無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定

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Sランクなんです。

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 国立タイランザード高等学園の裏庭には『学園ダンジョン』と呼ばれるダンジョンがある。ダンジョンと言っても初心者用の十階層までしかないDランク指定ダンジョンだ。
 貴族の子息、令嬢達は必ず冒険者ギルドに登録する事が国法で定められているので、入学した前後には登録を済ませている。
 とは言え、ただ登録すればいいというものではなく、最低でもDランクにまで達していないと必須科目のダンジョン科の単位が貰えず、下手をすると進級できなくなって留年するはめに陥る可能性があるので、生徒達は週末の二日間の休日になると冒険者活動をしてDランクに昇級しようと必死になっている。
 まあ、これは一般的な生徒に限った話しで、冒険者上がりの貴族家当主であり、現役のSランク冒険者のヒューブには関係ない事である。
 入学してから早、一ヵ月。ヒューブは初登校日に仲良くなったブラッツ子爵家の次女マリア嬢とファーストコンタクトこそ問題があったシルバニック伯爵家三男バルザックと雑談をしていたら、バルザックことバルザが胸ポケットから一枚のカードを取り出して、ヒューブとマリア嬢(嬢をつけないでとの事だったので、以降はマリア呼び)に嬉しそうに見せた。

「ヒューブ、マリア。俺はDランクになったぞ」

 入学して一ヵ月足らずでDランクになるのは中々大変な事なのでヒューブはそれなりに驚いて素直に「おめでとう」と祝い、マリアもそれに倣った。

「マリアもDだったよね?これで二人ともDランクだね」
「まあね」
「マリア。やっとお前に並んだぜ?」

 バルザはマリアが先にDランクになっていたのを知ると、置いていかれたくないの一心で頑張ったのだ。

「そうね。これでやっと一緒ね。ヒューブも早くDランクになれるといいわね」
「ん?」
「そうだぜ。良かったら俺達がサポートするからさ、一緒に依頼をうけようぜ」
「んん?」
「「どうした(の)?」」

 マリアとバルザの言葉とヒューブの反応が噛み合っていないので、二人は心配そうに聞いてくるが、ヒューブはもしかしてと思いながら聞いてみた。

「あ、あのさ。俺のランクを知らなかったりする感じ?」
「「(ヒューブの)ランク?」」
「そう。俺のランク」
「まだEランクくらいじゃないのか?」
「それともとっくにDランクだったり?」
「…そっか。知らないのか…。あのさ。物凄く言い辛いんだけどさ、俺のランクはコレなんだよね」

 ヒューブは黒色のギルドカードを二人に見せた。

「く、く、黒色!?」
「嘘、でしょ?黒色のギルドカードは…」
「そう。俺ってSランクなんだよ」
「「え、え、え、Sランクぅ---!?」」

 二人の叫び声で教室にいたクラスメイトの視線が残らずヒューブに集まった。

「おい、ヒューブ。これ…マジかよ!?」
「まあね」
「ちょっと待って。ミルフィナンド伯爵家の領地名はルッテンローグ…その寄り子貴族でSランクって事は…まさか『ルッテンローグの殲滅王』なの!?」
「あ~…うん」
「『ルッテンローグの殲滅王』なら聞いた事があるぞ!確かゴブリンキング率いるジェネラル五匹を含めた三百六十匹の集落をたった一人で潰したって…それにこの間はレッドドラゴンをソロで討伐して『ドラゴンスレイヤー』の称号を得たって…お前の事だったのか!?」
「まあ、一応ね」

 ヒューブが認めると、クラスメイト達がバっと集まってきた。
 口々に「凄い!」とか「上級魔法を教えてくれないか!」とか、それはもう物凄い喰いつき方だったので、さすがのヒューブも少し引いてしまった程だ。

「なあ、ヒューブ。裏庭の『学園ダンジョン』一緒に行ってくれないか?」
「あ!それは私もお願いしたいわ。駄目かしら?」
「別に構わないよ。何時が良い?」
「そうだな。次の休日は…月末の休日でどうだ?」
「マリアは?」
「私もその日が良いわ」
「了解。じゃあ、月末にだね」

 こうしてヒューブ、マリア、バルザの三人で学園ダンジョンに挑む事が決まった。
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