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19.日常のほころび
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ビクトールに会えなくなってからもリリアーナは変わらず学校に通い続けたが、心の支えを失って抜け殻のようになっていた。目に映るもの全てが灰色に見える。
今までは、お昼の時間には研究室に行って他愛もない会話をしながら過ごしていた。放課後になると、また顔を出して彼の魔法薬作りの邪魔をしていた。彼といる間だけが、自分が自分らしくいられる時間だった。永遠の別れでもないのになぜこんなに悲しいのか自分でも分からない。人前で取り繕うことは得意だったが、今それがきちんとできているか自信がなかった。
ビクトールと会う前は、食堂室で昼食をとっていたが、今更そこに戻るつもりはなかった。先日のようなトラブルに巻き込まれたくないと言うよりも、ビクトールに会えないのなら一人の方がずっと気楽だからだ。どこか一人になれる場所を探して、リリアーナは校内をさまよい歩いた。やっと打ち捨てられたような東屋を見つけ、その日からそこが彼女の新しい居場所となった。
このような状態になったら当然ではあるが食欲もない。前はあんなに食べるのが好きだったのに。リリアーナは義務感でサンドイッチに口を付けたが、数口で食べるのをやめてしまった。そしてため息をついてぼんやりと手入れのされなくなった草むらを眺めていた。
「こんなところにいたのか。随分探したんだぞ」
風の音しか聞こえなかったところに人の声がして、リリアーナははっと弾かれたように振り返った。何かを持ったカイル・ギャレットが立っていた。
「よく私の前に顔が出せるわね! 元はと言えばあなたが……!」
リリアーナは怒りのこもった目でカイルを睨みつけたが、カイルはいつものように眉一つ動かさず受け流した。
「だから罪滅ぼしのためにメッセンジャーやってんだろ。ほれ」
カイルはそう言うと、手に持っていた袋をリリアーナに渡した。
「ビクトールからこれを渡すように頼まれた。直接渡せないからって」
リリアーナが袋の中身を開けると、いくつかの魔法薬と一個のネックレスが入っていた。
「これは治癒の魔法薬。治癒の魔法は聖女しか使えないが、魔法薬なら薬師も作れる。効能はビンに書いてあるから読んどいで。あと、ネックレスの方にはいくつか数珠があるだろう? これは襲われた時に反撃する魔術が込められている。数珠の数しか反撃できないから気を付けて」
「これ……ビクトールが作ったの?」
「そうだよ。俺たちは自分で自分の身を守れるが、いざという時に一番危ないのが君だ。だから急ピッチでできる限りの準備をしたんだ。君がいなくなってからあいつ、授業もサボってあの部屋に閉じこもってひたすら魔法薬を作っていたんだよ。そのネックレスも彼が作った。数珠に込められた魔力も彼のものだ。今頃げっそりしておんぼろソファに寝転がってるよ」
ビクトールが自分のために。そう考えただけで涙が出そうになった。カイルの前で泣くわけにはいかないと思いつつ、こみあげる感情は制御できなかった。自分はただ悲しみに暮れていただけだったのに、その間にもビクトールはできる限りのことをしてくれたのだ。
「おいおい、今生の別れみたいな顔をするなよ。俺はそこまでやらなくてもいいと思ったけど、ビクトールが最悪の事態を想定して色々準備したんだ。俺も手持ちのカードを増やそうとフローラの身辺を探ったり、父に相談したりしてるからさ。ここまでやっとけば悪いようにはならないよ」
「まだ向こうからのアクションはないの?」
「まだね。でも時間の問題だろうな。これでフローラが手を引くとは思えない。おそらく彼女の真の目的はビクトールだ」
それを聞いてリリアーナは、反射的に身体をびくっと震わせた。
「彼の類まれなる能力が魅力的なんだろう。全く強欲な女だよな、それくらいでないと他人の婚約者を奪おうとはしないだろうけど。そのために一番邪魔なのは君だ。君を潰せば、彼を手に入れやすくなる。だから絶対にやられるな。いいな」
滅多に見せないカイルの真剣な表情を見て、リリアーナはただ頷くしかなかった。
「よし、じゃこの話はこれまでだ。また何かあったら会いに来るよ。気持ちを強く持てよ。じゃあな」
「待って!」
リリアーナは、去ろうとするカイルを呼び止めた。
