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兄王からの命令
2話
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兄王から命を受けて一年。
この日、アナスタシオことアナスタシアは、王命で国を飛び出して、一人旅をしていたところ、お金が足りなくなり、アルバイトをしていたときのことだ。
なんの変哲もない、いつも通りの日だと思っていた。
アナスタシオは、運送業のアルバイトをしている途中で、さらには、そこは砂漠のど真ん中であった。
太陽はカンカンに照っており、ジッとしていても己の身体からは体力が漏れ出しているのではないかと思うほど暑い。
そんなところに、一人の男が転がって………否、倒れているのだ。
(なんでこんなところに人が………?)
アナスタシオは、面倒くさそうな顔をしながらも、その男に近づいてゆく。
(しかしまあ、最近では盗賊が砂漠で行き倒れたふりしてキャラバンに拾われてそのまま物を盗んで去って行くっていう話を聞くからなぁ?)
それにしては、身なりもいい。
が、用心するに越したことはない。
手を胸元に刺しているナイフにかけて、恐る恐る近づいてみる。
「お、お~い。」
男は反応しない。
「おーい。お前、意識あるか?」
男は反応しない。よってアナスタシオは彼が意識を失っているのを確認した。
(仕方ないな………ここにこうして放っておく訳にもいかないし………)
結局見捨てておくことのできなかったアナスタシオは、その男。もとい青年をどうにかこうにか担ぎ上げ、馬車の荷台に寝かせた。
それから暫くして。
青年は目を覚ました。
(ここは………何処だ?)
自分はどうやら馬車の荷台にいるらしい。手足は縛られていない。ということは人攫いにあったわけではないのだろうが………。
ここはどうやら街中で、自分の記憶は砂漠のど真ん中で意識を失って以来途切れている。
街は活気付いている。
どうやら、変な場所に連れてこられたわけではない様だ。
馬車の持ち主らしき者は周りにいない。
すると、フッと後ろから影がさした。
「おっ!目ぇ覚ましたか!」
背後から明るい声が聞こえてきた。
声の主は、黄金の髪を後ろでひとつに束ね、瞳は髪同様に珍しい黄金だ。
(ほう。見事だ。)
「俺はアナスタシオ!この街はオアシス都市アイーシャで、俺はこの街の運送業のアルバイトをしているんだ!」
少年の名はアナスタシオというらしい。ニカッ!と笑う彼はもう少しお淑やかにすれば女と見紛う童顔の美丈夫だ。
しかし。と青年は思う。
(この顔、アナスタシオ………昔、何処かで………。)
実はアナスタシオは女で本名はアナスタシア・フィードロヴナ・グロスクロイツ。訳あって国を飛び出し運送業をしているが、大陸の東南に位置するガリヤード王国の王子(王女)なのだ。
反して砂漠で行き倒れていた男も又たいそうな身分の者であった。
青年の名は晴。本名を秦晴凱。曹帝国の第一皇子にして征西総督である。
時は数年前。アナスタシアがとある事情からアナスタシオとして皇子であったころ、両国の友好のために、アナスタシアは曹帝国へ留学していた。
その時のことを晴凱はふと思い出した。
黄金の髪、黄金の瞳。そしてアナスタシオという名、そしてこの顔………。
かつて、親友とまで呼びあった訳あり王子、いや王女………。
(まさか………。いや、しかし面影がある。)
アナスタシオと名乗る青年は、四年前、王子として祖国へやってきた少女と重なった。
「おい。大丈夫か?急にボーッとして。暑さにやられたか?」
スッと額に伸ばされた細い腕を、思わずガッ!と掴んでしまった。
「お、おい。ホントに大丈夫か?何か買ってこようか?そ、そうだ!水飲もう!水分補給は砂漠では大事だからな………。」
晴凱は慌てて心配する彼(?)、ジッと見つめた。
そして、ポツリと言った。
「アナスタシアか?」
その一言に、大袈裟なくらいアナスタシオは反応した。
大きな瞳がこぼれ落ちそうなくらい見開いて。
「え"?!!」
明らかに動揺している。ビンゴだ。
(間違いないな。こいつはアナスタシアだ。)
しかし何故、共の一人もつけないでいるのか。
「アナスタシアだな。覚えているか?俺だ。」
アナスタシアは目をしばしぱさせながら、ジッと此方を見つめている。
大方、俺の事を思い出しているのだろうが………。
(思い出せない様だな…………。)
「俺だ。晴だ、秦晴凱。曹帝国の第一皇子だよ。」
この日、アナスタシオことアナスタシアは、王命で国を飛び出して、一人旅をしていたところ、お金が足りなくなり、アルバイトをしていたときのことだ。
なんの変哲もない、いつも通りの日だと思っていた。
アナスタシオは、運送業のアルバイトをしている途中で、さらには、そこは砂漠のど真ん中であった。
太陽はカンカンに照っており、ジッとしていても己の身体からは体力が漏れ出しているのではないかと思うほど暑い。
そんなところに、一人の男が転がって………否、倒れているのだ。
(なんでこんなところに人が………?)
