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18.ロックオン
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「最初はこちらを呼びつけるなんてと思ったけど、秘密の研究室に招待してくれるとは思わなかったわ。ここで禁断の魔法薬が作られているのね」
「どうせここもバレてるんだろうから、もう隠す必要もないかなって」
人払いの術を厳重にかけた廃校舎の一室で、フローラとビクトールが対峙していた。フローラはまるで社会見学に来た子供のように、ヘーゼルの瞳を輝かせて、机の上にある調合器具や、材料が並ぶ棚に見入っていた。
「すごい材料の数ね。学校よりも種類多いんじゃない?」
「あいにく世間話をするつもりはないから、さっさと本題に入ろう」
スプリングの壊れたぼろぼろのソファにフローラを座らせ、自分もいつも調合作業をする時に座る木の椅子に腰かけ、足を組んだ状態で両手を合わせた。
「素っ気ないのね。私がここに来ることリリアーナ様は知っているの?」
「それも本題とは関係ない」
「あら、関係あるわよ。だって彼女が依頼したんでしょう? むしろ主犯はそっちじゃないの」
「依頼者の情報は明かせない。相手に秘密を守らせる以上、こちらも守る義務がある。だからイエスともノーとも言えない。ただ、状況証拠だけで結論付けたら痛い目を見るとだけは言っておく」
「偉そうなこと言ってるけど、私は盛られた側なのよ? 誰が依頼したのか知る義務があるわ」
「『誰が』も大事だけど、『なぜ』『どんな』薬を盛られたか知る方がいいんじゃないの? それは知りたくないの?」
「話を逸らさないで」
フローラに詰め寄られたビクトールはふうとため息をついた。
「彼女がやったと思ってるなら、その根拠も目的も既に目星が付いてるんだろ? それなら俺に聞くことなんてないじゃないか。そちらは白を黒にするだけの権力も持っている。俺が何を言ったって自分の信じたい事だけ信じるんだろう? それなら何を言っても無駄だ」
「あなた魔法薬作りだけじゃなくて、口もうまいのね。王太子に薬を盛ったなんてことが発覚したらタダじゃ済まないわよ、分かってるの?」
「公爵令嬢をカエルに変えて踏みつぶそうとするよりはマシなんじゃないか?」
フローラはうっと言葉に詰まった。慈愛の天使と呼ばれた顔がみるみるうちに醜く歪むのを、ビクトールは冷めた心で見ていた。
「恋に目がくらんだ王太子は信じなかったかもしれないが俺は信じるよ、今の地位に昇りつめるまで卑怯な手を使ってきたことを。お優しい聖女候補さまの仮面がはがれるのはまずいんじゃない?」
一転攻勢に転じたビクトールは椅子から立ち上がり、黒い髪の隙間から漆黒の目をぎらつかせフローラを睨みつけた。
「これで俺もあんたもカードを持っていることが分かったけどどうする? それでもこれ以上追及する気ある?」
「……分かったわ。今日の所はここで引き下がってあげる。でもこれで終わったと思わないで。また会いましょう」
フローラは、気を取り直してそう言うと、部屋を出て行った。彼女の足音が消えるのを聞き届けたビクトールは、大きく息を吐いて椅子にどかっと腰を下ろした。
「もういいぞ。いい加減出て来い」
その声に呼応するかのように隣の部屋から顔を出したのはカイルだった。
「いやーすごかったね。俺たちに見せる顔とはまるで別人だ。あれが本性なのか。うさん臭い奴とは思ってたけど想像以上だな」
「面白がるな。元はと言えばお前がまいた種だ」
ビクトールは、フローラに向けた時よりも険悪な表情でカイルを見た。
「そんなに睨むなよ。俺も責任感じたから同席したんじゃないか。それにしてもああ見えて、脇が甘いところもあるな。こちらがかけた人払いの術を鵜吞みにするなんて」
ビクトールがカイルも含めた状態で人払いの術をかけたことを、フローラがそのまま信じたことは確かなようだった。
「まあな。俺やお前と違って修羅場に慣れてないんだろう。慣れる方がどうかしてると思うけど」
