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国王陛下に献上品を。
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翌朝。
昨日、ヒューブは伯爵様と献上品の再確認と謁見についてのアレコレの打ち合わせをし終えていたので、これから行われる謁見を落ち着いて待っていた。
王城の謁見の間の扉は王国の歴史を物語るような重厚さで、初めて見る者は扉一枚で圧倒される。
かく言うヒューブも初めての時はそれはそれは緊張したものだ。しかし、今日は落ち着いていられた。昨日の伯爵様との打ち合わせが効いているからだ。
暫くして、
「ブライコフ・フォン・ミルフィナンド・ルッテンローグ伯爵家所属ゲーゲンヒューバー・フォン・クライスト名誉騎士爵の入場!!」
案内人が入場を告げると、扉が開いて玉座の近くまで赤い絨毯が続いている。
ヒューブは様々な意味合いの視線を無視して謁見の定位置まで進んで片膝をついて頭を下げる。
「国王陛下並びに王妃殿下の御成り!!」
謁見の間にいた全ての貴族が一斉に膝をついて貴族の礼をとった。
「ヒューブよ。久しぶりじゃな」
「はい」
「お主には何やかにやと驚かされてばかりじゃが、此度の事は飛び抜けて驚いたぞ」
陛下が声をあげと笑い、王妃様も口元を扇で隠して笑っている。
「宰相よ」
宰相のマクシミリアン・フォン・ラッシュアード・ミジリー侯爵が一つ頷く。
「この度、ミルフィナンド伯爵領の森の奥に厄災級に近いとされるレッドドラゴンが出現した」
貴族達か一斉に騒ぎ出したのを、咳一つで鎮めて続ける。
「その時、森の調査依頼を受けていたクライスト名誉騎士爵が単身これと戦闘に及び見事討伐に成功した」
"何と"とか"まさか"とか、信じられないといった声があがった。
「ふむ。信じられないのも無理はない。ヒューブよ。証しを見せよ」
陛下直々の御下命を受け、収納から解体済みのレッドドラゴンを謁見の間に取り出した。
おおぉぉぉぉぉ~!!
謁見の間に歓声が上がった。
「ブライ伯よ。ヒューブは牙と鱗、肉を余に献上すると申しておるというのは真か?」
「はい。間違いございませんが、それだけではございません」
「ほう?」
陛下が小首を傾げると、伯爵様がヒューブに目配せした。
頷いたヒューブは、収納からドサドサドサッと音を立てて献上品を取り出した。
「こ…これは?」
「これはヒューブ、いえ、クライスト名誉騎士爵からの陛下への献上品でございます。目録はこれに」
ラッシュアード宰相に手渡した目録書には、献上品の数々がビッシリと書いてある。
まずはラッシュアード宰相が。次いで国王陛下が目録書に目を通す…と、二人して息を呑んだ。
小さく震えながら陛下が、
「こ、これは真か?」
とお訊ねになるのへ、ヒューブが頷いた。
「畏れながら。この、え~と、クライスト名誉騎士爵でしたかな?この者は何を献上致したのでしょう。我々にもお教えいただきたく存じます」
謁見の間に居並ぶ貴族達は皆、うんうんと頷いている。
(まあ、レッドドラゴンの牙、鱗、肉だけでも国を揺るがすような物なのに、それに加えて更に何かあるってのは、そりゃあ、聞きたくもなるよな)
一人頷いているヒューブの顔をじっと見つめていた陛下が、
「目録書を読み上げよ」
とラッシュアード宰相に命じた。
「では読み上げます。この度の献上品は以下の通りである」
目録書を読み上げる宰相の声は小さく震えていた。
「【献上品目録】
一・レッドドラゴンの牙二本
一・レッドドラゴンの鱗十枚
一・レッドドラゴンの肉五百kg
一・神金貨五百枚
一・聖銀貨二千枚
一・小粒のダイヤモンド百個
一・中粒のダイヤモンド百個
一・大粒のダイヤモンド百個
一・小粒のルビー百個
一・中粒のルビー百個
一・大粒のルビー百個
一・小粒のサファイア百個
一・中粒のサファイア百個
一・大粒のサファイア百個
一・ダイヤモンドの指輪十個
一・ダイヤモンドのブローチ十個
一・ダイヤモンドのネックレス十個
一・ルビーの指輪十個
一・ルビーのブローチ十個
一・ルビーのネックレス十個
一・サファイアの指輪十個
一・サファイアのブローチ十個
一・サファイアのネックレス十個
一・魔鋼鉄一kgインゴット千個
一・ミスリル一kgインゴット千個
一・ヒイロガネ一kgインゴット千個
一・アダマンタイト一kgインゴット千個
