5 / 7
5.プロの種馬としての矜持
しおりを挟む
Today, I'm gonna have myself a real good time…。
「ドラドさん。今日の種付けの相手は、あのロードシャンヤンさんの孫娘さんですよ」
「ああ、あの短距離の驀進王の孫か」
よし、未来のダービー馬が授かるための儀式。願掛けとして、後ろ足で立ち、万歳三唱。
「わーっしょい、わーっしょい、わーっしょい!」
「相変わらず元気だねぇ」
「行くぞ!」
俺は今日も仕事に励む。
《Don't Stop Me Now》
朝チュンならぬ昼チュン。俺は今、放牧地にいる。その合間に、この牧場のスタッフたちが俺たちの馬房の掃除をしている。隣の放牧地では、俺と同じ芦毛の先輩馬が青草を食べている。今日は特に来客はなく、俺は芝生の上に横たわり、青空を眺めている。
瑞々しい春。「生命」という概念のためにこそある季節。俺たち生き物のための季節。青草から金色の生気がきらめき出す季節。長い冬が終わり、俺たちは生きる喜びを実感する。あの太陽が、俺に力を与えてくれる。
ゆったりとした雲の流れを、俺の目線が追いかける。
人間は有史以前から、空を飛びたいという願望を抱いていただろう。しかし、人間はその身一つでは空を飛べない。だからだろうか? 人間たちは、俺たち馬が走る速さに目をつけた。人間にとっては、馬が走る速さが空を飛ぶ代わりになったのだ。
馬車が生まれ、自動車が生まれ、飛行機やヘリコプターなどが生まれ、ついにはスペースシャトルが生まれた。いずれ人間たちは本格的な宇宙船を作って、外宇宙を目指すだろう。それまでに、俺の血統のダービー馬は生まれるだろうか?
ふと思った。昔のスポ根漫画みたいな「ダービー馬養成ギプス」なんて代物があったら、どうするか?
さすがにそれは動物虐待だ。俺は自分の子供にも、他の子馬にもそんなもんは着けさせたくないし、何よりも、俺自身が着けたくない。そんな非人道的・非馬道的なもんを身に着けてまで勝ちたいとは、思わん。
まあ、レース引退後の今なら、そんなもん身に着ける必要はないがな。それに、今の俺には「大種牡馬養成ギプス」を身に着ける必要がないくらいの「力」がある。あとは、子供たち自身の運と努力の問題だ。
それにしても、春眠暁を覚えず、夏眠暁を覚えず、秋眠暁を覚えず、冬眠暁を覚えず…要するに、一年中眠くなるが、こんな天気の良い日に放牧されていると、芝の上に寝っ転がるのが気持ち良い。はぁ~、極楽、極楽。
そうだな。放牧中に寝ると、たまに幽体離脱をする夢を見るんだな。ほら、俺はだんだんと眠くなる…はぁ、離脱するぜ。
(すぅ~、すぅ~)
あれ? 何だここは?
「ほほう、人類代表を呼ぶはずが、馬代表を呼んでしまったとは、嬉しい誤算だな」
ん? 何だこいつ?
「カバレロドラド、G1レース6勝の名馬。日本競馬界屈指の生ける伝説だね」
「な、何なんだよ、あんたら? 神様か? それとも宇宙人か? 俺に一体何の用だ? まさか、この俺に短距離レースを走れっつうんじゃねぇだろうな!? アイビスサマーダッシュだと、俺には短過ぎるぞ」
俺を呼び寄せた宇宙人(?)は微笑む。
「スタートの不得手をスタミナと筋力のゴリ押しで補って勝つのが、長距離馬である君の戦術だね。だけど、我々は君とレースをしたいのではない」
「うっ、俺の弱点まで知ってやがんのか? そんな俺に何の用だ?」
「ズバリ、この子に種付けしてもらいたい」
そこには、毛艶が良くて、顔立ちや体型が整った白毛の牝馬がいた。優しく澄んだ瞳が潤んで、こちらを見つめている。
「おいおい、美人局かよ? 俺に種付けしてもらいたいなら、オーナーや牧場に問い合わせてくれ。『英雄色を好む』俺だって、種付け出来ればそれで良いんじゃないんだよ」
とはいえ、この牝馬はかわい過ぎる。俺の後半身の食指が動く。
「…俺にはプロの種馬としての矜持がある。見ず知らずの人間からの突撃依頼には応じる訳にはいかない」
「ドラド君、未来のダービー馬がほしいのだろう?」
ダービー馬。俺自身が果たせなかった夢を自分の子供たちに託す。俺は息を呑む。俺の後半身の食指がますます動く。
「では、頼むよ」
謎の宇宙人は消え、真っ白い空間には、俺とかわいい白毛の牝馬が残された。
「私の事…お嫌いですか?」
牝馬が言う。この娘は俺と同じく、人語を解する馬だ。
色々と不安がっている。俺に嫌われるのを恐れているようだ。俺は彼女の緊張感を和らげようと話しかける。
「君のような魅力的な牝馬を嫌いになる訳がない。さあ、どうか怖がらないで」
俺は彼女に寄り添った。
《Don't Stop Me Now》
朝チュンならぬ昼チュンならぬ、夜チュン。俺は夜中に自分の馬房の中で目を覚ましていた。俺は昼間に種付けを終えて、放牧地で寝ていたはずだ。なぜここにいる? まさか俺、夢遊病じゃねぇよな?
