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本編
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「みんな、行くよ?」
穴の下まで降りることがクラス会議で決まったので、このクラスのリーダーである委員長が音頭を取る。
もちろん、俺たちは全身に出来うる限りの強化魔法を保険でかけてある。ただ生身の状態で飛び降りる訳じゃないのでまだ安心できる気がする…
それよりも、ザガンが強くて飛び降りることが屁でもないからか、ザガンは全然これからの事を気にした様子はなくて、いつもと変わった部分を何も感じない。
この先に封印がある可能性があるからかそっちに気が持っていかれて、俺たちに見向きもしてないのかもしれないけど、先々行かずに待ってくれてたのは優しさなのかな??
そんな優しさに俺たちは救われてます!
あっと、こんな回想してますけど実は、もう落下中なんで!
わ”わ”あ”ああぁ!
はっ…
「あ”…ここは?」
さっきまで落下してたはずなのに、気がついたら真っ暗な場所で立っていた。ほんのり近くの人が見えるくらい…
…一緒に飛び降りたクラスメイトも全員無事。探知をするに敵の紅点も見つからない。
そういやザガンは近くにいない…?
視覚はもちろん探知にもザガンらしき紅点が引っかからない。
え… ここに来てすぐ気付いたと思ってたけど、もしかして意識を飛ばしてたのか!?
「あ、扉がある…」
「え?」
あ、目が慣れてきたからなのかだんだんと今まで見えなかったものが見えてきた気がする。
たしかに、誰かが呟いたように俺たちがいる場所から真っ直ぐ少し歩いた場所に扉があった。
もしかしたら、ザガンはこの先に行ったのかもしれない……
「行ってみましょう」
俺と同じことを考えてた人がいたのか、はたまた扉しか進む場所が無いからなのか、扉の先に進む方向で話が纏まる。
そして、扉の先に何があるのか分からないし、誰が扉を開けるのかで歩みが止まる。
「僕が開ける」
誰しもが開けたがらない扉にすすんで立候補したのは以外にも百武だった。
このことは隠し扉を見つけたことと言い、「もぶくんは可愛いだけじゃなく、他の男子よりも頼りになる!」という印象を女子たちに与え、俺たち男子にとってはあまり喜べない瞬間だった…
百武が俺たちとタイミングを合わせて、ゆっくりと扉を開いて行く…
その先には予想通り気配があった。それも2つ…
ひとつは目当ての人物であるザガン。もう1人は地面と一緒に消えたと思っていた巨人、アムブラだった。
そしてこの2体以外に、部屋の中央には禍々しさを感じる黒い石。それから祀るように、石が白いひらひらで巻いてあった。
見るからにこの石が、ヨグ=ソトースを封印した元だろうと俺でもわかる…
なのに、先に見つけたはずのザガンと巨人はどうしてこれを壊さないんだろうか?
『来たのか… ここまで来たのに意味はなかったんだ。』
すごく落ち込んだ雰囲気が漂ってる…
え?どういうこと?目の前にある石は封印の石じゃなかったとか?
ついつい、近くにいる仲間と目を合わせながら首を傾げてしまう。
『この石には攻撃は当たらない、無駄だったんだ。』
これを壊すことはできないんだ…とザガンは続ける。
そんな…。ということは俺たちも現実世界に戻ることはできないってこと、なのか…?
この石が壊れない限り俺たちが現実世界に戻れることはない。ということはこの場にいるクラスメイト全員が思ったことだった。
でも、ここまで来てそんな簡単にあきらめることが出来ないのも俺たちだった。
「私たちでもやってみようよ」
そんな言葉を誰がつぶやいたのか、やけに大きく響いて、耳に残る…
この言葉はさっきまでの絶望は消えないながらも、今の俺たちにとってはとても思いつきもしなかった。
どうしてこんな簡単なことを思いつかなかったんだろう??
