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第六章
遠き森の親友
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「夢を利用する魔物か。これは知覚魔法なのか?」
「知覚魔法の応用でしょう。お得意の催眠凝視を発展させたのだと思います」
「魔物の目を見られないし、知覚魔法にも用心しないといけないですか? 難儀な相手だと思うです」
「確かに困った相手よね。直視できないとなると鏡で戦うなんていうのも希に聞く話だけど、知覚魔法までこられると対策のしようがないわね」
「そうですね……石化の視線ではないことだけが救いですが……」
アロイスが対策を考えあぐねていると、その彼が腰に付けていた瓶を見て青年が聞いてくる。
「……そのポーション……錬金術か……?」
そのヒントによってアロイスは気が付いた。
「そうか! 錬金術を使えば催眠対策ができますね」
「最近ポーションを使ってなかったから忘れてたな」
青年の援護のおかげで対策を考え付いたところで単純な構造の遺跡から抜け、そこから東に広がる森の中に入っていく。
ここの森はゲルナードの森よりもさらに草木が生い茂っていて、よりジメジメしているのだが、それによってシダ類の植物が非常に多く群生しており、独特の香りが充満していた。
その中で抗催眠作用のあるマヌサの薬草を探し当てて丸々採取するのには苦労するが、五人分の材料をようやく見つける。
しかしかなり時間がかかってしまって、一旦森を抜けて日の高さを確認すると、もうお昼を過ぎたくらいの時間になっている。
ここからカルムの街へは三時間ほどかかるが、睡眠対策ポーションの作成に加え、青年の身なりと武器を確保するには帰還するのが一番いいだろう。
アロイスがそう仲間に告げると、夜までどうせ待たなくてはならないと青年が言ってきた。
ということで各々街に向かって歩き出すが、そのときに少しばかり青年のことについて聞いてみた。もちろん親の話は抜きにしてだが。
彼の名前はゲルセル ベルゲラルド。ニ十年間森で狩猟をして暮らしていたらしい。そのため索敵と探索能力は高く、森の魔物についても知識が豊富だ。
衣服や武器の弓などはカルムの街の知り合いから貰ったものらしく、その彼とは子供の頃からの付き合いで、今もたまに会う程度だそうだ。
度々黙ったり、間を空けて話したりするので、そこまで話をする間にはもうカルムの街の正門に到着していた。
しかし今の彼は貸し与えたマントがあるとは言え、上半身裸の状態で、しかも半魔族という珍しい種族だ。そのままカルムに入れるはずもなく、やむを得ず門の外で装備を待つことになった。
お金はパーティの財産から出すことに決まって鍛冶屋に向かうと、相変わらずジャンがハンマーで鉄の塊を叩いている。
熱せられた塊は高熱でオレンジ色をしており、水に入れると音を立てて鉄の暗い色へと戻っていく。
四人でその様を眺めていると、ようやくジャンが客が来たことに気付いて対応しに来る。集中すると周りが見えなくなるのは職人の性のようである。
「お、金の入りが良くなってきた冒険者の御一行様じゃねえか。また武具の新調か?」
「新調というか追加だな。弓と半魔族用の軽装備をくれ」
「弓を使う半魔族だって? それってもしかしてゲルセルって名前だったりしないか?」
「ジャンさん、知っているですか?」
「やっぱりか。このあたりじゃ半魔族自体珍しいからな」
「もしかして私がこの街に初めて来たときに話されていた半魔族って……」
「ああ、ゲルセルのことだ。アイツは森で暮らしてるはずだが、どこで知り合ったんだ?」
「聞いたら驚かれそうだけど、彼、処刑されそうになってたのよ」
「何だって!?」
「ある事件の犯人だと決めつけられて危うくな……。俺たちがたまたま通りかからなきゃどうなってたかわからねえぜ」
「そんなことがなあ……詳しい事情も気になるが、ともかく親友を助けてくれて感謝するぜ。そういうことならお代はもらえねえな。ちょっと待っててくれ」
ジャンはそう言って店の奥に入っていくと丈夫そうでしっかりとした弓に、翼の部分を空けてあるジャケットと革のズボンを持ってきた。彼らが頼む前から既に用意されていたかのようだ。
「お代のお心遣いも含めて、どうもありがとうございます。準備がいいですね」
「弓はともかく半魔族用の装備は滅多に作らないんだが、なんだかゲルセルのことを聞いてから作っておくべきのような気がしてな。しばらく会ってなかったからちょうどいいぜ」
「サービスがいいのね。彼と一緒に事件を解決したらまた来るわ」
「そのときにアイツと話をしてえなあ。大丈夫だと思うが無事に帰って来いよ!」
「みんなで協力すればきっと大丈夫だと思うです。行ってくるです」
カイネの可愛らしい笑顔と仕草も相まって、ジャンは安心したように頷くと、また暑苦しい仕事に戻っていった。
