恋によく効く薬はない

猫屋ちゃき

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第十八話 くっついて、それから悪だくみ

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 何だか身体が重たい気がして、リリーは目覚めた。
 身じろぎすると、身体のいたるところが痛い。その痛みに、昨夜の甘い時間を思い出す。

「……ユーリ」

 すぐ隣を見れば、穏やかな顔で眠るユーリがいた。重たく感じたのは、彼がリリーのことを抱きしめていたからだった。
 素肌のまま触れ合っているのは、どうしようもなく心地よくて幸せで、自然と笑みがもれている。だが、身体の痛みは薄れることはない。
(結ばれるって、幸せだけど、すごく大変なのね。腰も脚も痛くてだるいわ。……そうだ)
 ユーリを起こさないようにそっと寝台を抜け出すと、薬類の入ったカバンのところまで行った。オクタヴィアにもらった水薬のことを思い出したのだ。

「これ呑んで頑張れって言ってたから、きっと疲労回復に効くとかよね?」

 瓶の中の水薬は、うっすら桃色がかった紫色をしている。においも嗅ぎ慣れた類のもので、特に怪しいものは入っていないようだ。これで元気になれるならと、リリーは思い切って飲み干した。

「うっ……」

 飲み干した水薬が喉を滑っていくとき、焼けるような痛みが走った。胃の腑に落ちる頃には、全身がカッと熱くなったが、それは一瞬のこと。熱がおさまると、身体中に力がみなぎっていた。

「……すごい。動けるわ」

 嬉しくなって、リリーは寝台に戻った。
 そこには、まだスヤスヤと眠るユーリがいる。その無防備な寝顔があまりにも美しくて、愛しさがこみ上げて、リリーは思わず口づけた。
 初めは頬にチュッとするだけのつもりが、一度触れてしまうともっと触れたくなり、今度は唇に触れるともっと深くつながりたくなり、気がつくとユーリの口内を舌でまさぐっていた。

「……んっ……おはよ、リリー。んんっ?」

 激しい接吻によって目が覚めたユーリは、自分の上にのしかかるリリーの姿に目を丸くした。だが、すぐに再び口をふさがれ、全身を撫で回される。
 口づけながら、リリーの手は汗ばんだユーリの肌の上を動き回る。さわさわといたずらで触っているように見えて、実際はつぶさにユーリの反応をうかがっている。そして、ひときわ反応のいい場所を見つけると、そこばかりを攻め立てるようになった。

「……あっ……リリー、そこっ……」
「ユーリ、気持ちいいんでしょ? かわいい……ここがいいんだぁ」

 ユーリの胸に手をつき、その中心で小さくも凝っているものを指先で弾いたり、軽く爪を立てカリカリしたりする。するとユーリは呼吸を荒らげ、時折かすかな声を上げるのだ。その様子がたまらなく可愛くて、リリーは舌先でそれを刺激し始めた。

「ああっ……リリー、舐めちゃ、だめだ……あ……どうして、こんな大胆に……?」
「寝てるユーリがあまりにも可愛くて、どうしても触りたくなっちゃったの。……ユーリも、嫌じゃないでしょ? ここ、こんなになってるもん」
「んっ……」

 リリーの豹変ぶりに戸惑いつつも、ユーリの中心は雄々しく高ぶっている。そのそそり立つ肉楔に指を這わせ、リリーはおもむろに顔を寄せていった。

「ここも、可愛がってあげますからね」

 舌をぺろりと出すと、丸みを帯びた先端を舐めあげる。初めはおっかなびっくりな舌使いだったが、慣れてくると口に含みさえした。

「あぅ……リリー、どうしちゃったの? ん……気持ちいいけど、君がこんな……っ」

 口に含み、舌先をねっとりと絡みつけ、根元をそっと握って上下させると、ユーリの腰が切なげに揺れ始める。声も甘ったるく、切羽つまったものに変わる。
 その反応を前にして、リリーは自分の中心から蜜があふれ出すのを感じた。昨日、ユーリに穿たれ、何度も何度も擦り上げられた場所が疼く。そこを埋めてほしいと、ジンジンと痺れが走る。

「あのね、オクタヴィアさんにもらった薬を飲んだら身体が熱くなって、ユーリにいっぱい触れたくなってしまったの……」

 言いながら、リリーの手は自身の脚の間へと伸ばされる。ほんのわすわかに指が触れただけで、すっかり濡れているのがわかる。

「リリー、それ、媚薬か何かなんじゃ……?」
「わからない。わからないけど、ここ、すごく寂しいの。奥が疼くの。……ユーリ、ここを埋めて……」
「……リリー!」

 リリーは泣きそうな顔をしながら、くちゅくちゅと蜜をこぼすそこを指でかき混ぜる。愛するリリーの媚態に我慢ができなくなって、ユーリは勢いよく押し倒した。

「薬でこんなになっちゃうなんて……すぐに鎮めてあげらから、ね!」
「ああっ!」

 楔で一気に穿たれると、リリーの身体は激しく震えた。内側も外側も。ユーリの屹立したものを包み込んだ蜜壷はまるで搾り取るように収縮し、ユーリは歯を食いしばって耐えようとしたが、数度腰を振っただけで果ててしまった。

「んあ……ユーリの、どくどくって、出てる、いっぱい……でも、まだ足りないの!」
「リリー、だめ……!」

 まだ呼吸を荒らげたままのユーリを押し倒し、リリーは猛然と腰を振り始めた。
 ユーリのものはまだ硬さを失っていないとはいえ、達してすぐは敏感になりすぎている。リリーがウサギのように飛び跳ねるたび、痛みに近いほどの快感を覚えていた。

「……リリー、だめ……ああ……もう少し待って……んんっ」
「待てないの! もっと、ちょうだい……たくさん……あぁん」

 恍惚とした表情で、リリーは角度を変え、深さを変え腰を振る。自分の最もいいところに当たるように。それでいて肉襞はたっぷりと蜜に濡れ、ユーリの欲望をさらに搾ろうと蠢いている。
 昨夜まで純潔だったとは思えない姿だ。

 その後もユーリは、リリーが満足するまで様々な体位で搾り取られたのだった。


 
「……オクタヴィアさん、何てものをリリーにくれたんだよ」

 身体を拭き清め、身づくろいを整えてもユーリはまだぐったりとしていた。その横で同じく身なりを整えたリリーも、羞恥と疲労でクタクタになっている。記憶がないとは言わないが、自分がしたとは信じられなくて、冷静になって恥ずかしくてたまらなくなっているのだ。

「媚薬って、あんなに効果があるものなのね。……好意でくれたのはわかるけど、今度から気をつけなくちゃ」

 疑いなく口にしたが、これが飲むタイミングを間違っていたらと思うとゾッとする。もしユーリと離れてから飲んでいたら、ひとりで疼きを持て余すことになっていたということだ。

「人に親切するのもいいけど、自分の恋愛も頑張らないとね、あの人」
「そうよね。お兄様との組み合わせ、なかなかいいと思うんだけど」

 ドアの前まで来て、離れがたく手をつなぎながら、ふたりは変な気を回してとんでもないものをくれるお節介な魔女のことを考えていた。

「くっついて欲しいから、ちょっと協力してみましょうか」
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