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スタンビートと魔族襲来
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冒険者ギルド本部統括マスターのリーリン・ザラスから齎された魔族の暗躍を疑う報せを受け、国王陛下は各貴族に対して自領内のみならず近隣の貴族領内にも厳重な警戒をするよう通達を下した。
これは冒険者ギルドも同じで、モンスターの討伐時には今まで以上に警戒し、細心の注意をもって事に当たるようにと通達が下された。
またヒューブには王国内で三人しかいない現役のSランク冒険者にして男爵家当主であるので、
「近隣諸侯が危ないと判断した場合には迅速に救援に向かい、諸侯の許可を得ずとも原因の討伐をせよ」
との国王陛下直々の勅命が下されたので、学園に通いながら休日になると【ワープ】と【ゲート】を使って自領に戻っては近隣諸侯の領地も見廻り、モンスターを討伐しながら魔族によって引き起こされるスタンビートに対する警戒と対策を練る日々を送っていた。
特にジェネルド領にはダンジョンがあるので、最上級警戒体制が敷かれている。
幸いな事に、クライスト男爵家の領兵団は最低でもCランク冒険者と同等の戦闘能力がなければいけないという規則があるので、余程の事かない限りは問題ないのだが、こればかりは水物なので決して油断はできない。
領兵団員は完全武装で防壁付近やダンジョンの周り、近隣周辺を見回って、少しの異変も見逃さないように巡回している。
それが一ヵ月くらい過ぎた頃、学園にいたヒューブの通信魔導具に緊急通信が入った。
『至急、至急、至急、至急!!領兵団より緊急通報!!』
「何事か!?」
『ダンジョンでスタンビート発生!!』
「スタンビート!?領兵団は全軍出動!巡邏隊、警備隊、衛兵隊は領民の非難誘導を急げ!!俺は防壁前に直接ワープする!!尚、このスタンビートには魔族が関与しているので、絶対に近付くな!!街に近付くモンスターだけを討伐せよ!!」
『了解しました!!』
魔導通信を終えると、教師に国王陛下に連絡するようにと言い、その場からジェネルド領の防壁前に【ワープ】した。
「状況はどうなってる!?」
「な、何者…って領主様!?」
突然ヒューブが現れた事に驚く領兵を無視して状況報告を命じると、領兵が慌てて答える。
「現在、ワーウルフを先頭にしたモンスター軍三万程が進軍してきております」
「三万もか…分かった。領兵団第一、第二、第三小隊は俺に続け!!他は討ち漏らしを討て。一匹たりとも街に近付かせるな!!」
「はいっ!」
「第一、第二、第三小隊、突撃!我と思わん者続け、我と思わん者は続けや者共おぉぉぉぉっっ!!」
「「「『うおぉぉぉぉぉっっ!!』」」」
第一小隊五十名。
第二小隊五十名。
第三小隊五十名。
計百五十名が雄叫びあげてスタンビートのモンスター軍に斬り込んだ。
先手は各小隊の魔法士部隊による広範囲魔法攻撃で先頭を切るモンスター軍を薙ぎ払う。二手目に弓部隊による曲射攻撃で、三手目はの特攻隊による斬り込み攻撃を援護する。最後の四手目が討ち漏らしや死に損ないに止めを刺していく。
クライスト男爵家の領兵団員は様々な武器を、自分に合った武器を使う事を許可されている。他領の騎士団や領兵団から見れば統一性がなく、不格好に見えるかもしれないが、自分が使い易い武器を使うほうが死亡率を最大限に低くできるのなら別に構わないというのがヒューブの考えだ。だから特攻隊員は長剣、短剣、槍、斧、手斧、戦斧、メイス(棍棒)など有りと凡ゆる武器を使う。そもそも領主にして特攻隊長であるヒューブからしてこの王国では珍しい刀を使うのだから、誰に遠慮する必要がないのだ。
特攻隊員による斬り込みは抜群の効果を発揮した。
一人残らず殺気、いや殺意全開で攻撃するし、討伐したモンスターから採取できた素材はクライスト男爵家が全部買い取り、そのお金をこの戦争に従軍した兵士達に平等に配分するので、モンスター軍を敵とは見ているものの、実際にはお金にしか見えていないのである。
