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小助くんと楽しい冬のきせつ

小助くんとフブキちゃんと山べえ

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 雪の家では、小助とワン太がフブキと楽しそうにあそんでいます。子どもたちのにぎやかな声に、ようせいのおとうさんとお母さんはえがおで見つめています。

 でも、雪とともにふきつける風がおさまると小助たちは元のせかいにもどることができません。フブキは、外のようすを見ようと引き戸をあけています。

「小助くん、ワン太くん、お外で雪あそびをしようよ」
「わ~い! 雪あちょび(雪あそび)! 雪あちょび!」

 小助とワン太は、フブキの後をついて行くようにはげしい雪と風の中をとんでいます。とちゅうで雪におおわれた森の通り道をすすむと、小助たちにとって見おぼえのあるばしょへたどりつきました。

「どこへ行くの?」
「あっち! あっち!」

 森から出ると。小助たちは近くにどうくつがあるのが目に入りました。ここは、大男の山べえがいつもくらしているばしょです。

 どうくつの中へ入ると、あお向けになっている山べえのすがたがあります。小助たちは、フブキのおまじないで小さくなっているので山べえには分かりません。

「何かとんでいるような……」

 小助たちはどうくつの上をとんでいますが、山べえはそれがだれなのかまだ気づいていません。外のほうを見ると、雪とともに風もつよくふきつけています。

 でも、さっきのようなはげしい風というわけではありません。小助とワン太は、どうくつから外へ出てフブキのいるところへ向かいました。

「フブキちゃん! フブキちゃん!」
「それじゃあ、雪だるまを……」

 みんなでいっしょに雪だるま作りにとりかかろうとしていたその時、すさまじい風や雪がしだいにおさまってきました。それは、フブキとのおわかれの合図となります。

 小助もワン太も、おまじないがきえたので元のすがたにもどるとそのまま雪の上におちてしまいました。本当だったらもっとあそびたいところですが、こればかりはしかたがありません。

「フブキちゃん、またあちょぼう(あそぼう)! またあちょぼう!」
「ありがとう! またあそびにくるからね」

 フブキは、小助たちに見おくられながらすがたをけしていきました。小助もワン太も、フブキがいなくなってすこしさびしそうです。

 そのころ、どうくつからはさっきまでねころがっていた山べえが出てきました。これを見た小助たちは、すぐに山べえのそばへやってきました。

「いっちょに(いっしょに)雪だるま! いっちょに雪だるま!」
「雪がやんだことだし、いっしょに作ろうかな」
「わ~い! わ~い!」

 こうして、小助はりょう手で雪玉を作ってから雪の上をころがすことにしました。山べえも、同じようにころがしながらでっかい大きさの雪玉ができ上がりました。

「うんしょ! うんしょ!」

 さいごに、山べえのでっかい雪玉の上に一回り小さい雪玉を小助がもち上げてのせています。どうくつのそばにあった石と木の細いえだで顔を作れば雪だるまのかんせいです。

「雪だるま! 雪だるま!」
「小助もワン太も、雪だるまをすっかり気に入っているみたいだな」

 でっかい雪だるまをながめながら、小助とワン太は向こうの空から自分たちを見まもってくれるフブキのことを思いおこしています。
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