一・オリハルコン一kgインゴット千個
一・Sランク魔剣一本
一・Sランク魔短剣一本
一・Sランク魔槍一本
一・Sランク魔盾一枚
一・Sランク魔水筒一個
一・Sランク収納袋一個
以上の物を献上品とするものなり」
謁見の間を静寂と沈黙が支配した。
誰も彼もが自分の耳を疑った。何を聞いたのかも理解できていなかった。
言葉にするなら、
「こいつ、何て言ったの?」
だろう。
沈黙の支配を一番最初に破ったのは、小太りで脂ぎった顔の貴族だった。
「ミルフィナンド伯よ。そのような嘘が通じるとでも思っているのか!?」
「嘘、とは?」
「レッドドラゴンを単独討伐など出来るはずがないではないか!それもこんなガキには絶対に無理だ!SランクかSSランクの冒険者を雇ったのだろう!さあ、白状して陛下にお詫びしろ!!」
すると、その小太りの貴族の周りにいた貴族達も声を揃えて"無礼者""陛下に対する叛逆だ""不敬罪で首を刎ねよ"などなどと一斉に騒ぎ出した。
最初は陛下への謝罪をしろという内容だったのが、いつの間にか貴族主義と呼ばれる内容へと変わり、挙げ句の果てには陛下の治世に対する不平不満へとなっていた。
陛下はと見れば、額に青筋を浮かべていた。
「…ヒューブ」
「承知」
ヒューブは陛下のお心を汲んで、馬鹿貴族達に【グラビティ】をかけた。
すると、馬鹿貴族共が床に縫い付けられたように倒れ込んだ。
この【グラビティ】は無属性魔法の一つで、重力を操る事ができる。だから馬鹿貴族共には自分の体重の二十倍の重さを味わってもらっているのだ。
「近衛よ。余に対する叛逆である。残らず捕らえて地下牢に収容せよ」
「「「「「『はっ!』」」」」」
近衛騎士達が馬鹿貴族共を捕える瞬間に【グラビティ】を解除したので、騎士達は労なく捕える事ができた。その数何と十二人にも及んだ。
地下牢へ連行されながらもギャーギャー騒いでいたが、扉を閉めると静かになった。
「宰相よ。これはどう思えばよいのか迷うの」
「悲しむべきではないでしょう。国政の叛逆者達を一斉に摘発できたのですから喜ぶべきかと」
「そうか。うむ。そうだな。皆の者も良く聞け。余に対して不平不満を抱くなとは言わぬ。言わぬが、それはそれぞれの担当大臣が所管する部署に申し出る事じゃ。このような場で声高に叫んでは叛逆罪に問わぬわけにはいかぬ故な。皆の者、分かったか」
「「「「「「『御意!!』」」」」」」
「うむ。さて、ブライ、ヒューブよ。せっかくの楽しみが台無しになってしまって済まぬの。この後、余の居室に来るように。改めて献上品を貰い受ける故な」
「「『御意!!』」」
謁見が終了し、伯爵様とヒューブは陛下の居室へと案内されていった。
昨日、ヒューブは伯爵様と献上品の再確認と謁見についてのアレコレの打ち合わせをし終えていたので、これから行われる謁見を落ち着いて待っていた。
王城の謁見の間の扉は王国の歴史を物語るような重厚さで、初めて見る者は扉一枚で圧倒される。
かく言うヒューブも初めての時はそれはそれは緊張したものだ。しかし、今日は落ち着いていられた。昨日の伯爵様との打ち合わせが効いているからだ。
暫くして、
「ブライコフ・フォン・ミルフィナンド・ルッテンローグ伯爵家所属ゲーゲンヒューバー・フォン・クライスト名誉騎士爵の入場!!」
案内人が入場を告げると、扉が開いて玉座の近くまで赤い絨毯が続いている。
ヒューブは様々な意味合いの視線を無視して謁見の定位置まで進んで片膝をついて頭を下げる。
「国王陛下並びに王妃殿下の御成り!!」
謁見の間にいた全ての貴族が一斉に膝をついて貴族の礼をとった。
「ヒューブよ。久しぶりじゃな」
「はい」
「お主には何やかにやと驚かされてばかりじゃが、此度の事は飛び抜けて驚いたぞ」
陛下が声をあげと笑い、王妃様も口元を扇で隠して笑っている。
「宰相よ」
宰相のマクシミリアン・フォン・ラッシュアード・ミジリー侯爵が一つ頷く。
「この度、ミルフィナンド伯爵領の森の奥に厄災級に近いとされるレッドドラゴンが出現した」
貴族達か一斉に騒ぎ出したのを、咳一つで鎮めて続ける。
「その時、森の調査依頼を受けていたクライスト名誉騎士爵が単身これと戦闘に及び見事討伐に成功した」
"何と"とか"まさか"とか、信じられないといった声があがった。
「ふむ。信じられないのも無理はない。ヒューブよ。証しを見せよ」
陛下直々の御下命を受け、収納から解体済みのレッドドラゴンを謁見の間に取り出した。
おおぉぉぉぉぉ~!!