モンスター軍も自分達をお金として見られているとは思いもしなかったのだろう。兵士達の目の奥にギラつくお金のマークに微かに動揺し、何なら少しだけ後退りするモンスターもいた程だ。
ヒューブも、
「斃せ、斃せ!一匹残らず討ち取れー!!」
雄叫びあげて我先にと斬り斃していくので、兵士達も遅れをとるなとばかりに刃を振るう。
ヒューブを先頭にしたクライスト男爵領兵団の猛攻で、最初は三万近くいたモンスター軍も残り千匹を下回る程に減っていた。
「者共、後僅かだ!気合い入れ直してブッた斬れーーッッッ!!」
「「「『うおおおおっっっっ!!!』」」」
領兵団が雄叫びあげて最後の斬り込み攻撃を仕掛けようとしたその時、王都に向かう道中で感じたあの視線と同じものを感じた。
「最近の人間は恐ろしいわねぇ」
その視線はモンスター軍の後ろから出てきた一人の女性からだった。
「邪魔よ」
その女性は近くにいたモンスターの頭を掴むと平然と握り潰した。
「何者…いや、貴様は魔族だな(何故、魔族が俺を見ていたんだ)?」
「あら、驚いたわね。坊やは私が魔族だって分かるのね」
「ふんっ。それだけ禍々しいオーラを放っていれば馬鹿でも分かるだろ(一筋縄じゃいかないな)」
「あらあら、また驚いたわね。坊やにはオーラが見えるのね?」
ヒューブとこの女性魔族が口にしているオーラとは『闘氣』の事で、凡ゆる種族を問わず、Lvが限界突破すると『闘氣術』が使えるようになる。この闘氣術とは魔法が魔力を使うのに対して個人の生命力を使う戦闘術なのだ。
「ふふふ。坊や。お名前は?」
「名前を知らなかったのか。俺はゲーゲンヒューバー・フォン・クライスト・ジェネルドだ。長ったらしいからヒューブで構わない」
「あら、ありがとう。私はセレン・ブローカッドよ。前に見た時よりも強くなったわね。改めて宜しくね、ヒューブくん」
「さすがに魔族と宜しくするつもりはないが…何だか憎めない奴だ、なっ!!」
「貴方も、ねっ!!」
お喋りしている間に両者は攻撃魔法の準備を整えており、同時に攻撃した。
これは冒険者ギルドも同じで、モンスターの討伐時には今まで以上に警戒し、細心の注意をもって事に当たるようにと通達が下された。
またヒューブには王国内で三人しかいない現役のSランク冒険者にして男爵家当主であるので、
「近隣諸侯が危ないと判断した場合には迅速に救援に向かい、諸侯の許可を得ずとも原因の討伐をせよ」
との国王陛下直々の勅命が下されたので、学園に通いながら休日になると【ワープ】と【ゲート】を使って自領に戻っては近隣諸侯の領地も見廻り、モンスターを討伐しながら魔族によって引き起こされるスタンビートに対する警戒と対策を練る日々を送っていた。
特にジェネルド領にはダンジョンがあるので、最上級警戒体制が敷かれている。
幸いな事に、クライスト男爵家の領兵団は最低でもCランク冒険者と同等の戦闘能力がなければいけないという規則があるので、余程の事かない限りは問題ないのだが、こればかりは水物なので決して油断はできない。
領兵団員は完全武装で防壁付近やダンジョンの周り、近隣周辺を見回って、少しの異変も見逃さないように巡回している。
それが一ヵ月くらい過ぎた頃、学園にいたヒューブの通信魔導具に緊急通信が入った。
『至急、至急、至急、至急!!領兵団より緊急通報!!』
「何事か!?」
『ダンジョンでスタンビート発生!!』
「スタンビート!?領兵団は全軍出動!巡邏隊、警備隊、衛兵隊は領民の非難誘導を急げ!!俺は防壁前に直接ワープする!!尚、このスタンビートには魔族が関与しているので、絶対に近付くな!!街に近付くモンスターだけを討伐せよ!!」
『了解しました!!』
魔導通信を終えると、教師に国王陛下に連絡するようにと言い、その場からジェネルド領の防壁前に【ワープ】した。
「状況はどうなってる!?」
「な、何者…って領主様!?」
