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第七章
恵みの祭壇
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操原魔法の扱いにより長けているカイネの魔法を主軸にして、集中能力の高いアロイスがそれに合わせて力場の質を増幅させる。
そうして強力になった上向きの力を維持している間に、マデリエネ、続いてザルムが川の向こう側にたどり着く。
地面と同じように空中を歩けるという奇妙な現象は言葉にしがたい。マデリエネとザルムは少しばかりの恐怖を感じつつ、どこか楽しんでしまっていた。
そうしてここからが本番。アロイスとカイネの順番だ。
彼らは先ほどのように魔法の維持に専念するわけにはいかない。維持しながら歩いて進まなければならないのだ。
自分にかかる重力とちょうどぴったりの上向きの力を維持してさらに歩いて前に進む。
これをやっている間、極度の集中によってアロイスとカイネには疲労の色が見え始める。しかしなんとか二人とも渡り切り、川に落下することはなかった。
落下したときにはゲルセルが空に引き上げるという手筈になっていたとはいえ、川のどこにクロコダイルやウォーター・リーパーが潜んでいるかなんて誰にもわからないのだ。
一安心して十分ほど、水辺から離れて休憩すると、彼らはまた歩き出した。集中して疲れただけなので、頭を空っぽにしてリラックスできれば休憩に時間はかからないのだ。
川を渡り切ったこちら側もやはり対岸と変わらず、高い木の群生が続き、日差しが遮られている。
その中で日が差し込むところを見つけてはザルムが地図を確認しながらカイネと並んで先頭を歩いていく。
その後ろ、つまり真ん中にゲルセルがいて、さらにその後ろがアロイスとマデリエネという隊列で厳戒態勢を敷いている。
そうして警戒していたおかげで、木の陰に隠れながらこっそりとこちらに近付いてくる魔物を発見する。後方からストーキングするようにやってくる魔物の大きさはそれなりで、人間よりも大きいというくらい。
動物の下半身に上半身は毛深い人間のような見た目はケンタウロスに似ているが、こちらの魔物は下半身がシカの足だ。
気付かれていないと思っているようで、のそりのそりと距離を詰めて来るが、アロイスとマデリエネにはまさにバレバレだ。
というよりも体が大きすぎて木に隠れきれていないため、どうやっても体の一部がはみ出てしまっている。この魔物の正体は、アロイスがマデリエネに囁いて告げる。
「あれはピアレイですね。奇襲攻撃をかけてくるつもりでしょう」
「敵対的な種族なのね。それならみんなに伝えましょう」
それとなく伝えるために、ザルムとカイネを立ち止まらせ、道を確認するという名目で話をする。
マデリエネがザルムを追い越す形で、後ろを見ないように気を使った。
そうして後ろの不振な魔物の話をし終わり、意を決して全員で振り返ると、ピアレイは観念したようでおとなしく姿を現した。
相手は慣れた手つきで弓を取り出し矢をつがえている。水で隠れているが、山羊を模した蹄には力が入っているに違いない。
だが番えられた矢が放たれる前に、アロイスの魔法がピアレイを眠りに誘った。奇襲作戦は見事に失敗だ。
深い睡眠に入れたためか、ピアレイの体は完全に倒れて水飛沫を上げる。それでも起きないが。
「どうするこれ?」
マデリエネが困ったようにピアレイを見下ろす。放置という選択肢もないことはないからだ。
「後を追われたら面倒だ。とどめを刺すか?」
「そうしましょうか。帰りもここを通りますから危険は減らしておきましょう。ザルムさん、お願いできますか?」
「おう」
結局無力化することになった。戦おうとする意志が見えた以上は遠慮しないこともときには必要だ。無情だが賢明な決断をして先を急ぐ。
足元が水に浸かっている感覚が気にならなくなってきて、そう時間も経たない内、冒険者たちは明らかな地形の変化を感じた。
湿地にはあまり見られないごつごつとした岩が所々から隆起しているのだ。
不自然な状態だが、地図には注意書きのように岩の隆起について書かれている。どうやら魔法でこのあたりを覗いた者がいたようだ。
注意書きとはいえ実際にここ赴いて調査したということではないので、隆起の原因もわからなければ、目的の場所までの道のりなどは当たり前の如く書かれていない。
いよいよ危険な地帯に踏み込んだらしいと思った彼ら。
だがそう遠くはない場所に大きな岩石の壁で囲まれた、まるで岩の祭壇のような場所を発見する。
その周辺には木々はなくなっており、ここが目的地であることが直感的に理解できる。
岩の祭壇中央の窪みには湧き出した水が蓄えられているようで、祭壇の端から溢れた綺麗な水が少しずつ流れ落ちているのがわかる。
