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しばらくの間至福の表情で腰を動かし続けていた少年だったが、やがて何かを思い出したようにシンシアの胸元に目を留めた。
「そうそう…いっけない、幸せすぎて忘れるところだったよ。…ね、お姉さん。その似合わない首枷…アクセサリー、どうしたの?」
「あ…♡え…?」
少年が目線で示したのは、シンシアの首に掛かったブロンズ製のペンダント。大ぶりのトップに古代文字が刻まれており、女性が身につけるにはあまりに厳ついデザインだ。
にもかかわらず、少年の知る限り、シンシアは肌身離さずそれを身に付けている。そのことを疑問に思ったようだった。
「お姉さん、こういうのが趣味なの?意外だねえ。」
「…っ、そういう、わけじゃ…♡」
「ふ~ん。それじゃあ何?誰かの形見とか、思い出の品だったりするの?」
「そっ…れでも、ないけどぉっ…。」
まるで違うことを最初から知っているかのような、どこか険のある口ぶりだ。
シンシアは微かに訝しく思ったが、俯き加減になった少年の表情は窺えず、また二度にわたる絶頂でぼんやりした頭ではそれ以上思考を進めることはできなかった。
「……じゃあいらないよね。捨てちゃお。」
朗らかな声とともに無遠慮に伸ばされた少年の手がペンダントのチェーンを掴む。
想定外かつとんでもない行動に、シンシアの顔からサァッと血の気が引いた。
「駄目っ!やめて!」
碌に動かせない体を叱咤して、何とか叫び声を捻り出す。
「なんで?好んでつけてる風でもないし、まして思い入れがあるようにも見えないのに。」
シンシアの中に自身を埋めたまま、不穏な空気を纏い始める少年を、これまでよりずっと恐ろしいと思った。
「外しちゃいけない…、外せないの…!お願いだから、それだけは…。」
震える体を抑え、すがるように訴える。
それを外されてしまえば自分がどうなるかをシンシアは知っているからだ。
そこでようやく顔を上げた少年は、シンシアと目を合わせると、すい、とその瞳を細めた。
外見と不釣り合いな鋭い眼差しに、ぞくりと悪寒が走る。
「…ふーん。ね、これさあ。お姉さんが自分でつけたんじゃないでしょ。誰に、どうして、どうやってつけられたの?」
「…っ!言えないっ、言えないの…本当に…!」
彼はどこまで見透かしているのか。
その上で自分をどうするつもりなのか。
早く現状を把握して最悪の事態を防がなければいけないのに、ちっとも頭が回らず、シンシアは泣きそうになる。
「…ん、わかった。言わなくていーよ。」
すると少年は唐突に、拍子抜けするほどあっさりと引き下がった。
(急になぜ…?ああ、でも聞き入れてくれた。よかった…。)
そう安心したのも束の間。
「お姉さんの心の中に、直接聞くから。」
「ひっ…!?」
にゅるん。
にゅるん。
新たに伸ばされたこれまでとは別種の触手が、シンシアの頭を挟み込むように、左右のこめかみにそうっと触れた。
その先端は仄かに、怪しげな青色に発光している。
ブウゥー…ン。
青色の光は徐々に強くなり、やがてシンシアに向けて小さな環状の光の波紋を放ち始めた。
「なっ、なに、なに、これ………!?」
同時に、頭の内側を探られるような、ざわざわとした感覚。
得体の知れない力に、意識が、思考が侵食されようとしているのを感じる。
少しでも許容すれば全てを掌握されてしまいそうな、そんな予感がして、 本能的にその干渉を拒絶した。
(これは駄目だっ…!全力で抗って、絶対にはね除けないと…。集中、そう、集中して…。)
…ぬぽっ♡ぬぽっ♡ぐにぐに~♡
「あっ♡…あぁ…んっ♡」
渾身の抵抗を嘲笑うかのように、未だ膣内に挿入されたままの昂りが突然抽送を再開し、シンシアの中で奔放にうねり初めた。
集中しようと必死に手繰り寄せていた意識が強制的に霧散させられ、再び思考に霞がかかる。
「…うん、効いてきたね♡これは対象の意識混濁時…つまり頭の中がふわふわしちゃってるときに使える技でさ。いつもは苦痛を与えて朦朧とさせるんだけど、お姉さんにそんな酷いことできないじゃない?
