題名のない物語

瑚湖

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祝い

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ユエの仕事は至って普通なものだった。武器職人やどこかの商人から物を買い、それを不足している街へ届ける手続きをする。ただそれだけだった。
 
(危ない仕事かと思ったけど案外普通の仕事だったんだ...)

ユエの仕事は思ったよりも早く終わった。外を見ると頭の天辺にあったはずの太陽は随分東に傾いていた。

「今日の所はこれで終わりかな。お疲れ様セレナちゃん」

「お疲れ様って...私お客さんにお茶を出すことしかやってないわよ」

「いいんだよ。僕1人でお茶も出して商談をするのって結構大変なんだよ?」

「...そう。まぁ、少しでも役に立てたなら嬉しいわ」

「そんなこと言ってくれんなんて嬉しいなぁ...」

そういってユエは優しく笑っていた。なぜこの人はそんなにも優しくしてくれるのだろう。私は今日会ったばかりの赤の他人なのに。

「そうだ、今日君の就職祝いってことでどこかに食べに行こうよ」

「しゅ、就職祝い...?」

「うん。君と僕が今日会えたことも含めて」

にこにこと笑って行こうよ、と誘うユエの顔は悪意などは全く感じなかった。

「美味しいとこじゃないと許さないからね。私こう見えても美食家なのよ?」

美食家なんてもちろん嘘。ただユエとの会話を楽しんでる私が居ただけだ。 

「それはご期待に添えるお店にしないとね。じゃあ、行こう」

そう言ってユエは私の手を

「握らせないから」

手を握ろうとするユエの手を振り払って部屋を出る。そう簡単には流されない。

「あーあ、いけるとおもったのになぁ。でもまだまだチャンスはあるからね。諦めないよ」

そう言ってユエも部屋を出た。

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