それにしても、あの夢の中の牝馬は良かったなぁ…。現実世界でもまた会えて種付け出来れば良いのだけどね。
もう真夜中だし、ラジオを流していない。他の馬たちはすでに寝ている。朝までやる事がないから、何とか再び寝よう。
牝馬が一匹、牝馬が二匹、牝馬が三匹…ダメだ、それじゃあ眠れない。
というか、そもそも俺が往年の名短距離馬ロードシャンヤン号の孫娘に種付けしたのは現実だったのか?
ええい、余計な事を考えないで、目を閉じて横になるのだ。何も考えずに、時が過ぎるのを待つだけ。
そう、俺はだんだんと眠くなる。春眠暁を覚えず、夏眠暁を覚えず、秋眠暁を覚えず、冬眠暁を覚えず…。
う…。
ん…。
ちょす…。
ん~、清々しい朝だ。メシだ。種付けだ。俺の心が踊る。よっしゃー! 必殺仕事馬カバレロドラド、参上!
仕事の時間だ。若手厩務員の須藤ちゃんが俺を呼ぶ。この人は最近、結婚した。奥さんは須藤ちゃんの高校時代のクラスメイトで、他の牧場のオーナーの娘だ。つまりは、須藤ちゃんの奥さんのコネで、俺の新しいお嫁さんを紹介してもらえる可能性がある。そして、須藤ちゃんの奥さんハルカちゃんも、この牧場のスタッフとして在籍している。
そうすると、この二人のおかげで未来のダービー馬が、さらには三冠馬がこれから俺の子供として生まれる可能性もあるのだ。
「ドラドさん。今日の種付けの相手は、あのロードシャンヤンさんの孫娘さんですよ」
「ああ、あの短距離の驀進王の孫か」
よし、未来のダービー馬が授かるための儀式。願掛けとして、後ろ足で立ち、万歳三唱。
「わーっしょい、わーっしょい、わーっしょい!」
「相変わらず元気だねぇ」
「行くぞ!」
俺は今日も仕事に励む。
Today, I'm gonna have myself a real good time…。
「ドラドさん。今日の種付けの相手は、あのロードシャンヤンさんの孫娘さんですよ」
「ああ、あの短距離の驀進王の孫か」
よし、未来のダービー馬が授かるための儀式。願掛けとして、後ろ足で立ち、万歳三唱。
「わーっしょい、わーっしょい、わーっしょい!」
「相変わらず元気だねぇ」
「行くぞ!」
俺は今日も仕事に励む。
《Don't Stop Me Now》
朝チュンならぬ昼チュン。俺は今、放牧地にいる。その合間に、この牧場のスタッフたちが俺たちの馬房の掃除をしている。隣の放牧地では、俺と同じ芦毛の先輩馬が青草を食べている。今日は特に来客はなく、俺は芝生の上に横たわり、青空を眺めている。
瑞々しい春。「生命」という概念のためにこそある季節。俺たち生き物のための季節。青草から金色の生気がきらめき出す季節。長い冬が終わり、俺たちは生きる喜びを実感する。あの太陽が、俺に力を与えてくれる。
ゆったりとした雲の流れを、俺の目線が追いかける。
人間は有史以前から、空を飛びたいという願望を抱いていただろう。しかし、人間はその身一つでは空を飛べない。だからだろうか? 人間たちは、俺たち馬が走る速さに目をつけた。人間にとっては、馬が走る速さが空を飛ぶ代わりになったのだ。
馬車が生まれ、自動車が生まれ、飛行機やヘリコプターなどが生まれ、ついにはスペースシャトルが生まれた。いずれ人間たちは本格的な宇宙船を作って、外宇宙を目指すだろう。それまでに、俺の血統のダービー馬は生まれるだろうか?
ふと思った。昔のスポ根漫画みたいな「ダービー馬養成ギプス」なんて代物があったら、どうするか?
さすがにそれは動物虐待だ。俺は自分の子供にも、他の子馬にもそんなもんは着けさせたくないし、何よりも、俺自身が着けたくない。そんな非人道的・非馬道的なもんを身に着けてまで勝ちたいとは、思わん。
まあ、レース引退後の今なら、そんなもん身に着ける必要はないがな。それに、今の俺には「大種牡馬養成ギプス」を身に着ける必要がないくらいの「力」がある。あとは、子供たち自身の運と努力の問題だ。
それにしても、春眠暁を覚えず、夏眠暁を覚えず、秋眠暁を覚えず、冬眠暁を覚えず…要するに、一年中眠くなるが、こんな天気の良い日に放牧されていると、芝の上に寝っ転がるのが気持ち良い。はぁ~、極楽、極楽。
そうだな。放牧中に寝ると、たまに幽体離脱をする夢を見るんだな。ほら、俺はだんだんと眠くなる…はぁ、離脱するぜ。
(すぅ~、すぅ~)
あれ? 何だここは?