だから代わりに何も分からなくなるくらい気持ちよく…ね?」
「ふあぁ…あぁ~…♡」
「やっぱり番になるなら、お互いに相手のことをよく知るべきでしょ?僕もお姉さんのこと、もっと知りたくて。
だから、おねーさんの大事な記憶ぜーんぶを、僕に教えて♡」
「うっ、あぁっ!♡のぞ、くなぁっ!」
頭の中を、記憶を覗かれ、読み取られる。
知らないはずの感覚なのに、なぜか「そう」されていると理解できた。
「へー、お姉さんの名前、シンシアって言うんだ。可愛いね。」
「あ…ふうぅ…♡」
「僕はラーシュっていうの。ほら、呼んでみて。おねーさんの可愛いお口から聞きたいな♡」
嫌だ、とシンシアは思う。
ここまで、こんなことまでされて、素直に望み通りのことなどしてやりたくない。可愛い可愛いなんて連発しているが、実の所こちらを馬鹿にしているのだ。
悔しい、絶対従わないから。
そう心に決める。
…しかし。
ブウゥー…ン。
(ラーシュ)
「!なに…?」
(ラーシュ ラーシュ ラーシュ)
「いやぁ、あ…あたまに…。」
(ラーシュ ラーシュ ラーシュ ラーシュ ラーシュ)
頭の中に直接響きわたる無機質な少年…ラーシュの声。
それは徐々に早く、大きく、多くなり、やがてシンシアの思考のほとんどを埋め尽くした。
「やだ、やめて…!」
「やめてほしい?じゃあほら、早く呼んで?」
(もうだめ、(ラーシュ)これ(ラーシュ ラーシュ)以上は(ラーシュ ラーシュ ラーシュ)あたまが(ラーシュ)おかしく(ラーシュ ラーシュ)なる…!)
「ラ…ラー…シュ…。」
人外の能力の前に、シンシアの決意など無力だった。
「そう。ちゃあんと覚えてね♡」
「そうそう…いっけない、幸せすぎて忘れるところだったよ。…ね、お姉さん。その似合わない首枷…アクセサリー、どうしたの?」
「あ…♡え…?」
少年が目線で示したのは、シンシアの首に掛かったブロンズ製のペンダント。大ぶりのトップに古代文字が刻まれており、女性が身につけるにはあまりに厳ついデザインだ。
にもかかわらず、少年の知る限り、シンシアは肌身離さずそれを身に付けている。そのことを疑問に思ったようだった。
「お姉さん、こういうのが趣味なの?意外だねえ。」
「…っ、そういう、わけじゃ…♡」
「ふ~ん。それじゃあ何?誰かの形見とか、思い出の品だったりするの?」
「そっ…れでも、ないけどぉっ…。」
まるで違うことを最初から知っているかのような、どこか険のある口ぶりだ。
シンシアは微かに訝しく思ったが、俯き加減になった少年の表情は窺えず、また二度にわたる絶頂でぼんやりした頭ではそれ以上思考を進めることはできなかった。
「……じゃあいらないよね。捨てちゃお。」
朗らかな声とともに無遠慮に伸ばされた少年の手がペンダントのチェーンを掴む。
想定外かつとんでもない行動に、シンシアの顔からサァッと血の気が引いた。
「駄目っ!やめて!」
碌に動かせない体を叱咤して、何とか叫び声を捻り出す。
「なんで?好んでつけてる風でもないし、まして思い入れがあるようにも見えないのに。」
シンシアの中に自身を埋めたまま、不穏な空気を纏い始める少年を、これまでよりずっと恐ろしいと思った。
「外しちゃいけない…、外せないの…!お願いだから、それだけは…。」
震える体を抑え、すがるように訴える。
それを外されてしまえば自分がどうなるかをシンシアは知っているからだ。
そこでようやく顔を上げた少年は、シンシアと目を合わせると、すい、とその瞳を細めた。
外見と不釣り合いな鋭い眼差しに、ぞくりと悪寒が走る。
「…ふーん。ね、これさあ。お姉さんが自分でつけたんじゃないでしょ。誰に、どうして、どうやってつけられたの?」