謁見の間に歓声が上がった。
「ブライ伯よ。ヒューブは牙と鱗、肉を余に献上すると申しておるというのは真か?」
「はい。間違いございませんが、それだけではございません」
「ほう?」
陛下が小首を傾げると、伯爵様がヒューブに目配せした。
頷いたヒューブは、収納からドサドサドサッと音を立てて献上品を取り出した。
「こ…これは?」
「これはヒューブ、いえ、クライスト名誉騎士爵からの陛下への献上品でございます。目録はこれに」
ラッシュアード宰相に手渡した目録書には、献上品の数々がビッシリと書いてある。
まずはラッシュアード宰相が。次いで国王陛下が目録書に目を通す…と、二人して息を呑んだ。
小さく震えながら陛下が、
「こ、これは真か?」
とお訊ねになるのへ、ヒューブが頷いた。
「畏れながら。この、え~と、クライスト名誉騎士爵でしたかな?この者は何を献上致したのでしょう。我々にもお教えいただきたく存じます」
謁見の間に居並ぶ貴族達は皆、うんうんと頷いている。
(まあ、レッドドラゴンの牙、鱗、肉だけでも国を揺るがすような物なのに、それに加えて更に何かあるってのは、そりゃあ、聞きたくもなるよな)
一人頷いているヒューブの顔をじっと見つめていた陛下が、
「目録書を読み上げよ」
とラッシュアード宰相に命じた。
「では読み上げます。この度の献上品は以下の通りである」
目録書を読み上げる宰相の声は小さく震えていた。
「【献上品目録】
一・レッドドラゴンの牙二本
一・レッドドラゴンの鱗十枚
一・レッドドラゴンの肉五百kg
一・神金貨五百枚
一・聖銀貨二千枚
一・小粒のダイヤモンド百個
一・中粒のダイヤモンド百個
一・大粒のダイヤモンド百個
一・小粒のルビー百個
一・中粒のルビー百個
一・大粒のルビー百個
一・小粒のサファイア百個
一・中粒のサファイア百個
一・大粒のサファイア百個
一・ダイヤモンドの指輪十個
一・ダイヤモンドのブローチ十個
一・ダイヤモンドのネックレス十個
一・ルビーの指輪十個
一・ルビーのブローチ十個
一・ルビーのネックレス十個
一・サファイアの指輪十個
一・サファイアのブローチ十個
一・サファイアのネックレス十個
一・魔鋼鉄一kgインゴット千個
一・ミスリル一kgインゴット千個
一・ヒイロガネ一kgインゴット千個
一・アダマンタイト一kgインゴット千個
一・オリハルコン一kgインゴット千個
一・Sランク魔剣一本
一・Sランク魔短剣一本
一・Sランク魔槍一本
一・Sランク魔盾一枚
一・Sランク魔水筒一個
一・Sランク収納袋一個
以上の物を献上品とするものなり」
謁見の間を静寂と沈黙が支配した。
誰も彼もが自分の耳を疑った。何を聞いたのかも理解できていなかった。
言葉にするなら、
「こいつ、何て言ったの?」
だろう。
沈黙の支配を一番最初に破ったのは、小太りで脂ぎった顔の貴族だった。
「ミルフィナンド伯よ。そのような嘘が通じるとでも思っているのか!?」
「嘘、とは?」
「レッドドラゴンを単独討伐など出来るはずがないではないか!それもこんなガキには絶対に無理だ!SランクかSSランクの冒険者を雇ったのだろう!さあ、白状して陛下にお詫びしろ!!」
すると、その小太りの貴族の周りにいた貴族達も声を揃えて"無礼者""陛下に対する叛逆だ""不敬罪で首を刎ねよ"などなどと一斉に騒ぎ出した。
最初は陛下への謝罪をしろという内容だったのが、いつの間にか貴族主義と呼ばれる内容へと変わり、挙げ句の果てには陛下の治世に対する不平不満へとなっていた。
陛下はと見れば、額に青筋を浮かべていた。
「…ヒューブ」
「承知」
ヒューブは陛下のお心を汲んで、馬鹿貴族達に【グラビティ】をかけた。
すると、馬鹿貴族共が床に縫い付けられたように倒れ込んだ。
この【グラビティ】は無属性魔法の一つで、重力を操る事ができる。だから馬鹿貴族共には自分の体重の二十倍の重さを味わってもらっているのだ。
「近衛よ。余に対する叛逆である。残らず捕らえて地下牢に収容せよ」
「「「「「『はっ!』」」」」」
近衛騎士達が馬鹿貴族共を捕える瞬間に【グラビティ】を解除したので、騎士達は労なく捕える事ができた。その数何と十二人にも及んだ。
地下牢へ連行されながらもギャーギャー騒いでいたが、扉を閉めると静かになった。
「宰相よ。これはどう思えばよいのか迷うの」
「悲しむべきではないでしょう。国政の叛逆者達を一斉に摘発できたのですから喜ぶべきかと」
「そうか。うむ。そうだな。皆の者も良く聞け。余に対して不平不満を抱くなとは言わぬ。言わぬが、それはそれぞれの担当大臣が所管する部署に申し出る事じゃ。このような場で声高に叫んでは叛逆罪に問わぬわけにはいかぬ故な。皆の者、分かったか」
「「「「「「『御意!!』」」」」」」
「うむ。さて、ブライ、ヒューブよ。せっかくの楽しみが台無しになってしまって済まぬの。この後、余の居室に来るように。改めて献上品を貰い受ける故な」
「「『御意!!』」」
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