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兄王からの命令
3話
しおりを挟む「俺だ。晴だ、秦晴凱。曹帝国の第一皇子だよ。」
突然の事だった。何気な~く兄王の命令を遂行していたら、ある日突然現れたのは、昔仲良くしていた国の第一皇子だと言うではないか。
アナスタシアは口をぽかんと開けたまま、間抜けな声を出してしまう。
「は?ぁああ~~??!」
手を口に当て、ぱくぱくと魚のように口を開け、きょどきょどしている彼女を見ながら、晴凱はニヤニヤとやっぱりなとでも言わんばかりにそれを見ていた。
「な、なんっ、何でっ、せ、晴凱が、こっ、ここにっ!」
脳内プチパニック状態のアナスタシアを差し置いて、かたや冷静な晴凱は、こう言った。
「俺は今、遺跡巡りの旅をしているんだ。仕事は全て晴鳴に任せている。」
「それより、どうしてお前がこんな所で働いているんだ?」
答えて良いものなのだろうか。
だが、彼が信用に足る者だという事は、アナスタシア本人がよく知っている。
「陛下からの勅命なんだ。五年でいいから、他国を見てきて欲しいって。」
「ほう。そうか。で?共はどうした。」
「つけてない。邪魔だもん。」
晴凱は目を細め、呆れたように溜息を吐いた。
「そうだな。お前はそういう奴だ。しかしな、お前は男のなりをしていても、所詮は女だ。仕方ないからいざという時の為に俺が共をしてやる。いいな!」
「え!それじゃあ晴凱の歴史研究はどうなるんだよ!それに!国の事だって!!」
晴凱オタクじゃん!と言うと、オタクではない!と返される。
「問題ないな!俺は丁度国に帰る途中だったし、国の事は晴鳴に押し付けておけば良い。」
こう言いだした彼は梃子でも動かない。
面倒臭いけど、まあ仕方ないな。
「分かったよ。取り敢えず、国に連絡だけは入れておいてくれよ?」
私も兄に、同行者ができたことを報告せねばならない。
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「連絡するまでもない。次のお前の目的地はウチだ。」
どうやら、彼の我がままも治ってないっぽい。
次の目的地は秦帝国らしい。
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