アロイスはそれからレインボーファーマシーに向かい、摘んできた薬草をポーションにする作業をしに行き、残りの三人は外で待たせているゲルセルに装備を届けに行った。
「知覚魔法の応用でしょう。お得意の催眠凝視を発展させたのだと思います」
「魔物の目を見られないし、知覚魔法にも用心しないといけないですか? 難儀な相手だと思うです」
「確かに困った相手よね。直視できないとなると鏡で戦うなんていうのも希に聞く話だけど、知覚魔法までこられると対策のしようがないわね」
「そうですね……石化の視線ではないことだけが救いですが……」
アロイスが対策を考えあぐねていると、その彼が腰に付けていた瓶を見て青年が聞いてくる。
「……そのポーション……錬金術か……?」
そのヒントによってアロイスは気が付いた。
「そうか! 錬金術を使えば催眠対策ができますね」
「最近ポーションを使ってなかったから忘れてたな」
青年の援護のおかげで対策を考え付いたところで単純な構造の遺跡から抜け、そこから東に広がる森の中に入っていく。
ここの森はゲルナードの森よりもさらに草木が生い茂っていて、よりジメジメしているのだが、それによってシダ類の植物が非常に多く群生しており、独特の香りが充満していた。
その中で抗催眠作用のあるマヌサの薬草を探し当てて丸々採取するのには苦労するが、五人分の材料をようやく見つける。
しかしかなり時間がかかってしまって、一旦森を抜けて日の高さを確認すると、もうお昼を過ぎたくらいの時間になっている。
ここからカルムの街へは三時間ほどかかるが、睡眠対策ポーションの作成に加え、青年の身なりと武器を確保するには帰還するのが一番いいだろう。
アロイスがそう仲間に告げると、夜までどうせ待たなくてはならないと青年が言ってきた。
ということで各々街に向かって歩き出すが、そのときに少しばかり青年のことについて聞いてみた。もちろん親の話は抜きにしてだが。
彼の名前はゲルセル ベルゲラルド。ニ十年間森で狩猟をして暮らしていたらしい。そのため索敵と探索能力は高く、森の魔物についても知識が豊富だ。
衣服や武器の弓などはカルムの街の知り合いから貰ったものらしく、その彼とは子供の頃からの付き合いで、今もたまに会う程度だそうだ。
度々黙ったり、間を空けて話したりするので、そこまで話をする間にはもうカルムの街の正門に到着していた。
しかし今の彼は貸し与えたマントがあるとは言え、上半身裸の状態で、しかも半魔族という珍しい種族だ。そのままカルムに入れるはずもなく、やむを得ず門の外で装備を待つことになった。
お金はパーティの財産から出すことに決まって鍛冶屋に向かうと、相変わらずジャンがハンマーで鉄の塊を叩いている。
熱せられた塊は高熱でオレンジ色をしており、水に入れると音を立てて鉄の暗い色へと戻っていく。
四人でその様を眺めていると、ようやくジャンが客が来たことに気付いて対応しに来る。集中すると周りが見えなくなるのは職人の性のようである。
「お、金の入りが良くなってきた冒険者の御一行様じゃねえか。また武具の新調か?」
「新調というか追加だな。弓と半魔族用の軽装備をくれ」
「弓を使う半魔族だって? それってもしかしてゲルセルって名前だったりしないか?」
「ジャンさん、知っているですか?」
「やっぱりか。このあたりじゃ半魔族自体珍しいからな」
「もしかして私がこの街に初めて来たときに話されていた半魔族って……」
「ああ、ゲルセルのことだ。アイツは森で暮らしてるはずだが、どこで知り合ったんだ?」
「聞いたら驚かれそうだけど、彼、処刑されそうになってたのよ」
「何だって!?」
「ある事件の犯人だと決めつけられて危うくな……。俺たちがたまたま通りかからなきゃどうなってたかわからねえぜ」
「そんなことがなあ……詳しい事情も気になるが、ともかく親友を助けてくれて感謝するぜ。そういうことならお代はもらえねえな。ちょっと待っててくれ」
ジャンはそう言って店の奥に入っていくと丈夫そうでしっかりとした弓に、翼の部分を空けてあるジャケットと革のズボンを持ってきた。彼らが頼む前から既に用意されていたかのようだ。
「お代のお心遣いも含めて、どうもありがとうございます。準備がいいですね」
「弓はともかく半魔族用の装備は滅多に作らないんだが、なんだかゲルセルのことを聞いてから作っておくべきのような気がしてな。しばらく会ってなかったからちょうどいいぜ」
「サービスがいいのね。彼と一緒に事件を解決したらまた来るわ」
「そのときにアイツと話をしてえなあ。大丈夫だと思うが無事に帰って来いよ!」
「みんなで協力すればきっと大丈夫だと思うです。行ってくるです」
カイネの可愛らしい笑顔と仕草も相まって、ジャンは安心したように頷くと、また暑苦しい仕事に戻っていった。
アロイスはそれからレインボーファーマシーに向かい、摘んできた薬草をポーションにする作業をしに行き、残りの三人は外で待たせているゲルセルに装備を届けに行った。
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