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13. 魔力の暴走
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昼休み。いつもならビクトールの研究室に行く時間だ。しかしこの日のリリアーナはもじもじと噴水がある中庭を行ったり来たりしていた。つい先日、次兄のナイジェルがビクトールに失礼な態度を取ったことが引っかかっていたのだ。
(自分がやったわけじゃないから、別に罪悪感を持つ必要はないんだけど……やっぱり貴族なんてクソだと失望されたらどうしよう)
前は、彼に何と思われようが気にならなかったのに、いつの間にか嫌われるのが怖いと思うようになっていた。自分でも心境の変化が不思議だ。一体どうなってしまったのだろう?
「あら、リリアーナ様じゃないですか。お久しぶりです。ごきげんよう」
突然、余りにも意外な人物に声をかけられて、リリアーナは石になったように動けなくなった。
「フローラ……?」
「あら、そんなに驚かないでくださいな。同じ学校に通っているのだから別に不思議じゃないじゃありませんか」
柔和な笑みを顔に貼り付けたフローラが、目の前に立っていた。キャラメル色のふんわりした髪が風にあおられ、ゆさゆさと揺れている。穏やかな表情をしているのに、どこか殺気立った気配が感じられるのは気のせいだろうか。自分に何の用があるのだろう。嫌な予感がしたリリアーナは背筋がぞくっとした。
フローラは噴水の傍らにあるベンチにリリアーナを誘った。何事かと思ったが、断る理由が見つからなかったので従うしかなかった。後から振り返ればこの時点ですでに負けていたのかもしれない。そして二人とも腰かけたところでフローラが口を開いた。
「単刀直入に言いますね。あなたルーク殿下に何を飲ませたんですか?」
リリアーナはそれを聞いて頭が真っ白になった。先日の術表しの薬のことを言っているのだとピンと来た。しかし、実際に盛ったのはカイルであって自分ではない。なぜフローラは自分が関与していると思ったのだろうか。一気に疑問がわき上がったが、そ知らぬふりを貫かなければならなかった。
「あなた何を言ってるの? 突然呼び止められたから珍しいと思ったら、さっぱり意味が分からないわ」
こういう時、感情を隠してしらばっくれるのはお手の物のはずだった。しかし、今の彼女には、それが成功しているか正直自信がなかった。
「最近ある学生に近づいているようですね。何でも魔法薬の調合が得意だとか。その人物に作らせたんじゃありません?」
ビクトールのことを嗅ぎつけたのだ。何が何でも彼に迷惑をかけるわけにはいかない。リリアーナは、自分よりも彼が矢面に立たされることを恐れた。
「はあ? 何を言い出すと思ったら。あなた私をどこまで侮辱すれば気が済むの? 婚約者になって随分偉くなったようだけど、勘違いしない方がいいわよ? 痛い目を見たくなかったら」
そう言うと、リリアーナはベンチから立ち上がり、相手を凍り付かせる眼差しで相手を見下ろした。
「いいんですか? 私にそのような口を聞いて? 昔とは違うんですよ?」
「へえ、何がどう違うのか教えて欲しいわ。あなた一人で世界を動かしていると思ったら大間違いよ」
二人はお互い睨みを効かせながらじっと対峙していた。噴水の音以外は風のざわめきだけが聞こえ、辺りはしんとしている。そこへ、一番来てほしくない人物の声が響いた。
「フローラ、そこで何をしている?」
ハッと弾かれたように振り向くと、ルークとその取り巻きの一団が目の前に立っていた。フローラの姿が見えないので探しに来たのだろうか。この状況がルークにはどう映るだろう。それを想像しただけで、リリアーナは青ざめる思いだった。
「ルーク! よかった、来てくれて! リリアーナ様が!」
フローラはぱっと立ち上がり、ルークの元に駆け寄って首にしがみついた。これだけで十分すぎるほどだった。ルークは嫌悪と侮蔑のこもった目でリリアーナを睨みつけると、低く唸るような声を出した。
「リリアーナ、フローラに何をした? どこまで恥知らずな女なんだ?」
余りの急展開にリリアーナは頭が追い付かなかった。彼女とあろう者が口をぱくぱくさせるだけで何も言い返すことができない。何か反論しなければと焦るうちに、状況を曲解したルークは懐から杖を取り出した。
「フローラに何かあったら俺が許さない。二度と抵抗できないようにしてやる」
来る、と思った。しかしリリアーナは体が金縛りにあったように動けず、自分の杖を取り出すこともできなかった。できたとしても、彼女の魔力量では太刀打ちできなかっただろうが。
しかし、意外な方向に事態は動いた。ルークが杖を構えた瞬間、彼の身体が何かに阻まれるように弾き飛ばされたのだ。その威力はすさまじく、身体がふわっと宙に浮かんだかと思うと、勢いよく地面に尻餅をついた。そこにいた誰もが何が起きたか理解できず目を白黒させる。混乱したルークは、無我夢中でもう一度杖を振り上げたが——。
「ルーク、やめろ!」