アナスタシオは、面倒くさそうな顔をしながらも、その男に近づいてゆく。
(しかしまあ、最近では盗賊が砂漠で行き倒れたふりしてキャラバンに拾われてそのまま物を盗んで去って行くっていう話を聞くからなぁ?)
それにしては、身なりもいい。
が、用心するに越したことはない。
手を胸元に刺しているナイフにかけて、恐る恐る近づいてみる。
「お、お~い。」
男は反応しない。
「おーい。お前、意識あるか?」
男は反応しない。よってアナスタシオは彼が意識を失っているのを確認した。
(仕方ないな………ここにこうして放っておく訳にもいかないし………)
結局見捨てておくことのできなかったアナスタシオは、その男。もとい青年をどうにかこうにか担ぎ上げ、馬車の荷台に寝かせた。
それから暫くして。
青年は目を覚ました。
(ここは………何処だ?)
自分はどうやら馬車の荷台にいるらしい。手足は縛られていない。ということは人攫いにあったわけではないのだろうが………。
ここはどうやら街中で、自分の記憶は砂漠のど真ん中で意識を失って以来途切れている。
街は活気付いている。
どうやら、変な場所に連れてこられたわけではない様だ。
馬車の持ち主らしき者は周りにいない。
すると、フッと後ろから影がさした。
「おっ!目ぇ覚ましたか!」
背後から明るい声が聞こえてきた。
声の主は、黄金の髪を後ろでひとつに束ね、瞳は髪同様に珍しい黄金だ。
(ほう。見事だ。)
「俺はアナスタシオ!この街はオアシス都市アイーシャで、俺はこの街の運送業のアルバイトをしているんだ!」
少年の名はアナスタシオというらしい。ニカッ!と笑う彼はもう少しお淑やかにすれば女と見紛う童顔の美丈夫だ。
しかし。と青年は思う。
(この顔、アナスタシオ………昔、何処かで………。)
実はアナスタシオは女で本名はアナスタシア・フィードロヴナ・グロスクロイツ。訳あって国を飛び出し運送業をしているが、大陸の東南に位置するガリヤード王国の王子(王女)なのだ。
反して砂漠で行き倒れていた男も又たいそうな身分の者であった。
青年の名は晴。本名を秦晴凱。曹帝国の第一皇子にして征西総督である。
時は数年前。アナスタシアがとある事情からアナスタシオとして皇子であったころ、両国の友好のために、アナスタシアは曹帝国へ留学していた。
その時のことを晴凱はふと思い出した。
黄金の髪、黄金の瞳。そしてアナスタシオという名、そしてこの顔………。
かつて、親友とまで呼びあった訳あり王子、いや王女………。
(まさか………。いや、しかし面影がある。)
アナスタシオと名乗る青年は、四年前、王子として祖国へやってきた少女と重なった。
「おい。大丈夫か?急にボーッとして。暑さにやられたか?」
スッと額に伸ばされた細い腕を、思わずガッ!と掴んでしまった。
「お、おい。ホントに大丈夫か?何か買ってこようか?そ、そうだ!水飲もう!水分補給は砂漠では大事だからな………。」
晴凱は慌てて心配する彼(?)、ジッと見つめた。
そして、ポツリと言った。
「アナスタシアか?」
その一言に、大袈裟なくらいアナスタシオは反応した。
大きな瞳がこぼれ落ちそうなくらい見開いて。
「え"?!!」
明らかに動揺している。ビンゴだ。
(間違いないな。こいつはアナスタシアだ。)
しかし何故、共の一人もつけないでいるのか。
「アナスタシアだな。覚えているか?俺だ。」
アナスタシアは目をしばしぱさせながら、ジッと此方を見つめている。
大方、俺の事を思い出しているのだろうが………。
(思い出せない様だな…………。)
「俺だ。晴だ、秦晴凱。曹帝国の第一皇子だよ。」
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