そう思ったのは俺だけではなかったようで、みんな顔を上げて、目にやる気が満ちてくるのを感じた。
「よし!これもみんな一斉にやるぞ!」
「「おー!」」
もう、ザガンも巨人も諦めてるのか何も言ってこない。
俺たちは、それぞれのいちばん得意な攻撃を打ち込むために準備している。
そしてカウントダウンの後、俺たちが今できうる限りの破壊力を持った攻撃が石に向かって一直線に放たれた。
穴の下まで降りることがクラス会議で決まったので、このクラスのリーダーである委員長が音頭を取る。
もちろん、俺たちは全身に出来うる限りの強化魔法を保険でかけてある。ただ生身の状態で飛び降りる訳じゃないのでまだ安心できる気がする…
それよりも、ザガンが強くて飛び降りることが屁でもないからか、ザガンは全然これからの事を気にした様子はなくて、いつもと変わった部分を何も感じない。
この先に封印がある可能性があるからかそっちに気が持っていかれて、俺たちに見向きもしてないのかもしれないけど、先々行かずに待ってくれてたのは優しさなのかな??
そんな優しさに俺たちは救われてます!
あっと、こんな回想してますけど実は、もう落下中なんで!
わ”わ”あ”ああぁ!
はっ…
「あ”…ここは?」
さっきまで落下してたはずなのに、気がついたら真っ暗な場所で立っていた。ほんのり近くの人が見えるくらい…
…一緒に飛び降りたクラスメイトも全員無事。探知をするに敵の紅点も見つからない。
そういやザガンは近くにいない…?
視覚はもちろん探知にもザガンらしき紅点が引っかからない。
え… ここに来てすぐ気付いたと思ってたけど、もしかして意識を飛ばしてたのか!?
「あ、扉がある…」
「え?」
あ、目が慣れてきたからなのかだんだんと今まで見えなかったものが見えてきた気がする。
たしかに、誰かが呟いたように俺たちがいる場所から真っ直ぐ少し歩いた場所に扉があった。
もしかしたら、ザガンはこの先に行ったのかもしれない……
「行ってみましょう」
俺と同じことを考えてた人がいたのか、はたまた扉しか進む場所が無いからなのか、扉の先に進む方向で話が纏まる。
そして、扉の先に何があるのか分からないし、誰が扉を開けるのかで歩みが止まる。
「僕が開ける」
誰しもが開けたがらない扉にすすんで立候補したのは以外にも百武だった。
このことは隠し扉を見つけたことと言い、「もぶくんは可愛いだけじゃなく、他の男子よりも頼りになる!」という印象を女子たちに与え、俺たち男子にとってはあまり喜べない瞬間だった…
百武が俺たちとタイミングを合わせて、ゆっくりと扉を開いて行く…
その先には予想通り気配があった。それも2つ…
ひとつは目当ての人物であるザガン。もう1人は地面と一緒に消えたと思っていた巨人、アムブラだった。
そしてこの2体以外に、部屋の中央には禍々しさを感じる黒い石。それから祀るように、石が白いひらひらで巻いてあった。
見るからにこの石が、ヨグ=ソトースを封印した元だろうと俺でもわかる…
なのに、先に見つけたはずのザガンと巨人はどうしてこれを壊さないんだろうか?
『来たのか… ここまで来たのに意味はなかったんだ。』
すごく落ち込んだ雰囲気が漂ってる…
え?どういうこと?目の前にある石は封印の石じゃなかったとか?
ついつい、近くにいる仲間と目を合わせながら首を傾げてしまう。
『この石には攻撃は当たらない、無駄だったんだ。』
これを壊すことはできないんだ…とザガンは続ける。
そんな…。ということは俺たちも現実世界に戻ることはできないってこと、なのか…?
この石が壊れない限り俺たちが現実世界に戻れることはない。ということはこの場にいるクラスメイト全員が思ったことだった。
でも、ここまで来てそんな簡単にあきらめることが出来ないのも俺たちだった。
「私たちでもやってみようよ」
そんな言葉を誰がつぶやいたのか、やけに大きく響いて、耳に残る…
この言葉はさっきまでの絶望は消えないながらも、今の俺たちにとってはとても思いつきもしなかった。
どうしてこんな簡単なことを思いつかなかったんだろう??
そう思ったのは俺だけではなかったようで、みんな顔を上げて、目にやる気が満ちてくるのを感じた。
「よし!これもみんな一斉にやるぞ!」
「「おー!」」
もう、ザガンも巨人も諦めてるのか何も言ってこない。
俺たちは、それぞれのいちばん得意な攻撃を打ち込むために準備している。
そしてカウントダウンの後、俺たちが今できうる限りの破壊力を持った攻撃が石に向かって一直線に放たれた。
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