膝まで浸かるような場所に呪いを解くことのできる水が本当にあるのかと実は疑問に思っていたザルムも、この光景を見て納得した。なるほど、こういうことかと。
そうして強力になった上向きの力を維持している間に、マデリエネ、続いてザルムが川の向こう側にたどり着く。
地面と同じように空中を歩けるという奇妙な現象は言葉にしがたい。マデリエネとザルムは少しばかりの恐怖を感じつつ、どこか楽しんでしまっていた。
そうしてここからが本番。アロイスとカイネの順番だ。
彼らは先ほどのように魔法の維持に専念するわけにはいかない。維持しながら歩いて進まなければならないのだ。
自分にかかる重力とちょうどぴったりの上向きの力を維持してさらに歩いて前に進む。
これをやっている間、極度の集中によってアロイスとカイネには疲労の色が見え始める。しかしなんとか二人とも渡り切り、川に落下することはなかった。
落下したときにはゲルセルが空に引き上げるという手筈になっていたとはいえ、川のどこにクロコダイルやウォーター・リーパーが潜んでいるかなんて誰にもわからないのだ。
一安心して十分ほど、水辺から離れて休憩すると、彼らはまた歩き出した。集中して疲れただけなので、頭を空っぽにしてリラックスできれば休憩に時間はかからないのだ。
川を渡り切ったこちら側もやはり対岸と変わらず、高い木の群生が続き、日差しが遮られている。
その中で日が差し込むところを見つけてはザルムが地図を確認しながらカイネと並んで先頭を歩いていく。
その後ろ、つまり真ん中にゲルセルがいて、さらにその後ろがアロイスとマデリエネという隊列で厳戒態勢を敷いている。
そうして警戒していたおかげで、木の陰に隠れながらこっそりとこちらに近付いてくる魔物を発見する。後方からストーキングするようにやってくる魔物の大きさはそれなりで、人間よりも大きいというくらい。
動物の下半身に上半身は毛深い人間のような見た目はケンタウロスに似ているが、こちらの魔物は下半身がシカの足だ。
気付かれていないと思っているようで、のそりのそりと距離を詰めて来るが、アロイスとマデリエネにはまさにバレバレだ。
というよりも体が大きすぎて木に隠れきれていないため、どうやっても体の一部がはみ出てしまっている。この魔物の正体は、アロイスがマデリエネに囁いて告げる。
「あれはピアレイですね。奇襲攻撃をかけてくるつもりでしょう」
「敵対的な種族なのね。それならみんなに伝えましょう」
それとなく伝えるために、ザルムとカイネを立ち止まらせ、道を確認するという名目で話をする。
マデリエネがザルムを追い越す形で、後ろを見ないように気を使った。
そうして後ろの不振な魔物の話をし終わり、意を決して全員で振り返ると、ピアレイは観念したようでおとなしく姿を現した。
相手は慣れた手つきで弓を取り出し矢をつがえている。水で隠れているが、山羊を模した蹄には力が入っているに違いない。
だが番えられた矢が放たれる前に、アロイスの魔法がピアレイを眠りに誘った。奇襲作戦は見事に失敗だ。
深い睡眠に入れたためか、ピアレイの体は完全に倒れて水飛沫を上げる。それでも起きないが。
「どうするこれ?」
マデリエネが困ったようにピアレイを見下ろす。放置という選択肢もないことはないからだ。
「後を追われたら面倒だ。とどめを刺すか?」
「そうしましょうか。帰りもここを通りますから危険は減らしておきましょう。ザルムさん、お願いできますか?」
「おう」
結局無力化することになった。戦おうとする意志が見えた以上は遠慮しないこともときには必要だ。無情だが賢明な決断をして先を急ぐ。
足元が水に浸かっている感覚が気にならなくなってきて、そう時間も経たない内、冒険者たちは明らかな地形の変化を感じた。
湿地にはあまり見られないごつごつとした岩が所々から隆起しているのだ。
不自然な状態だが、地図には注意書きのように岩の隆起について書かれている。どうやら魔法でこのあたりを覗いた者がいたようだ。
注意書きとはいえ実際にここ赴いて調査したということではないので、隆起の原因もわからなければ、目的の場所までの道のりなどは当たり前の如く書かれていない。
いよいよ危険な地帯に踏み込んだらしいと思った彼ら。
だがそう遠くはない場所に大きな岩石の壁で囲まれた、まるで岩の祭壇のような場所を発見する。
その周辺には木々はなくなっており、ここが目的地であることが直感的に理解できる。
岩の祭壇中央の窪みには湧き出した水が蓄えられているようで、祭壇の端から溢れた綺麗な水が少しずつ流れ落ちているのがわかる。
膝まで浸かるような場所に呪いを解くことのできる水が本当にあるのかと実は疑問に思っていたザルムも、この光景を見て納得した。なるほど、こういうことかと。
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