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白雪姫の受難
第九話
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「……遅い!」
誰もいないと思っていた室内から、不機嫌な声が聞こえ、僕はビクッとする。
(……誰かいたんだ)
衣装で死角になっていて気付かなかったけど、部屋の奥側に鏡台がある。
その前に、ドレスを着た女の子が座っている。
後ろを向いている彼女は、僕のことに気付いてないみたいだが、僕からは鏡に映った彼女の顔がよく見える。
(うわ~。超可愛い)
芸能界でも、なかなかお目にかかれないような綺麗な顔は、西洋の人形みたいだ。
肩の上で揺れている軽くウェーブのかかった髪が、彼女を更に愛らしく見せている。
……だけど、なんで男子校に女の子がいるんだろう?
「なーに、不機嫌そうな顔してんの?折角の美人が台無しじゃん」
「……誰のせいで、こんなことになったと……!」
先に部屋に入っていた佐倉さんがニヤニヤしながら、話しかけると、彼女が凄い勢いで振り向いた。
怒りで紅潮した顔も何故か可愛く見える。
美人って、本当に得だ。
「大体、こんな格好で放置していくなんて何考えてんの!……って、塔哉君?」
やっと僕の存在に気付いたらしい彼女が驚きの声を上げる。
(あれ?)
僕にこんな美人の知り合いはいない。
だけど……。
彼女の口から出てきた声は、女の子にしては低めで、しかも聞いたことのある声だった。
まさか……。
僕は信じられない思いで、彼女を見つめた。
「……夕希さん!?」
僕はぽか~んと口を開けたまま固まった。
確かに夕希さんは、素でもかなり美人だし、去年の女装も可愛いかったよ?
だけど……。
間近で見て、これほど違和感がないとは思わなかった。
「お~い、塔哉君?」
佐倉さんが大丈夫か?とばかりに、僕の目の前で手を振ってくる。
……いえ、全然大丈夫じゃないです。
午後からの劇のことを考えると、マジで現実逃避したくなる。
(僕、引き立て役にもならないような気がするよ……)
誰もいないと思っていた室内から、不機嫌な声が聞こえ、僕はビクッとする。
(……誰かいたんだ)
衣装で死角になっていて気付かなかったけど、部屋の奥側に鏡台がある。
その前に、ドレスを着た女の子が座っている。
後ろを向いている彼女は、僕のことに気付いてないみたいだが、僕からは鏡に映った彼女の顔がよく見える。
(うわ~。超可愛い)
芸能界でも、なかなかお目にかかれないような綺麗な顔は、西洋の人形みたいだ。
肩の上で揺れている軽くウェーブのかかった髪が、彼女を更に愛らしく見せている。
……だけど、なんで男子校に女の子がいるんだろう?
「なーに、不機嫌そうな顔してんの?折角の美人が台無しじゃん」
「……誰のせいで、こんなことになったと……!」
先に部屋に入っていた佐倉さんがニヤニヤしながら、話しかけると、彼女が凄い勢いで振り向いた。
怒りで紅潮した顔も何故か可愛く見える。
美人って、本当に得だ。
「大体、こんな格好で放置していくなんて何考えてんの!……って、塔哉君?」
やっと僕の存在に気付いたらしい彼女が驚きの声を上げる。
(あれ?)
僕にこんな美人の知り合いはいない。
だけど……。
彼女の口から出てきた声は、女の子にしては低めで、しかも聞いたことのある声だった。
まさか……。
僕は信じられない思いで、彼女を見つめた。
「……夕希さん!?」
僕はぽか~んと口を開けたまま固まった。
確かに夕希さんは、素でもかなり美人だし、去年の女装も可愛いかったよ?
だけど……。
間近で見て、これほど違和感がないとは思わなかった。
「お~い、塔哉君?」
佐倉さんが大丈夫か?とばかりに、僕の目の前で手を振ってくる。
……いえ、全然大丈夫じゃないです。
午後からの劇のことを考えると、マジで現実逃避したくなる。
(僕、引き立て役にもならないような気がするよ……)
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