突然ヒューブが現れた事に驚く領兵を無視して状況報告を命じると、領兵が慌てて答える。
「現在、ワーウルフを先頭にしたモンスター軍三万程が進軍してきております」
「三万もか…分かった。領兵団第一、第二、第三小隊は俺に続け!!他は討ち漏らしを討て。一匹たりとも街に近付かせるな!!」
「はいっ!」
「第一、第二、第三小隊、突撃!我と思わん者続け、我と思わん者は続けや者共おぉぉぉぉっっ!!」
「「「『うおぉぉぉぉぉっっ!!』」」」
第一小隊五十名。
第二小隊五十名。
第三小隊五十名。
計百五十名が雄叫びあげてスタンビートのモンスター軍に斬り込んだ。
先手は各小隊の魔法士部隊による広範囲魔法攻撃で先頭を切るモンスター軍を薙ぎ払う。二手目に弓部隊による曲射攻撃で、三手目はの特攻隊による斬り込み攻撃を援護する。最後の四手目が討ち漏らしや死に損ないに止めを刺していく。
クライスト男爵家の領兵団員は様々な武器を、自分に合った武器を使う事を許可されている。他領の騎士団や領兵団から見れば統一性がなく、不格好に見えるかもしれないが、自分が使い易い武器を使うほうが死亡率を最大限に低くできるのなら別に構わないというのがヒューブの考えだ。だから特攻隊員は長剣、短剣、槍、斧、手斧、戦斧、メイス(棍棒)など有りと凡ゆる武器を使う。そもそも領主にして特攻隊長であるヒューブからしてこの王国では珍しい刀を使うのだから、誰に遠慮する必要がないのだ。
特攻隊員による斬り込みは抜群の効果を発揮した。
一人残らず殺気、いや殺意全開で攻撃するし、討伐したモンスターから採取できた素材はクライスト男爵家が全部買い取り、そのお金をこの戦争に従軍した兵士達に平等に配分するので、モンスター軍を敵とは見ているものの、実際にはお金にしか見えていないのである。
モンスター軍も自分達をお金として見られているとは思いもしなかったのだろう。兵士達の目の奥にギラつくお金のマークに微かに動揺し、何なら少しだけ後退りするモンスターもいた程だ。
ヒューブも、
「斃せ、斃せ!一匹残らず討ち取れー!!」
雄叫びあげて我先にと斬り斃していくので、兵士達も遅れをとるなとばかりに刃を振るう。
ヒューブを先頭にしたクライスト男爵領兵団の猛攻で、最初は三万近くいたモンスター軍も残り千匹を下回る程に減っていた。
「者共、後僅かだ!気合い入れ直してブッた斬れーーッッッ!!」
「「「『うおおおおっっっっ!!!』」」」
領兵団が雄叫びあげて最後の斬り込み攻撃を仕掛けようとしたその時、王都に向かう道中で感じたあの視線と同じものを感じた。
「最近の人間は恐ろしいわねぇ」
その視線はモンスター軍の後ろから出てきた一人の女性からだった。
「邪魔よ」
その女性は近くにいたモンスターの頭を掴むと平然と握り潰した。
「何者…いや、貴様は魔族だな(何故、魔族が俺を見ていたんだ)?」
「あら、驚いたわね。坊やは私が魔族だって分かるのね」
「ふんっ。それだけ禍々しいオーラを放っていれば馬鹿でも分かるだろ(一筋縄じゃいかないな)」
「あらあら、また驚いたわね。坊やにはオーラが見えるのね?」
ヒューブとこの女性魔族が口にしているオーラとは『闘氣』の事で、凡ゆる種族を問わず、Lvが限界突破すると『闘氣術』が使えるようになる。この闘氣術とは魔法が魔力を使うのに対して個人の生命力を使う戦闘術なのだ。
「ふふふ。坊や。お名前は?」
「名前を知らなかったのか。俺はゲーゲンヒューバー・フォン・クライスト・ジェネルドだ。長ったらしいからヒューブで構わない」
「あら、ありがとう。私はセレン・ブローカッドよ。前に見た時よりも強くなったわね。改めて宜しくね、ヒューブくん」
「さすがに魔族と宜しくするつもりはないが…何だか憎めない奴だ、なっ!!」
「貴方も、ねっ!!」
お喋りしている間に両者は攻撃魔法の準備を整えており、同時に攻撃した。
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