「それにしちゃ、最後に言ったセリフなんか本の中でしか見たことないぞ。これで終わったとは思わないで、だって。本当に言う奴いたんだな」
どこまでも他人事のカイルが腹立ったので、ビクトールは彼の胸に人差し指を当て、念押しするように言った。
「分かってるな。今回だけは俺のところで止めておいたが、あの女の言う通りこれで終わりじゃないだろう。次の一手が来たらお前にもご足労いただくからそのつもりで」
「はいはい了解です。でもリリアーナには言わなくていいの? 彼女だって無関係じゃいられないだろう?」
「……言うよ。こうなったら仕方ないだろう。ただ一番脆弱なのも彼女だ。何か対策を考えなくては」
「階級だけなら彼女が一番上なのにな」
「階級だけよくても他が駄目だ。家族の庇護もないし魔力も一番少ない。俺がフローラだったらまず彼女から叩く」
そう言ってビクトールは何度目かの大きいため息をついた。自分が提案しようとしていることが到底リリアーナには受け入れられないだろうと分かっているから、気が重くて仕方なかった。
**********
「なんですって? もうここに来るなですって!?」
「そんな大きな声を出すな! 外に漏れるだろう!」
案の定、リリアーナは青い目を丸く見開いて驚愕した。想像した通りの反応だが、目の当たりにするとやはり堪える。
「あの女このぼろソファに座ったのね! なぜここに来させたの?」
「どうせここもバレてるんだから、今更隠したってしょうがないだろ。って気にするとこそこ?」
「もちろん接近禁止命令なんて最悪よ。でも、ここには来てほしくなかった。私だけの場所にしてほしかった」
(元々俺の研究室なんだが……女心は分からん!!)
ビクトールは面食らいながらもリリアーナを説得しなければならなかった。
「とにかく、こうなった以上、フローラは次の一手を打つに違いない。ほとぼりが治まるまでここには近づくな。一番あんたが危ないんだ」
「こうなったのも元はと言えばカイルのせいよ。なんであいつが出てこないの? おかしいじゃない、ビクトールばかり矢面に立たせて」
「次に向こうが仕掛けてきたらあいつにも出てきてもらう。一人で勝ち逃げは許さない。そのための手は打ってあるし、向こうも承知済みだ」
「私も立ち向かうわ。これであなたが退学なんてことになったら許せない! 私だって責任はあるもの!」
リリアーナの気持ちは嬉しかったが、勝手に覗いた彼女の記憶をフローラに対するカードとして利用させてもらった後ろめたさがビクトールにはあった。記憶を盗み見したことはなるべく隠しておきたい。
「ありがとう。その言葉だけで嬉しいよ。でもあんたは最後の切り札として残しておきたい。とりあえず今回は俺とカイルで何とかするから待ってくれ。大丈夫になったら教えるから」
しかし、リリアーナの気持ちはそれでは治まらなかった。
「やっぱりそんなの約束できない! やっと見つけた私の居場所なのに——」
「頼むから! 解決したらすぐに教えるから! とにかくあんたを巻き込むと余計面倒になるんだ! 何かあってからじゃ遅いんだよ!」
それまで駄々っ子のようだったリリアーナは、それを聞くとぴたっと動きを止めビクトールをまじまじと見た。その反応を見て、しまったと思った時にはもう遅かった。
「確かに私は貴族の癖に碌に魔法も使えないポンコツだけど、そこまで足手まといに思われていたなんて……あなたも家族と同じことを言うの?」
リリアーナの顔は見る見る間に青くなった。
「ごめん、そんなつもりじゃなかったんだ。ただ心配だから——」
「分かった。確かにあなたの言う通りだわ。ほとぼり冷めるまで私はおとなしくしています。あなたたちの邪魔はしないから大丈夫よ」
リリアーナはそれだけ言うと、ふらふらした足取りで部屋を出て行った。一人残されたビクトールは「くそっ!」と呪詛を吐いたが、時すでに遅しだった。なぜさっきあんな言い方をしてしまったのだろう。「君を守る」とシンプルに言えばよかったのに。しかし、その一言だけは、なぜかどうしても言えなかった。
