34 / 45
学園ダンジョン。
しおりを挟む
国立タイランザード高等学園の裏庭にあるダンジョン通称学園ダンジョンに挑むマリアとバルザの付き添いでヒューブも挑む約束をした月末の休日の朝、三人は十分な装備と物資を整えてダンジョンゲートにある受付カウンターでギルドカードと許可証を提示して中に入った。
「意外と明るいのね」
「そうだな。もっと薄暗いかと思ってたんだけどな」
ダンジョンの中が明るい事に二人は少なからず驚いていた。
「ああ。それは『光り苔』のせいだよ」
「「『光り苔』?』」」
二人は初めて聞く苔の名前に首を傾げるのへ、ヒューブが説明する。
「『光り苔』というのは苔の一種で、ダンジョンだけではなく、普通の洞窟とか森の中にも自生している、文字通りに光る苔の事だよ」
「へえ。そんなのがあるんだ?」
「初めて聞いたな」
「う~ん。確かに一般的には知られてないかもしれないね。けど、魔導ランプの素材としても使われてるんだよ?」
そう説明すると、二人はまた驚いた。
まさか魔導ランプに使われてるとは知らなかったし、思ってもいなかったからだ。
「こういう物は意外と身近な生活必需品として使われてるから、知っておいても損はないよ。おっと。お喋りはここまでだ。お出迎えが来てくれたよ」
ヒューブが指差す先にはゴブリンが三匹いた。それぞれ五十cmくらいの棍棒を持って、ヒューブ達を狩りに来ていた。
「バルザ。貴方から行く?それとも私から行く?」
「そうだな。まずはヒュ…あれ?」
バルザがヒューブに頼むと言おうとしたのだが、そこにヒューブの姿はなかった。
どこに行ったと見回すと、
「遅い」
「「『え?』」」
声のするほうに目を向けると、そこにはいなくなったヒューブが太刀に血振りをくれていた。足元には首を刎ねられた三匹のゴブリンが転がっていた。
「「『いつの間に!?』」」
驚く二人にヒューブは鋭い眼差しを向ける。
「狩りに来てる敵を前にして無駄口叩くな。喋る暇があったら狩れ。さもなきゃ死ぬぞ」
マリアとバルザはいつもとは違う口調のヒューブを目の当たりにして背中に冷たいものを感じた。
「二度は無い。次は問答無用でダンジョンから叩き出すからな」
「「『は、はい!すいませんでした!』」」
殺気と怒気が籠った眼差しで睨まれた二人は腰を九十度に曲げて謝った。
「行くぞ。あっちだ」
「「『はい!』」」
ヒューブの後をついていくと、今度はゴブリンが五匹いた。内、二匹は錆びた短剣を持っていた。
「あれは誰かが落としたか、アイツらが殺した誰かが装備していた物だろう」
その言葉にゾッとしたが、ここはさすがにバルザが漢を見せた。
腰の長剣を抜き放って真っ先に斬り込んだ。
その剣捌きはDランク冒険者資格を持っていて、また貴族の子息としての剣術の訓練を受けてきていただけの事はあった。伊達や酔狂じゃないという事か。
あっという間に五匹のゴブリンを討伐したバルザは少しだけ呼吸を乱しているが、まあ合格点だろう。
「次はマリアだな。あそこだ」
指差す先にはゴブリンが二匹いた。
頷いたマリアは杖を構えて、
「渦巻く風よ。荒れ狂う風よ。我が手に集いて敵を切り裂け。エアカッター!」
呪文を唱えて風の刃を放った。
風の刃はゴブリンを切り裂き、二匹とも討伐する事に成功した。
威力も練度も合格点だ。
通常種のゴブリンにはだが。
「マリア。出来れば『詠唱破棄』で魔法を撃てるようになると、もっと簡単にモンスターを狩れるぞ。バルザはもう少し剣を小さく振るえ。最小限の剣捌きでモンスターを斬れば体力を温存できるぞ。二人ともまだまだだが、伸びしろは十分ある。常に効率の良い戦い方をイメージしておくと、いざという時に役に立つぞ」
荒い箇所を指摘された二人は素直に頷いた。
(この分なら三階層、頑張れば四階層まで行けるかな。五階層はさすがに無理だろうけど、鍛え方さえ間違わなければその先にも行けるかな)
冷静に分析したヒューブは戦闘を歩きながら【索敵】を使って最短距離で狩れるモンスターの位置を探りながら一歩一歩進むのだった。
「意外と明るいのね」
「そうだな。もっと薄暗いかと思ってたんだけどな」
ダンジョンの中が明るい事に二人は少なからず驚いていた。
「ああ。それは『光り苔』のせいだよ」
「「『光り苔』?』」」
二人は初めて聞く苔の名前に首を傾げるのへ、ヒューブが説明する。
「『光り苔』というのは苔の一種で、ダンジョンだけではなく、普通の洞窟とか森の中にも自生している、文字通りに光る苔の事だよ」
「へえ。そんなのがあるんだ?」
「初めて聞いたな」
「う~ん。確かに一般的には知られてないかもしれないね。けど、魔導ランプの素材としても使われてるんだよ?」
そう説明すると、二人はまた驚いた。
まさか魔導ランプに使われてるとは知らなかったし、思ってもいなかったからだ。
「こういう物は意外と身近な生活必需品として使われてるから、知っておいても損はないよ。おっと。お喋りはここまでだ。お出迎えが来てくれたよ」
ヒューブが指差す先にはゴブリンが三匹いた。それぞれ五十cmくらいの棍棒を持って、ヒューブ達を狩りに来ていた。
「バルザ。貴方から行く?それとも私から行く?」
「そうだな。まずはヒュ…あれ?」
バルザがヒューブに頼むと言おうとしたのだが、そこにヒューブの姿はなかった。
どこに行ったと見回すと、
「遅い」
「「『え?』」」
声のするほうに目を向けると、そこにはいなくなったヒューブが太刀に血振りをくれていた。足元には首を刎ねられた三匹のゴブリンが転がっていた。
「「『いつの間に!?』」」
驚く二人にヒューブは鋭い眼差しを向ける。
「狩りに来てる敵を前にして無駄口叩くな。喋る暇があったら狩れ。さもなきゃ死ぬぞ」
マリアとバルザはいつもとは違う口調のヒューブを目の当たりにして背中に冷たいものを感じた。
「二度は無い。次は問答無用でダンジョンから叩き出すからな」
「「『は、はい!すいませんでした!』」」
殺気と怒気が籠った眼差しで睨まれた二人は腰を九十度に曲げて謝った。
「行くぞ。あっちだ」
「「『はい!』」」
ヒューブの後をついていくと、今度はゴブリンが五匹いた。内、二匹は錆びた短剣を持っていた。
「あれは誰かが落としたか、アイツらが殺した誰かが装備していた物だろう」
その言葉にゾッとしたが、ここはさすがにバルザが漢を見せた。
腰の長剣を抜き放って真っ先に斬り込んだ。
その剣捌きはDランク冒険者資格を持っていて、また貴族の子息としての剣術の訓練を受けてきていただけの事はあった。伊達や酔狂じゃないという事か。
あっという間に五匹のゴブリンを討伐したバルザは少しだけ呼吸を乱しているが、まあ合格点だろう。
