砂漠のガイナス

霜月

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第17話 結果

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 テレビが映し出したのは真っ黒な画面だった。

「何だ?」

 胸がざわつく。
 これはおそらくウェルトの仕業。
 成功か失敗か。
 よからぬことが起きる予感がする。

「ウェルトさんでしょうか」

 ポルンが不安そうに呟いた。
 全員がテレビに視線を移し、次の動きを待った。
 緊張の瞬間。
 再度画面が切り替わると映し出されたのは……。

「侵入者……?」

 誰かが呟いた。
 そう。画面に映った内容は、情報局に不正に侵入した者が発生したという内容だったのだ。
 オレは思わず体が動いた。
 しかし扉に手を掛け、外に出ようとした瞬間、ペルリナが呼び止めてきた。

「待ちなさい!」
「待てるかよ! これはウェルトのことだ! 仲間が危険な状態にあるんだ! 助けに行く!」

 構わず扉を開けた。
 すると背後から誰かが走ってくる音が聞こえた。

「俺が一緒に行きます!」

 ついてきたのはリローテだった。

「俺がガイナスさんもウェルトさんも守ります! だから姉御は、ここで準備をしていてください!」
「……分かったわ」

 ペルリナは逡巡の末、承諾した。

「いい? 絶対に戻って来なさいよ。二人は大切なメンバーなんだから」
「はい!」
「了解だ」

 必ず助ける。
 固い決意を胸に、リローテと共に外へ飛び出した。

「情報局まで飛ばします! 乗ってください!」

 外にはバイクが置かれていた。
 後ろに乗り、リローテの運転のもと、情報局へと急ぐ。
 基地の場所はろくに人間もいない、オアシスの僻地だ。
 ここの存在を知っているのは闇夜を照らす満月だけ。
 廃墟だらけのゴーストタウン。そんな中をバイクはフルスロットルで突き進む。

「近道するんで、しっかり掴まっていてくださいよ!」
「分かっ……うぉ!?」

 遠心力により、体が放り出されそうになる。
 リローテはバイクが通っていいとは思えない小道を、答えを知っている迷路を進むかの如く迷いなく走っていく。

「情報局までどれくらいかかる?」
「二十、いや十分で着いてみせますよ!」

 頼もしい限りだ。

「待ってろウェルト。すぐに助けに行くからな」

 逸る気持ちを抑え、バイクは夜の街へと入っていった。
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