取り巻きの一団の中にいたカイルが慌てて叫んだ。そして二人の間に割って入りルークに手を貸して立ち上がらせた。そして、彼らの視線が逸れた隙にリリアーナの元に駆け寄り、「今すぐビクトールのところに行け」と耳打ちした。
「ルーク、これ以上はまずい。この辺で矛を収めよう」
カイルはルークをなだめすかせ、この場から過ぎ去るように促した。リリアーナは、彼らが見えなくなるまでしばらく呆然と立ち尽くしていたが、カイルに言われたことを思い出し、ふらふらした足取りで廃校舎へと向かった。
ビクトールは、夢遊病者のようなリリアーナを見てびっくりした。汗だくで顔は真っ青、立っているのもやっとという様子だ。習慣になっている挨拶代わりの小言を言うのも忘れて、彼女をボロボロのソファに座らせて話を聞いた。
「ルークが私に杖を向けた瞬間、何もしてないのに彼が弾き飛ばされたの。私は杖すら持っていなかったのに……一体どういうことなの……」
リリアーナは息も絶え絶えにビクトールに説明した。何が起きたのか全く分からない。今でも心臓がドキドキしている。フローラに侮辱されたことよりも、その後に起きた出来事の方が衝撃的で受け止め切れなかった。
「いいから、落ち着くまで横になっていろ。精神を和らげる薬だ。飲むと眠くなるかもしれない」
ビクトールは、常備薬として用意してあった自作の魔法薬をリリアーナに服用させた。まさかこんな所で役に立つとは。リリアーナはそれを飲んで目を閉じた。
やがて意識を失ってすうすうと寝息を立てるリリアーナの寝顔を眺めながら、ビクトールはじっと考え込んだ。その場で見たわけではないが、確かにおかしな話だ。魔力が少ないのに暴走することなんてあるのだろうか。それとも特別な条件下で働くものなのだろうか。
それよりも。一度ならず二度までも、かつての婚約者に侮辱されてリリアーナはどう思ったのだろうか。しかも今回は杖まで向けられている。明らかな害意があったということだ。そのことがビクトールは気になった。
(元々殺したいほど執着があった相手だし……きっと今でも愛してるんだろうな)
今でも未練が残っている相手に杖を向けられた時のショックはいかばかりだっただろう。10年間も婚約者だった男が、他の女にころっとなびき、自分を死ぬほど憎んでいるとしたら。そんなの辛くてやりきれないに違いない。
(くそっ……そんな奴さっさと忘れちまえよ。いつまでも引きずってんじゃねーよ)
ビクトールはなぜかむしゃくしゃしてやりきれない気持ちになった。ボサボサの髪をかきむしり、穏やかな顔で眠るリリアーナに目を向ける。しばらくじっと彼女の寝顔を見ていたが、やがて我に返り元の作業台へと戻って行った。
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(自分がやったわけじゃないから、別に罪悪感を持つ必要はないんだけど……やっぱり貴族なんてクソだと失望されたらどうしよう)
前は、彼に何と思われようが気にならなかったのに、いつの間にか嫌われるのが怖いと思うようになっていた。自分でも心境の変化が不思議だ。一体どうなってしまったのだろう?
「あら、リリアーナ様じゃないですか。お久しぶりです。ごきげんよう」
突然、余りにも意外な人物に声をかけられて、リリアーナは石になったように動けなくなった。
「フローラ……?」
「あら、そんなに驚かないでくださいな。同じ学校に通っているのだから別に不思議じゃないじゃありませんか」
柔和な笑みを顔に貼り付けたフローラが、目の前に立っていた。キャラメル色のふんわりした髪が風にあおられ、ゆさゆさと揺れている。穏やかな表情をしているのに、どこか殺気立った気配が感じられるのは気のせいだろうか。自分に何の用があるのだろう。嫌な予感がしたリリアーナは背筋がぞくっとした。
フローラは噴水の傍らにあるベンチにリリアーナを誘った。何事かと思ったが、断る理由が見つからなかったので従うしかなかった。後から振り返ればこの時点ですでに負けていたのかもしれない。そして二人とも腰かけたところでフローラが口を開いた。
「単刀直入に言いますね。あなたルーク殿下に何を飲ませたんですか?」
リリアーナはそれを聞いて頭が真っ白になった。先日の術表しの薬のことを言っているのだとピンと来た。しかし、実際に盛ったのはカイルであって自分ではない。なぜフローラは自分が関与していると思ったのだろうか。一気に疑問がわき上がったが、そ知らぬふりを貫かなければならなかった。
「あなた何を言ってるの? 突然呼び止められたから珍しいと思ったら、さっぱり意味が分からないわ」
こういう時、感情を隠してしらばっくれるのはお手の物のはずだった。しかし、今の彼女には、それが成功しているか正直自信がなかった。
「最近ある学生に近づいているようですね。何でも魔法薬の調合が得意だとか。その人物に作らせたんじゃありません?」
ビクトールのことを嗅ぎつけたのだ。何が何でも彼に迷惑をかけるわけにはいかない。リリアーナは、自分よりも彼が矢面に立たされることを恐れた。