「…っ!言えないっ、言えないの…本当に…!」
彼はどこまで見透かしているのか。
その上で自分をどうするつもりなのか。
早く現状を把握して最悪の事態を防がなければいけないのに、ちっとも頭が回らず、シンシアは泣きそうになる。
「…ん、わかった。言わなくていーよ。」
すると少年は唐突に、拍子抜けするほどあっさりと引き下がった。
(急になぜ…?ああ、でも聞き入れてくれた。よかった…。)
そう安心したのも束の間。
「お姉さんの心の中に、直接聞くから。」
「ひっ…!?」
にゅるん。
にゅるん。
新たに伸ばされたこれまでとは別種の触手が、シンシアの頭を挟み込むように、左右のこめかみにそうっと触れた。
その先端は仄かに、怪しげな青色に発光している。
ブウゥー…ン。
青色の光は徐々に強くなり、やがてシンシアに向けて小さな環状の光の波紋を放ち始めた。
「なっ、なに、なに、これ………!?」
同時に、頭の内側を探られるような、ざわざわとした感覚。
得体の知れない力に、意識が、思考が侵食されようとしているのを感じる。
少しでも許容すれば全てを掌握されてしまいそうな、そんな予感がして、 本能的にその干渉を拒絶した。
(これは駄目だっ…!全力で抗って、絶対にはね除けないと…。集中、そう、集中して…。)
…ぬぽっ♡ぬぽっ♡ぐにぐに~♡
「あっ♡…あぁ…んっ♡」
渾身の抵抗を嘲笑うかのように、未だ膣内に挿入されたままの昂りが突然抽送を再開し、シンシアの中で奔放にうねり初めた。
集中しようと必死に手繰り寄せていた意識が強制的に霧散させられ、再び思考に霞がかかる。
「…うん、効いてきたね♡これは対象の意識混濁時…つまり頭の中がふわふわしちゃってるときに使える技でさ。いつもは苦痛を与えて朦朧とさせるんだけど、お姉さんにそんな酷いことできないじゃない?
だから代わりに何も分からなくなるくらい気持ちよく…ね?」
「ふあぁ…あぁ~…♡」
「やっぱり番になるなら、お互いに相手のことをよく知るべきでしょ?僕もお姉さんのこと、もっと知りたくて。
だから、おねーさんの大事な記憶ぜーんぶを、僕に教えて♡」
「うっ、あぁっ!♡のぞ、くなぁっ!」
頭の中を、記憶を覗かれ、読み取られる。
知らないはずの感覚なのに、なぜか「そう」されていると理解できた。
「へー、お姉さんの名前、シンシアって言うんだ。可愛いね。」
「あ…ふうぅ…♡」
「僕はラーシュっていうの。ほら、呼んでみて。おねーさんの可愛いお口から聞きたいな♡」
嫌だ、とシンシアは思う。
ここまで、こんなことまでされて、素直に望み通りのことなどしてやりたくない。可愛い可愛いなんて連発しているが、実の所こちらを馬鹿にしているのだ。
悔しい、絶対従わないから。
そう心に決める。
…しかし。
ブウゥー…ン。
(ラーシュ)
「!なに…?」
(ラーシュ ラーシュ ラーシュ)
「いやぁ、あ…あたまに…。」
(ラーシュ ラーシュ ラーシュ ラーシュ ラーシュ)
頭の中に直接響きわたる無機質な少年…ラーシュの声。
それは徐々に早く、大きく、多くなり、やがてシンシアの思考のほとんどを埋め尽くした。
「やだ、やめて…!」
「やめてほしい?じゃあほら、早く呼んで?」
(もうだめ、(ラーシュ)これ(ラーシュ ラーシュ)以上は(ラーシュ ラーシュ ラーシュ)あたまが(ラーシュ)おかしく(ラーシュ ラーシュ)なる…!)
「ラ…ラー…シュ…。」
人外の能力の前に、シンシアの決意など無力だった。
「そう。ちゃあんと覚えてね♡」
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