとるためにしゃがむと雪の上で目を合わせながら向かいあっています。

 かいじゅうのお父さんもお母さんも、子どもたちのおすもうを楽しみにしています。2ひきの足元には、ワン太が雪の上で小助たちのようすをじっと見つめています。

「どんなおすもうをしてくれるかな?」
「どっちもがんばってね」

 小助とケモスケはかいじゅうたちのおうえんをうけると、おたがいにぶつかり合いながらおすもうを取りはじめました。大きな体つきのケモスケをあいてに、小助は小さな体でいっしょうけんめいおしつづけています。

「うぐぐぐっ、うぐぐぐぐぐっ!」
「ぼ、ぼくだってまけないぞ!」

 ケモスケは、小助のすさまじい力強さにおされて後ろのほうへすこしずつ下がっていきます。それでも、ケモスケはかいじゅうとしての体つきをうまく行かして小助をおしかえそうとします。

「まけるものか!」

 しかし、小助はケモスケの体をつかむと一気に後ろのほうへおしたおそうとします。

「うんしょ! うんしょ! うんしょ! う~んしょ!」
「わっ! わわわわわっ!」

 あまりにも強い小助のすさまじさに、ケモスケはそのいきおいにまけて後ろへたおれてしまいました。つもった雪の上にたおれたケモスケの目に入ってきたのは、小さい人間の子どもがさしのべる手です。

「あ~あ、小助くんにまけちゃったよ」
「ケモチュケ(ケモスケ)くん! いつもいっちょ(いっしょ)! いつもいっちょ!」

 おすもうにかってもまけても、小助とケモスケはいつもなかよしの友だちです。子犬のワン太もくわわって、子どもたちは雪の中でキャッキャッとじゃれ合いながらあそんでいます。

「みんな、楽しそうにあそんでいるね」

 小助たちは、うれしそうなえがおを見せながら雪の上で元気な声を上げています。
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