「はあ? 何を言い出すと思ったら。あなた私をどこまで侮辱すれば気が済むの? 婚約者になって随分偉くなったようだけど、勘違いしない方がいいわよ? 痛い目を見たくなかったら」
そう言うと、リリアーナはベンチから立ち上がり、相手を凍り付かせる眼差しで相手を見下ろした。
「いいんですか? 私にそのような口を聞いて? 昔とは違うんですよ?」
「へえ、何がどう違うのか教えて欲しいわ。あなた一人で世界を動かしていると思ったら大間違いよ」
二人はお互い睨みを効かせながらじっと対峙していた。噴水の音以外は風のざわめきだけが聞こえ、辺りはしんとしている。そこへ、一番来てほしくない人物の声が響いた。
「フローラ、そこで何をしている?」
ハッと弾かれたように振り向くと、ルークとその取り巻きの一団が目の前に立っていた。フローラの姿が見えないので探しに来たのだろうか。この状況がルークにはどう映るだろう。それを想像しただけで、リリアーナは青ざめる思いだった。
「ルーク! よかった、来てくれて! リリアーナ様が!」
フローラはぱっと立ち上がり、ルークの元に駆け寄って首にしがみついた。これだけで十分すぎるほどだった。ルークは嫌悪と侮蔑のこもった目でリリアーナを睨みつけると、低く唸るような声を出した。
「リリアーナ、フローラに何をした? どこまで恥知らずな女なんだ?」
余りの急展開にリリアーナは頭が追い付かなかった。彼女とあろう者が口をぱくぱくさせるだけで何も言い返すことができない。何か反論しなければと焦るうちに、状況を曲解したルークは懐から杖を取り出した。
「フローラに何かあったら俺が許さない。二度と抵抗できないようにしてやる」
来る、と思った。しかしリリアーナは体が金縛りにあったように動けず、自分の杖を取り出すこともできなかった。できたとしても、彼女の魔力量では太刀打ちできなかっただろうが。
しかし、意外な方向に事態は動いた。ルークが杖を構えた瞬間、彼の身体が何かに阻まれるように弾き飛ばされたのだ。その威力はすさまじく、身体がふわっと宙に浮かんだかと思うと、勢いよく地面に尻餅をついた。そこにいた誰もが何が起きたか理解できず目を白黒させる。混乱したルークは、無我夢中でもう一度杖を振り上げたが——。
「ルーク、やめろ!」
取り巻きの一団の中にいたカイルが慌てて叫んだ。そして二人の間に割って入りルークに手を貸して立ち上がらせた。そして、彼らの視線が逸れた隙にリリアーナの元に駆け寄り、「今すぐビクトールのところに行け」と耳打ちした。
「ルーク、これ以上はまずい。この辺で矛を収めよう」
カイルはルークをなだめすかせ、この場から過ぎ去るように促した。リリアーナは、彼らが見えなくなるまでしばらく呆然と立ち尽くしていたが、カイルに言われたことを思い出し、ふらふらした足取りで廃校舎へと向かった。
ビクトールは、夢遊病者のようなリリアーナを見てびっくりした。汗だくで顔は真っ青、立っているのもやっとという様子だ。習慣になっている挨拶代わりの小言を言うのも忘れて、彼女をボロボロのソファに座らせて話を聞いた。
「ルークが私に杖を向けた瞬間、何もしてないのに彼が弾き飛ばされたの。私は杖すら持っていなかったのに……一体どういうことなの……」
リリアーナは息も絶え絶えにビクトールに説明した。何が起きたのか全く分からない。今でも心臓がドキドキしている。フローラに侮辱されたことよりも、その後に起きた出来事の方が衝撃的で受け止め切れなかった。
「いいから、落ち着くまで横になっていろ。精神を和らげる薬だ。飲むと眠くなるかもしれない」
ビクトールは、常備薬として用意してあった自作の魔法薬をリリアーナに服用させた。まさかこんな所で役に立つとは。リリアーナはそれを飲んで目を閉じた。
やがて意識を失ってすうすうと寝息を立てるリリアーナの寝顔を眺めながら、ビクトールはじっと考え込んだ。その場で見たわけではないが、確かにおかしな話だ。魔力が少ないのに暴走することなんてあるのだろうか。それとも特別な条件下で働くものなのだろうか。
それよりも。一度ならず二度までも、かつての婚約者に侮辱されてリリアーナはどう思ったのだろうか。しかも今回は杖まで向けられている。明らかな害意があったということだ。そのことがビクトールは気になった。
(元々殺したいほど執着があった相手だし……きっと今でも愛してるんだろうな)
今でも未練が残っている相手に杖を向けられた時のショックはいかばかりだっただろう。10年間も婚約者だった男が、他の女にころっとなびき、自分を死ぬほど憎んでいるとしたら。そんなの辛くてやりきれないに違いない。
(くそっ……そんな奴さっさと忘れちまえよ。いつまでも引きずってんじゃねーよ)
ビクトールはなぜかむしゃくしゃしてやりきれない気持ちになった。ボサボサの髪をかきむしり、穏やかな顔で眠るリリアーナに目を向ける。しばらくじっと彼女の寝顔を見ていたが、やがて我に返り元の作業台へと戻って行った。
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