**********
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人払いの術を厳重にかけた廃校舎の一室で、フローラとビクトールが対峙していた。フローラはまるで社会見学に来た子供のように、ヘーゼルの瞳を輝かせて、机の上にある調合器具や、材料が並ぶ棚に見入っていた。
「すごい材料の数ね。学校よりも種類多いんじゃない?」
「あいにく世間話をするつもりはないから、さっさと本題に入ろう」
スプリングの壊れたぼろぼろのソファにフローラを座らせ、自分もいつも調合作業をする時に座る木の椅子に腰かけ、足を組んだ状態で両手を合わせた。
「素っ気ないのね。私がここに来ることリリアーナ様は知っているの?」
「それも本題とは関係ない」
「あら、関係あるわよ。だって彼女が依頼したんでしょう? むしろ主犯はそっちじゃないの」
「依頼者の情報は明かせない。相手に秘密を守らせる以上、こちらも守る義務がある。だからイエスともノーとも言えない。ただ、状況証拠だけで結論付けたら痛い目を見るとだけは言っておく」
「偉そうなこと言ってるけど、私は盛られた側なのよ? 誰が依頼したのか知る義務があるわ」
「『誰が』も大事だけど、『なぜ』『どんな』薬を盛られたか知る方がいいんじゃないの? それは知りたくないの?」
「話を逸らさないで」
フローラに詰め寄られたビクトールはふうとため息をついた。
「彼女がやったと思ってるなら、その根拠も目的も既に目星が付いてるんだろ? それなら俺に聞くことなんてないじゃないか。そちらは白を黒にするだけの権力も持っている。俺が何を言ったって自分の信じたい事だけ信じるんだろう? それなら何を言っても無駄だ」
「あなた魔法薬作りだけじゃなくて、口もうまいのね。王太子に薬を盛ったなんてことが発覚したらタダじゃ済まないわよ、分かってるの?」
「公爵令嬢をカエルに変えて踏みつぶそうとするよりはマシなんじゃないか?」
フローラはうっと言葉に詰まった。慈愛の天使と呼ばれた顔がみるみるうちに醜く歪むのを、ビクトールは冷めた心で見ていた。
「恋に目がくらんだ王太子は信じなかったかもしれないが俺は信じるよ、今の地位に昇りつめるまで卑怯な手を使ってきたことを。お優しい聖女候補さまの仮面がはがれるのはまずいんじゃない?」
一転攻勢に転じたビクトールは椅子から立ち上がり、黒い髪の隙間から漆黒の目をぎらつかせフローラを睨みつけた。
「これで俺もあんたもカードを持っていることが分かったけどどうする? それでもこれ以上追及する気ある?」
「……分かったわ。今日の所はここで引き下がってあげる。でもこれで終わったと思わないで。また会いましょう」
フローラは、気を取り直してそう言うと、部屋を出て行った。彼女の足音が消えるのを聞き届けたビクトールは、大きく息を吐いて椅子にどかっと腰を下ろした。
「もういいぞ。いい加減出て来い」
その声に呼応するかのように隣の部屋から顔を出したのはカイルだった。
「いやーすごかったね。俺たちに見せる顔とはまるで別人だ。あれが本性なのか。うさん臭い奴とは思ってたけど想像以上だな」
「面白がるな。元はと言えばお前がまいた種だ」
ビクトールは、フローラに向けた時よりも険悪な表情でカイルを見た。
「そんなに睨むなよ。俺も責任感じたから同席したんじゃないか。それにしてもああ見えて、脇が甘いところもあるな。こちらがかけた人払いの術を鵜吞みにするなんて」
ビクトールがカイルも含めた状態で人払いの術をかけたことを、フローラがそのまま信じたことは確かなようだった。
「まあな。俺やお前と違って修羅場に慣れてないんだろう。慣れる方がどうかしてると思うけど」
「それにしちゃ、最後に言ったセリフなんか本の中でしか見たことないぞ。これで終わったとは思わないで、だって。本当に言う奴いたんだな」
どこまでも他人事のカイルが腹立ったので、ビクトールは彼の胸に人差し指を当て、念押しするように言った。
「分かってるな。今回だけは俺のところで止めておいたが、あの女の言う通りこれで終わりじゃないだろう。次の一手が来たらお前にもご足労いただくからそのつもりで」
「はいはい了解です。でもリリアーナには言わなくていいの? 彼女だって無関係じゃいられないだろう?」
「……言うよ。こうなったら仕方ないだろう。ただ一番脆弱なのも彼女だ。何か対策を考えなくては」
「階級だけなら彼女が一番上なのにな」
「階級だけよくても他が駄目だ。家族の庇護もないし魔力も一番少ない。俺がフローラだったらまず彼女から叩く」
そう言ってビクトールは何度目かの大きいため息をついた。自分が提案しようとしていることが到底リリアーナには受け入れられないだろうと分かっているから、気が重くて仕方なかった。
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「なんですって? もうここに来るなですって!?」
「そんな大きな声を出すな! 外に漏れるだろう!」
案の定、リリアーナは青い目を丸く見開いて驚愕した。想像した通りの反応だが、目の当たりにするとやはり堪える。
「あの女このぼろソファに座ったのね! なぜここに来させたの?」
「どうせここもバレてるんだから、今更隠したってしょうがないだろ。って気にするとこそこ?」
「もちろん接近禁止命令なんて最悪よ。でも、ここには来てほしくなかった。私だけの場所にしてほしかった」
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ビクトールは面食らいながらもリリアーナを説得しなければならなかった。
「とにかく、こうなった以上、フローラは次の一手を打つに違いない。ほとぼりが治まるまでここには近づくな。一番あんたが危ないんだ」
「こうなったのも元はと言えばカイルのせいよ。なんであいつが出てこないの? おかしいじゃない、ビクトールばかり矢面に立たせて」
「次に向こうが仕掛けてきたらあいつにも出てきてもらう。一人で勝ち逃げは許さない。そのための手は打ってあるし、向こうも承知済みだ」
「私も立ち向かうわ。これであなたが退学なんてことになったら許せない! 私だって責任はあるもの!」
リリアーナの気持ちは嬉しかったが、勝手に覗いた彼女の記憶をフローラに対するカードとして利用させてもらった後ろめたさがビクトールにはあった。記憶を盗み見したことはなるべく隠しておきたい。
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しかし、リリアーナの気持ちはそれでは治まらなかった。
「やっぱりそんなの約束できない! やっと見つけた私の居場所なのに——」
「頼むから! 解決したらすぐに教えるから! とにかくあんたを巻き込むと余計面倒になるんだ! 何かあってからじゃ遅いんだよ!」
それまで駄々っ子のようだったリリアーナは、それを聞くとぴたっと動きを止めビクトールをまじまじと見た。その反応を見て、しまったと思った時にはもう遅かった。
「確かに私は貴族の癖に碌に魔法も使えないポンコツだけど、そこまで足手まといに思われていたなんて……あなたも家族と同じことを言うの?」
リリアーナの顔は見る見る間に青くなった。
「ごめん、そんなつもりじゃなかったんだ。ただ心配だから——」
「分かった。確かにあなたの言う通りだわ。ほとぼり冷めるまで私はおとなしくしています。あなたたちの邪魔はしないから大丈夫よ」
リリアーナはそれだけ言うと、ふらふらした足取りで部屋を出て行った。一人残されたビクトールは「くそっ!」と呪詛を吐いたが、時すでに遅しだった。なぜさっきあんな言い方をしてしまったのだろう。「君を守る」とシンプルに言えばよかったのに。しかし、その一言だけは、なぜかどうしても言えなかった。
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