「ほほう、人類代表を呼ぶはずが、馬代表を呼んでしまったとは、嬉しい誤算だな」
ん? 何だこいつ?
「カバレロドラド、G1レース6勝の名馬。日本競馬界屈指の生ける伝説だね」
「な、何なんだよ、あんたら? 神様か? それとも宇宙人か? 俺に一体何の用だ? まさか、この俺に短距離レースを走れっつうんじゃねぇだろうな!? アイビスサマーダッシュだと、俺には短過ぎるぞ」
俺を呼び寄せた宇宙人(?)は微笑む。
「スタートの不得手をスタミナと筋力のゴリ押しで補って勝つのが、長距離馬である君の戦術だね。だけど、我々は君とレースをしたいのではない」
「うっ、俺の弱点まで知ってやがんのか? そんな俺に何の用だ?」
「ズバリ、この子に種付けしてもらいたい」
そこには、毛艶が良くて、顔立ちや体型が整った白毛の牝馬がいた。優しく澄んだ瞳が潤んで、こちらを見つめている。
「おいおい、美人局かよ? 俺に種付けしてもらいたいなら、オーナーや牧場に問い合わせてくれ。『英雄色を好む』俺だって、種付け出来ればそれで良いんじゃないんだよ」
とはいえ、この牝馬はかわい過ぎる。俺の後半身の食指が動く。
「…俺にはプロの種馬としての矜持がある。見ず知らずの人間からの突撃依頼には応じる訳にはいかない」
「ドラド君、未来のダービー馬がほしいのだろう?」
ダービー馬。俺自身が果たせなかった夢を自分の子供たちに託す。俺は息を呑む。俺の後半身の食指がますます動く。
「では、頼むよ」
謎の宇宙人は消え、真っ白い空間には、俺とかわいい白毛の牝馬が残された。
「私の事…お嫌いですか?」
牝馬が言う。この娘は俺と同じく、人語を解する馬だ。
色々と不安がっている。俺に嫌われるのを恐れているようだ。俺は彼女の緊張感を和らげようと話しかける。
「君のような魅力的な牝馬を嫌いになる訳がない。さあ、どうか怖がらないで」
俺は彼女に寄り添った。
《Don't Stop Me Now》
朝チュンならぬ昼チュンならぬ、夜チュン。俺は夜中に自分の馬房の中で目を覚ましていた。俺は昼間に種付けを終えて、放牧地で寝ていたはずだ。なぜここにいる? まさか俺、夢遊病じゃねぇよな?
それにしても、あの夢の中の牝馬は良かったなぁ…。現実世界でもまた会えて種付け出来れば良いのだけどね。
もう真夜中だし、ラジオを流していない。他の馬たちはすでに寝ている。朝までやる事がないから、何とか再び寝よう。
牝馬が一匹、牝馬が二匹、牝馬が三匹…ダメだ、それじゃあ眠れない。
というか、そもそも俺が往年の名短距離馬ロードシャンヤン号の孫娘に種付けしたのは現実だったのか?
ええい、余計な事を考えないで、目を閉じて横になるのだ。何も考えずに、時が過ぎるのを待つだけ。
そう、俺はだんだんと眠くなる。春眠暁を覚えず、夏眠暁を覚えず、秋眠暁を覚えず、冬眠暁を覚えず…。
う…。
ん…。
ちょす…。
ん~、清々しい朝だ。メシだ。種付けだ。俺の心が踊る。よっしゃー! 必殺仕事馬カバレロドラド、参上!
仕事の時間だ。若手厩務員の須藤ちゃんが俺を呼ぶ。この人は最近、結婚した。奥さんは須藤ちゃんの高校時代のクラスメイトで、他の牧場のオーナーの娘だ。つまりは、須藤ちゃんの奥さんのコネで、俺の新しいお嫁さんを紹介してもらえる可能性がある。そして、須藤ちゃんの奥さんハルカちゃんも、この牧場のスタッフとして在籍している。
そうすると、この二人のおかげで未来のダービー馬が、さらには三冠馬がこれから俺の子供として生まれる可能性もあるのだ。
「ドラドさん。今日の種付けの相手は、あのロードシャンヤンさんの孫娘さんですよ」
「ああ、あの短距離の驀進王の孫か」
よし、未来のダービー馬が授かるための儀式。願掛けとして、後ろ足で立ち、万歳三唱。
「わーっしょい、わーっしょい、わーっしょい!」
「相変わらず元気だねぇ」
「行くぞ!」
俺は今日も仕事に励む。
Today, I'm gonna have myself a real good time…。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる