上 下
25 / 61
精霊王救出編

はじめての魔法授業

しおりを挟む
魔法の授業とは大きく「魔法陣学」と「精霊学」に分けることができて、どちらともに座学と実技がある。内容は簡単に言うと「魔法陣学」は魔法陣に使われてる魔法文字の勉強と魔法陣の書き方、その発動方法や使い方を学ぶ。「精霊学」は単純に精霊の種類と契約方法、力の使い方を学ぶというものである。

そして、そのどちらにも関係してくるのが魔力循環である。これがうまくできないと魔力の制御ができないので魔法の質が落ちたり、契約してくれる精霊が限られてきたりだとか影響が出てくるみたい。だから魔法の習い始めに誰しもが教わって、通る道なんだとか。でも、体の中に流れる魔力を全身に回し続けるだけだから見た目の変化がなく、とっても地味なので中には続けられずに精霊契約できなくて諦める人もいるらしい。

多分だけど、極めれば極めるだけ魔法の発動速度が上がったり、魔力の質が上がることで強い精霊との契約がしやすくなったり……。ついでに魔力量も増えるとかいうことに繋がるんだろうな。



ということで、アリア先生との初めての授業はみんな恒例の魔力循環を教わります!

「マグノリア様、魔力循環はご存知ですか?」

「はい。魔力循環とは、体に流れている魔力を自分の意思で全身に巡らせることですよね?」

「その通りです!この魔力循環が上手な方ほどスムーズに魔法陣や精霊魔法を発動させられるようになります。なので、魔力循環が王国魔法師の入団テストのひとつになるくらいには重要視されていますね。
 魔力循環は、魔法陣を使うにも、精霊契約をするのにも避けては通れない、基本中の基本技術なんです。なので、適性検査を受けた子どもたちの初めての授業はだいたい魔力循環になります。過去の研究では、『魔力循環を続ければ続けるほど効果はある』とされているのですが、慣れるまでは地味すぎて続けるのが負担になってくるのが問題ではありますね。そういう私は単純作業が好きな方ですので、気がついた時に自然と行ってますが、このくらい自然に魔力循環できるようになるのが目標ですよ!
 マグノリア様の場合は魔力循環を学習する前から精霊契約を成功させるという異例な方ですので、すでに魔力循環は行えているのだと思いますが、自分の身を守るため、より自然に行えるように今後も続けてみてくださいね!応援しますよ!」

やっぱり続けることで得られる効果は証明されているみたい。でも地味すぎて続けられないとかどんな方法なの…!? と言うか精霊契約できてる私って、魔力循環が文句なしにできてるって意味だったの?? だからお父様達に話した時驚いていたのか…。でも、そんな面倒に感じることやった覚えないんだけどなぁ…


「ではまずは、マグノリア様が行われている魔力循環を見せていただくことはできますか?その方法から良くさせていきましょう!」

え!? 本当に魔力循環をしてるのか不安になってきたところなのに、何をして見せればいいんだ!? アリア先生飛びすぎだよ…
でも、とりあえず全身に魔力を巡らせるということだから…って、それはいつもしてる事じゃない!?

「ほわわ… 私こんなに綺麗な魔力循環初めて見ましたよ……。このずっとみていたくなるような感じ、文句のつけ所がありません……」

私が魔力循環について考えていた時にメガネをかけたアリア先生が、突然力が抜けたような声を出したと思ったら褒めてくれた。やっぱり、と言うよりやってるアレが魔力循環だったか…
それと、アリア先生が使ったあのメガネは魔力の流れが見えるとかいう魔道具かな?道具を使わなくても私には普通に見えるけど、これも普通じゃなかったりして?あはは、そんなわけないよね~

「実は今日の授業は魔力循環ができるようになって終わるつもりだったのですが、マグノリア様は文句が付けられないくらい綺麗に魔力循環できています。王国魔法師団の団長でもこんなに無駄のない魔力循環はできないと思うくらいのものです! 私の魔力循環を見て見ますか?メガネどうぞ。見てもらえれば分かると思いますが、通常の魔力循環は管理を外れた魔力が少量外部に漏れ出すはずなんです。ですが、マグノリア様の魔力循環はそれが一切ないんです!本当に無駄のない、理想の魔力循環だと思いますよ!」

やっぱりあのメガネは魔力の流れを見るためのものだった…… 私はメガネかけても見えるもの変わらないし、なんなら見にくいし… これはまたお父様に報告案件かもなぁ…。
でも、そんなに褒められるくらい上手くできていたなんて。 多分初めて魔力循環させたのが私がマグノリアになって、初めて机にあった本を読んだ時だから…それからずっと無意識にしてたのかも?? そう考えたらだいぶ規格外だね…


「それに素晴らしいのはそれだけではありません。まだ適性検査を受けてひと月程しか経っていないのに無駄のない魔力循環ができるということも凄いですが、それよりも授業中に話しながらも乱れなく自然に魔力循環できていることが素晴らしいです!
 すでに私では力不足な気がしますが、できる限り教えさせていただきます!」

最後にボソボソっと「やっぱりこんなに素晴らしいマグノリア様に私が授業できるなんて、こんな機会もうないわ! 絶対マグノリア様の成長を見るためにも辞められないわね。いままでずっと近くにいたマリアとメリアが羨ましいと思ってたけど、私も仲間入りね!ふふふ。」とか聞こえてきたけどなんだか怖いし、聞こえなーい。

また1人マグノリアのファン?が増えました…?




それからの授業は魔力循環をする必要が無くなったということで、魔法陣学から教わることになった。精霊学は精霊を相手にするということで魔法陣学よりも難易度が高いらしいので、魔力循環が上達してから始めるらしい。私の場合はすでに精霊と契約してしまっているため、教えることがあまりないとかで後回しにされました。これももちろん異例ですよ! それと、姿をはっきり見たり、意思疎通が取れることはまだ秘密です。

と言っても魔法陣学の授業で教わる、魔法陣の発動方法は旅の途中で使用してますので知ってますし、魔法文字はまだ未知の部分があるそうですが、そんな魔法文字を私は読めてしまうので授業の意味が無い気がします。そして、魔法陣の書き方ですが、もちろん魔法文字が漢字なので書けますし……。ですが、魔法文字を読んだり書いたりできることはまだ誰にも言っていないので気づかれないように受けていきますよ!



しおりを挟む

処理中です...