邪神に仕える大司教、善行を繰り返す

逸れの二時

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険しき道々

順調な旅路

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 今日の献立は万能野菜のグライをスパイスで漬け込み、そこにカラガオンの肉を巻いたものと、大きくて丸い緑の野菜のビログをイボンの肉と合わせて煮込んだシチューのようなものだ。

 こちらも甘いような辛いような独特なスパイスが使われていて、鳥っぽい魔物の肉ながら濃厚な味わいで驚いた。それは依頼人の2人も同じだったようで、太っちゃうねなんて言いながらノエラの料理を沢山食べて満足そうにしていた。

 プライノたちの食事は二人が不足なく用意しているみたいで、肉と野菜の両方を分けて三頭平等にあげていた。魔物であっても食事は大きめで底の深い皿にきちんと盛ってあって、なんとなくだがプライノたちも可愛がられているのだなと思った。

 皿の片付けはミーナとオルタヴィアが持ち込んだ魔術石で洗おうとしてくれたが、ノエラがいつものように精霊魔法で綺麗にしてくれた。ノエラの精霊魔法はこういうときにでも本当に役立ってくれるな。

 それからノエラが夕飯を作り始めていたあたりから、もう辺りがすっかり暗くなっていたので、ノエラは光の精霊魔法で明かりを創り出し、俺はランタンに火を灯して照明代わりにする。

 ミーナとオルタヴィアもそれぞれ火を点けて灯すタイプのランタンを所持していたのでそれで光源はバッチリだった。何かあったらいけないので、眠るときは当然見張りを立てようと話し合い、前半はノエラとミーナ、後半は俺とオルタヴィアで見張りをすることになった。

 俺とノエラだけで見張りをするつもりだったんだが、私たちは慣れていますから、是非見張りにも参加させてくださいと押し切られた。依頼人に見張りの番をさせるというのは何とも抵抗があったが、せっかく参加すると言ってくれたのにそれをわざわざ無下にする理由は特になかったので好意に甘えさせてもらった。

 前半は闇の障壁を維持しながらノエラとミーナが見張りをしてくれたが、特に何かに襲われるといったことはなかったらしい。女性二人は何やら話に花を咲かせて盛り上がっていたようだが、どんな話をしていたのか聞けるほど俺は野暮ではなかったので、気にはなったが内容は知らない。

 後半の見張りは俺とオルタヴィア。ノエラの障壁は術者の彼女が眠ってしまうと効果が切れるらしいので、代わりに俺が【暗影の祈りダークプレイヤー】という奇跡で気配を消した。

 何だかんだ俺にもそんな効果がある奇跡を使えるということを今紋章に聞いて知った。自分で知らないだけで、俺の可能性はまだまだありそうだ。俺の奇跡の効果があるので、ノエラとミーナの番から既に灯っていたたき火で遠慮なく暖を取りながら、俺とオルタヴィアは少し話をした。

 最初は俺たちに護衛を頼めてよかったとか、俺たちも行商の護衛なんて初めてで不謹慎ながらワクワクさせてもらってるなど、当たり障りのない会話から始まった。

 オルタヴィアは上品な雰囲気で、金髪の髪とかやや派手な服装から初対面の印象は高飛車な人かもと実は思っていたのだが、未だに俺とノエラには敬語で話してくれるし、すごく空気を読んで俺たちとの関係が円滑に進むように調整する役割を担ってくれるので、真面目で優しい人なのだなと思った。

 そのことをストレートではないにしろそれっぽく伝えると若干嬉しそうにしながらもどこか喜びきれないような表情をされて、何だか複雑な過去がありそうな感じだった。そんなにズカズカ人の内面に踏み込むのも良くないので、そこからも集中力が続くように適度に会話をしながら静かな夜をまったりと過ごした。

 奇跡のおかげか、やはり魔物とは遭遇することもなく朝を迎えて、起きてきたノエラとミーナを交えて朝食を食べた。今度はミーナとオルタヴィアが用意してくれた食事をもらった。

 朝食らしくフレッシュなサラダとあっさりした肉のハムらしきものを食べた。燻製っぽくしてあって香ばしく、サラダとの相性も抜群だった。食事を終えたらテントと消えてしまっていたたき火の跡を片付けて、また爽やかな風の吹く丘を進み始めた。
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