「次はマリアだな。あそこだ」
指差す先にはゴブリンが二匹いた。
頷いたマリアは杖を構えて、
「渦巻く風よ。荒れ狂う風よ。我が手に集いて敵を切り裂け。エアカッター!」
呪文を唱えて風の刃を放った。
風の刃はゴブリンを切り裂き、二匹とも討伐する事に成功した。
威力も練度も合格点だ。
通常種のゴブリンにはだが。
「マリア。出来れば『詠唱破棄』で魔法を撃てるようになると、もっと簡単にモンスターを狩れるぞ。バルザはもう少し剣を小さく振るえ。最小限の剣捌きでモンスターを斬れば体力を温存できるぞ。二人ともまだまだだが、伸びしろは十分ある。常に効率の良い戦い方をイメージしておくと、いざという時に役に立つぞ」
荒い箇所を指摘された二人は素直に頷いた。
(この分なら三階層、頑張れば四階層まで行けるかな。五階層はさすがに無理だろうけど、鍛え方さえ間違わなければその先にも行けるかな)
冷静に分析したヒューブは戦闘を歩きながら【索敵】を使って最短距離で狩れるモンスターの位置を探りながら一歩一歩進むのだった。
54
あなたにおすすめの小説
異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。
猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。
もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。
すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。
主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。
――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました――
風景が目まぐるしく移り変わる。
天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。
移り変わる景色こそは、
第一天 ヴィロン。
第二天 ラキア。
第三天 シャハクィム。
第四天 ゼブル。
第五天 マオン。
第六天 マコン。
それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。
気付けば明星は、玉座に座っていた。
そこは天の最高位。
第七天 アラボト。
そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。
――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。
ガチャで大当たりしたのに、チートなしで異世界転生?
浅野明
ファンタジー
ある日突然天使に拉致された篠宮蓮、38歳。ラノベは好きだが、異世界を夢見るお年頃でもない。だというのに、「勇者召喚」とやらで天使(自称)に拉致られた。周りは中学生ばっかりで、おばちゃん泣いちゃうよ?
しかもチートがもらえるかどうかはガチャの結果次第らしい。しかし、なんとも幸運なことに何万年に一度の大当たり!なのにチートがない?もらえたのは「幸運のアイテム袋」というアイテム一つだけ。
これは、理不尽に異世界転生させられた女性が好き勝手に生きる物語。
神様を育てることになりました
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
死後の世界で転生待ちをしていた。誘導にしたがって進んでいたが、俺だけ神使に別の場所に案内された。そこには5人の男女がいた。俺が5人の側に行くと、俺達の前にいた神様から「これから君達にはこの神の卵を渡す。この卵を孵し立派な神に育てよ」と言われた。こうしてオレは神様を育てることになった。
別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが
まっど↑きみはる
ファンタジー
「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」
そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。
赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス
優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました
お父さんは村の村長みたいな立場みたい
お母さんは病弱で家から出れないほど
二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます
ーーーーー
この作品は大変楽しく書けていましたが
49話で終わりとすることにいたしました
完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい
そんな欲求に屈してしまいましたすみません
ラストダンジョンをクリアしたら異世界転移! バグもそのままのゲームの世界は僕に優しいようだ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はランカ。
女の子と言われてしまう程可愛い少年。
アルステードオンラインというVRゲームにはまってラストダンジョンをクリア。
仲間たちはみんな現実世界に帰るけれど、僕は嫌いな現実には帰りたくなかった。
そんな時、アルステードオンラインの神、アルステードが僕の前に現れた
願っても叶わない異世界転移をすることになるとは思わなかったな~
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
本当の外れスキルのスロー生活物語
転定妙用
ファンタジー
「箱庭環境操作」という外れスキルしかないエバンズ公爵家の長男オズワルドは、跡継ぎの座を追われて、辺境の小さな土地を与えられて・・・。しかし、そのスキルは実は・・・ということも、成り上がれるものでもなく・・・、スローライフすることしかできないものだった。これは、実は屑スキルが最強スキルというものではなく、成り上がるというものでもなく、まあ、一応追放?ということで辺境で、色々なことが降りかかりつつ、何とか本当にスローライフする物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる