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10. 思いがけないプロポーズ
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「ようし、自白剤10ケース確かに受け取った。こんな無茶ぶり引き受けてくれるのビクトールだけだよ。その分報酬には色を付けといたから。ありがとな」
ほくほく顔で自白剤が入った瓶を確認するカイルの傍らで、ビクトールは眉間に深く皺を寄せながら実験器具を片付けていた。髪はいつも以上にボサボサで、目には隈ができている。プロの魔法薬師でもこんな短期間で作るのは無理なのに、学生の傍ら納期を守るのは本当にきつかった。授業をサボるだけでは間に合わず、リリアーナを追い返したり、帰宅時間を大幅に遅くしたりして何とか間に合わせた。
こんな無理な依頼は二度と受けたくない。報酬が多くても割に合わない。何より、自分が家を空けているうちにトトとジュジュが父親から虐待されないか、それが不安だった。
「そういやこないだティーパーティーでリリアーナに会ったんだけど」
突然リリアーナの名前が出て、疲労困憊で注意力が鈍っていたビクトールは、思わず顔を上げてカイルの方を見た。
「結婚を申し込んだ」
反応しないようにと努めたが、つい体がぴくりと動いてしまった。それを見て、カイルは満足げな笑みを浮かべた。
「何か言うことはないの?」
「別に。雲の上の貴族様がやってることに興味持っても仕方ないだろ。俺とは住む世界が違うんだから」
自分の反応を面白がっているカイルを殴りたくなる衝動を抑えながら、ビクトールは先日自分にぶつけられた言葉をそのまま返した。
「彼女の返答が気にならないの?」
「うるさいな。そんなのどうでもいいよ。第一リリアーナがお前に興味持つとも思えないし」
ビクトールはそう言うと、器具の洗浄をしに隣の部屋につながるドアに手をかけた。
「ふうん、確かにビクトールには関係ない話だな。まあいいや、何か進展があったらまた報告するよ」
全く、カイルの馬鹿にはほとほと手を焼く。厄介なのは、本当は馬鹿どころか頭が切れる奴ということだ。リリアーナ一人だけでも持て余しているのに、これ以上新たな人物に自分の生活をかき乱されたくない。一人になったビクトールは感情の赴くままに呪詛を吐きながら器具の洗浄を始めた。いつもは丁寧にやるのに、どうしてもカチャカチャ音を鳴らしてしまい反省しつつも、それでもなお気が治まらなかった。
**********
話は5日前にさかのぼる。とある邸宅で開かれたティーパーティーにリリアーナは出席した。婚約破棄があってから初めての社交の場だったが、何食わぬ顔で参加した彼女を周囲は遠巻きから物珍しげに眺めた。見えないところで哀れみや、同情と表裏一体の嘲笑を受けている自覚はあったが、社交という戦場から撤退するのは彼女のプライドが許さなかったのだ。
しかし、前に比べたら虚勢を張るのがどうでもよくなっている自分もいた。貴族がちまちました駆け引きを繰り広げている間にも、世界は目まぐるしく動いているのだ。
特にビクトールの研究室に通うようになってから、小さな試験管の中にも宇宙があることに気付かされた。彼女には難しいことはよく分からなかったが、試験管の中で変化する魔法薬と、それを興奮気味に見つめるビクトールを目の当たりにしたら、今まで拘泥していたことが些細な事のように思えた。
だから、この日のティーパーティーもいまいち乗り気になれず、せっかく出席したのに、人々の喧騒から離れて一人庭園をふらふらと歩いていた。カイルがやって来たのはそんな時だった。
「おや、社交の華の令嬢がほったらかしにされて、こんなところで庭園を散策しているとは。人の心は余りにも移り気だ」
庭園の花壇に見とれていた彼女は、カイルに呼び止められ振り返った。彼もまた、このティーパーティーに呼ばれていたらしい。
「この姿があなたには惨めに見えるの? やっと花の美しさに目を止めることができるようになったささやかな喜びも分からないなんて」
微笑しながら答えるリリアーナは、惨めさとは程遠く美しかった。金髪の髪をゆるくまとめ、水色のワンピース姿で、中央には同色の宝石のネックレスが輝いている。前から近づきがたい厳かな雰囲気は持っていたが、その横顔に儚さが加わったような感じがするのは、憂いの影を帯びたせいか。
「とんでもない。君の美しい姿を俺だけが独占できるなんてもったいないと思ってる。ビクトールにも見せてやりたい」
突然ビクトールの名前が出て来て、リリアーナは体をびくっと震わせた。その反応が面白かったらしく、カイルはにやにや笑った。
「卑怯な人ね。こんな場所で突然関係ないビクトールの名前を出すなんて。私の反応がそんなに面白い?」
「とんでもない。ただかわいいと思っただけだよ」
やけに馴れ馴れしい口調が気になり、それまで背を向けていたリリアーナはカイルに向き合い、怪訝な視線を送った。
「気安くそんなことおっしゃらないでくださる?」
「これは失礼。でも、あながち嘘でもない。心にもないことを言えるほど器用な人間じゃないんだ、これでも」
「ハッ、どの口が言うのよ。ルークに薬を盛った時、本当は別の人物がターゲットだったんだろうってビクトールが言ってたわ。巧妙な手口ね、感心したわ」
「さすがビクトールだな。そこまで見抜いていたのか。でも彼のことだからそれ以上は詮索しなかっただろう?」
そこまで言われても何ら動じることないカイルがますます憎たらしく見える。
「彼は薬を作って報酬をもらうこと以外興味はないわ。秘密を破られたらその限りじゃないけど」
リリアーナはそう言うと、カイルに疑いの眼差しを向けた。
「私を脅せるネタをつかんだと思ったらそれは間違いよ、あなたも人に知られてはまずい秘密があるんでしょ。しかも私はまだ何もしてないけど、あなたは既に証拠があるもの。どちらが不利な立場かお分かりよね?」
「心配いらないよ、そっちの事情は別に興味ないから。それよりせっかく二人きりで話す機会ができたんだ。もっと大事なことを相談したいんだが」
「大事なこと? 一体何よ?」
「おいおい、あんまり睨みつけないでくれよ、決して悪い話じゃない。君に結婚の申し込みをしたいんだけど」
重大なことをさらっと言ってのけるカイルを、リリアーナは穴のあくほど見つめた。
「……はっ? あなた何言ってるの? 気は確か?」
「至って正気さ。こっちは大真面目だ」
「王太子に捨てられて腫れ物のように扱われている私と結婚なんて火中の栗を拾うようなものよ。あなたにとって何のメリットがあるの?」
「結婚するのにメリットがなくては駄目?」
「馬鹿なことをおっしゃらないで。あなたも一端の貴族なら、愛なんて信じてないはずよ。貴族にとっての結婚は家同士の契約。そんなの分かり切ったことでしょ?」
「君はルーク王太子を愛していたようだけどな」
リリアーナはその言葉を無視した。
「まだ若いのにそんな寂しいことを言うもんじゃない。この世界は、君が思ってるよりずっと愛にあふれているよ。俺は君を高く評価している。君より聡明な女性は見たことがない。俺がルークなら、聖女候補の小娘なんか目に入らない」
「お世辞はいいから早く本題に入って。メリットは何?」
「最大のメリットを挙げるならば、才能はあるのに生まれが悪いばかりに世の中に認められない憐れな魔術師を一人救えることになる」
リリアーナはまた体をびくっと震わせた。ビクトールのことだ。
「……どういう意味?」
「俺は、というよりギャレット家は、隠密の仕事を引き受けてくれる優秀な魔法使いを探している。高額の報酬と引き換えに諜報活動に必要な魔法薬の調合をさせるんだ。ビクトールはそれに最適な人物だと思わないか? 今のままでは、彼は碌な就職先もなく才能を持て余してしまうが、うちの専属になれば好きなことがやれて裕福な生活も保障される。君も彼と離れずに済む、つまり私的に抱えておくことができる。いいこと尽くめじゃないか」
私的に抱えておくという言葉はどういうことを意味するかリリアーナにも分かったが、そこは敢えて無視した。
「一見いい話に聞こえるけど、それじゃ日の当たる場所で生きられないじゃないの。ギャレット家で囲うということは、当然非合法の仕事も含まれるわけでしょう? 自分の身を危険に晒すようなものよ。本人はそれを望んでいるの?」
「まだ聞いてない。でも今だって似たようなことをしているだろう?」
「学生時代の一時的なバイトと、一生続ける仕事を一緒にしないで! 結局ギャレット家が彼を欲しいだけでしょう!」
「あれ、いいアイディアだと思ったんだけどな。お気に召さない?」
カイルはけろっとした表情で尋ねた。全く一筋縄ではいかない奴だ。
「それに父が首を縦に振るわけがないでしょう。うちとギャレット家は仲がいいとは言い難いわ。お互い派閥が違うもの」
「まあね。俺もまだ親には相談していない。だからこそ、君の協力があると助かるんだけどな」
「何か勘違いをしているようだけど、私はビクトールを釣る餌にはならないわよ。元々そんな関係ではないんだから。今でも散々迷惑がられているの。おあいにく様」
「そうなの? …………まあいいや。それでも俺は君がいい。愛想とおべっかばかりの中身空っぽの女より君の方が何倍も魅力的で素敵だ。ルークは人を見る目がないよ」
「どうもありがとう。そのお言葉はありがたく受け取っておくわ。そろそろパーティーに戻らなきゃ。この会話は内密にしておくのでご安心を。ではさようなら」
これ以上付き合い切れないと悟ったリリアーナは、早口で別れの言葉を言うと足早にその場を去って行った。自分もかなり口が立つ方だと自負していたが、カイルはそれを上回る強敵だ、相手のペースに完全に飲まれる前にここは一時撤退しようと考えた。後には、それでもなお余裕の笑みを絶やさないカイルが一人残された。
**********
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ほくほく顔で自白剤が入った瓶を確認するカイルの傍らで、ビクトールは眉間に深く皺を寄せながら実験器具を片付けていた。髪はいつも以上にボサボサで、目には隈ができている。プロの魔法薬師でもこんな短期間で作るのは無理なのに、学生の傍ら納期を守るのは本当にきつかった。授業をサボるだけでは間に合わず、リリアーナを追い返したり、帰宅時間を大幅に遅くしたりして何とか間に合わせた。
こんな無理な依頼は二度と受けたくない。報酬が多くても割に合わない。何より、自分が家を空けているうちにトトとジュジュが父親から虐待されないか、それが不安だった。
「そういやこないだティーパーティーでリリアーナに会ったんだけど」
突然リリアーナの名前が出て、疲労困憊で注意力が鈍っていたビクトールは、思わず顔を上げてカイルの方を見た。
「結婚を申し込んだ」
反応しないようにと努めたが、つい体がぴくりと動いてしまった。それを見て、カイルは満足げな笑みを浮かべた。
「何か言うことはないの?」
「別に。雲の上の貴族様がやってることに興味持っても仕方ないだろ。俺とは住む世界が違うんだから」
自分の反応を面白がっているカイルを殴りたくなる衝動を抑えながら、ビクトールは先日自分にぶつけられた言葉をそのまま返した。
「彼女の返答が気にならないの?」
「うるさいな。そんなのどうでもいいよ。第一リリアーナがお前に興味持つとも思えないし」
ビクトールはそう言うと、器具の洗浄をしに隣の部屋につながるドアに手をかけた。
「ふうん、確かにビクトールには関係ない話だな。まあいいや、何か進展があったらまた報告するよ」
全く、カイルの馬鹿にはほとほと手を焼く。厄介なのは、本当は馬鹿どころか頭が切れる奴ということだ。リリアーナ一人だけでも持て余しているのに、これ以上新たな人物に自分の生活をかき乱されたくない。一人になったビクトールは感情の赴くままに呪詛を吐きながら器具の洗浄を始めた。いつもは丁寧にやるのに、どうしてもカチャカチャ音を鳴らしてしまい反省しつつも、それでもなお気が治まらなかった。
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しかし、前に比べたら虚勢を張るのがどうでもよくなっている自分もいた。貴族がちまちました駆け引きを繰り広げている間にも、世界は目まぐるしく動いているのだ。
特にビクトールの研究室に通うようになってから、小さな試験管の中にも宇宙があることに気付かされた。彼女には難しいことはよく分からなかったが、試験管の中で変化する魔法薬と、それを興奮気味に見つめるビクトールを目の当たりにしたら、今まで拘泥していたことが些細な事のように思えた。
だから、この日のティーパーティーもいまいち乗り気になれず、せっかく出席したのに、人々の喧騒から離れて一人庭園をふらふらと歩いていた。カイルがやって来たのはそんな時だった。
「おや、社交の華の令嬢がほったらかしにされて、こんなところで庭園を散策しているとは。人の心は余りにも移り気だ」
庭園の花壇に見とれていた彼女は、カイルに呼び止められ振り返った。彼もまた、このティーパーティーに呼ばれていたらしい。
「この姿があなたには惨めに見えるの? やっと花の美しさに目を止めることができるようになったささやかな喜びも分からないなんて」
微笑しながら答えるリリアーナは、惨めさとは程遠く美しかった。金髪の髪をゆるくまとめ、水色のワンピース姿で、中央には同色の宝石のネックレスが輝いている。前から近づきがたい厳かな雰囲気は持っていたが、その横顔に儚さが加わったような感じがするのは、憂いの影を帯びたせいか。
「とんでもない。君の美しい姿を俺だけが独占できるなんてもったいないと思ってる。ビクトールにも見せてやりたい」
突然ビクトールの名前が出て来て、リリアーナは体をびくっと震わせた。その反応が面白かったらしく、カイルはにやにや笑った。
「卑怯な人ね。こんな場所で突然関係ないビクトールの名前を出すなんて。私の反応がそんなに面白い?」
「とんでもない。ただかわいいと思っただけだよ」
やけに馴れ馴れしい口調が気になり、それまで背を向けていたリリアーナはカイルに向き合い、怪訝な視線を送った。
「気安くそんなことおっしゃらないでくださる?」
「これは失礼。でも、あながち嘘でもない。心にもないことを言えるほど器用な人間じゃないんだ、これでも」
「ハッ、どの口が言うのよ。ルークに薬を盛った時、本当は別の人物がターゲットだったんだろうってビクトールが言ってたわ。巧妙な手口ね、感心したわ」
「さすがビクトールだな。そこまで見抜いていたのか。でも彼のことだからそれ以上は詮索しなかっただろう?」
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「彼は薬を作って報酬をもらうこと以外興味はないわ。秘密を破られたらその限りじゃないけど」
リリアーナはそう言うと、カイルに疑いの眼差しを向けた。
「私を脅せるネタをつかんだと思ったらそれは間違いよ、あなたも人に知られてはまずい秘密があるんでしょ。しかも私はまだ何もしてないけど、あなたは既に証拠があるもの。どちらが不利な立場かお分かりよね?」
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「王太子に捨てられて腫れ物のように扱われている私と結婚なんて火中の栗を拾うようなものよ。あなたにとって何のメリットがあるの?」
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「君はルーク王太子を愛していたようだけどな」
リリアーナはその言葉を無視した。
「まだ若いのにそんな寂しいことを言うもんじゃない。この世界は、君が思ってるよりずっと愛にあふれているよ。俺は君を高く評価している。君より聡明な女性は見たことがない。俺がルークなら、聖女候補の小娘なんか目に入らない」
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「……どういう意味?」
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「学生時代の一時的なバイトと、一生続ける仕事を一緒にしないで! 結局ギャレット家が彼を欲しいだけでしょう!」
「あれ、いいアイディアだと思ったんだけどな。お気に召さない?」
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「まあね。俺もまだ親には相談していない。だからこそ、君の協力があると助かるんだけどな」
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「そうなの? …………まあいいや。それでも俺は君がいい。愛想とおべっかばかりの中身空っぽの女より君の方が何倍も魅力的で素敵だ。ルークは人を見る目がないよ」
「どうもありがとう。そのお言葉はありがたく受け取っておくわ。そろそろパーティーに戻らなきゃ。この会話は内密にしておくのでご安心を。ではさようなら」
これ以上付き合い切れないと悟ったリリアーナは、早口で別れの言葉を言うと足早にその場を去って行った。自分もかなり口が立つ方だと自負していたが、カイルはそれを上回る強敵だ、相手のペースに完全に飲まれる前にここは一時撤退しようと考えた。後には、それでもなお余裕の笑みを絶やさないカイルが一人残された。
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