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夏は大ぼうけんのきせつ

小助くんとケモスケくんはおよぐ時もいっしょ

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 小助は、ケモスケとワン太といっしょに山のてっぺんへ向かっています。お母さん犬も、ワン太のようすを見ようと後ろからついていきます。 

「みじゅあそび(水あそび)! みじゅあそび!」 
「小助くんは、水の中でおよぐのが大すきなんだね」 
「大ちゅき(大すき)! 大ちゅき!」 

 子どもたちは、山のてっぺんにある大きな池であそんだり、およいだりするのを今から楽しみにしています。でも、水の中でおぼれたらたいへんなことになってしまいます。 

「およぐときは、おぼれないように気をつけないといけないよ」 

 犬のお母さんが水あそびの時にちゅういをよびかけるのは、いつも元気な小助たちのことがしんぱいだからです。 

 そんなことをよそに、小助は大きな池を見つけるとかけ足でいきおいよく水の中へとびこみました。水中から顔を出した小助は、ケモスケのいる池のそばへおよいでいきます。 

「ケモチュケ(ケモスケ)くん、およごう! ケモチュケくん、およごう!」 
「ぼくも、小助くんといっしょにおよぐのが楽しみだよ」 

 小助とケモスケが元気な声で話していると、後ろからきたワン太がかいじゅうの左足にしがみつきました。 

「ぼくもいっちょに(いっしょに)つれてって! つれてって!」 

 どうやら、ワン太はケモスケのせなかにのって大きな池のまわりをこの目で見てみたいようです。ケモスケは池の中へ入ると、ワン太はかいじゅうのせなかにあるおびれにつかまりました。 

「ワン太くん、ゆっくりとおよぐからしっかりつかまってね」 

 ケモスケは、ワン太がおちないようにゆっくりとおよぎ出しました。これを見た小助も、ケモスケのすぐとなりでおよいでいきます。 

「小助くん、かわいいおよぎかたをしているね」 
「カエルちゃん! カエルちゃん!」 
「カエルちゃんが大すきなの?」 
「うん!」 

 小助のおよぎかたは、カエルが水の上でおよぐのとほぼ同じです。大すきなカエルと歌ったりあそんだりしている時に、およぎかたも見よう見まねで自分のものにしています。 

 ケモスケのせなかにのっているワン太は、小助がカエルおよぎで池の中をすいすいとおよいでいるのをじっとながめています。 

「ぼくもおよぎたいなあ……」 

 ワン太は、池の中をすすんでいる小助のすがたにうらやましそうです。でも、ワン太はまだ自分からおよぐことができません。 

 この後も、小助とケモスケは山のてっぺんの大きな池をおよぎつづけています。池の中は、ふかいところまですき通るほどのきれいな水でおおわれています。 

 そんな時、池のふかいところに茶色いかいじゅうらしきものがあらわれました。けれども、小助たちは楽しくおよぐことにむちゅうでかいじゅうのすがたにまだ気づいていません。
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