「ビクトールに伝言をお願い。『ありがとう、ゆっくり休んで』と言っ
それを聞いたカイルはにやっと笑って応えた。カイルが去った後一人残されたリリアーナは、魔法薬とネックレスが入った袋をぎゅっと胸に押し当て抱きしめた。
**********
「おい、言われた通り、リリアーナに届けて来たぞ」
カイルは研究室に戻り、ソファにぐったりと横たわるビクトールに声をかけた。元々顔色はよくないが、更に血の気が失せたような色になっている。
「本当に大丈夫か? いくらお前でも一気に魔力を放出したら激しく消耗するだろう。しばらく動かない方がいい。なんか食べるものでも持って来ようか?」
「いや、だいじょう……うっ」
ビクトールは起き上がろうとしたが、すぐに身体がふらついてソファに戻ってしまった。
「ほれみろ。戦闘に特化した魔術師でも急な魔力の消費はダメージが大きい。よほど訓練しないと体が参ってしまうんだ」
カイルは家の仕事上、戦闘要員も雇用しているからそちらの知識も豊富だった。しかし、今のビクトールは、それより気がかりなことがあった。
「リリアーナの様子はどうだった?」
「身体は健康そうだけど、かなり憔悴していたな。でも例のブツを渡したら喜んでいたよ。言づてを頼まれたぞ。『ありがとう、ゆっくり休んで』だって」
「そうか……それならいい……」
ビクトールは、腕で目を覆いながら呟くように言った。
「ついでにもう一つ頼まれてほしいんだがいいか?」
「今度は何だよ? 乗り掛かった舟だから付き合ってやるけど」
「研究室を移転したい。そのための場所を提供して欲しい」
思っていたより大がかりな話で、カイルはえっと声を上げた。
「この空間を別の場所に移すってこと?」
「ああ。聖女候補に目を付けられた以上、ここは既に安全な場所とは言えない。防御の魔法をかけたところで、あいつはたやすく突破してしまうだろう。できれば学校の外がいい。適当な候補地はないか?」
「それならうちの別荘の地下室があるが……」
「地下室か。それはいい。別荘なら普段は使ってないんだろう?」
「だが、父に話を通さなければ。お前も一緒に来い、そうでないと許可は下りないぞ」
「分かった。行くよ」
そう言えば、父がビクトールに会ってみたいと言っていたことをカイルは思い出した。ちょうどいい機会かもしれない。
「では早速行動に移したいんだが……おっと」
再び起き上がろうとしたビクトールは、めまいを覚えてまた横に臥せってしまった。
「だからしばらく休まなければ駄目と言っただろう。待ってろ。今、栄養のあるものを持って来てやるから。どうせ今まで飲まず食わずで没頭していたんだろう」
正に図星だったので、ビクトールは何も反論できなかった。無言のままぷいと背を向けたので、それが答えだとカイルは解釈した。
「なあ、カイル」
研究室を出ようとしたカイルは、ビクトールに呼び止められ一瞬足を止めて振り返った。
「ありがとな」
それがビクトールから向けられた初めての感謝の言葉だった。カイルは素っ気ない口調で分かったよとだけ言ってドアを閉めた。
***********
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今までは、お昼の時間には研究室に行って他愛もない会話をしながら過ごしていた。放課後になると、また顔を出して彼の魔法薬作りの邪魔をしていた。彼といる間だけが、自分が自分らしくいられる時間だった。永遠の別れでもないのになぜこんなに悲しいのか自分でも分からない。人前で取り繕うことは得意だったが、今それがきちんとできているか自信がなかった。
ビクトールと会う前は、食堂室で昼食をとっていたが、今更そこに戻るつもりはなかった。先日のようなトラブルに巻き込まれたくないと言うよりも、ビクトールに会えないのなら一人の方がずっと気楽だからだ。どこか一人になれる場所を探して、リリアーナは校内をさまよい歩いた。やっと打ち捨てられたような東屋を見つけ、その日からそこが彼女の新しい居場所となった。
このような状態になったら当然ではあるが食欲もない。前はあんなに食べるのが好きだったのに。リリアーナは義務感でサンドイッチに口を付けたが、数口で食べるのをやめてしまった。そしてため息をついてぼんやりと手入れのされなくなった草むらを眺めていた。
「こんなところにいたのか。随分探したんだぞ」
風の音しか聞こえなかったところに人の声がして、リリアーナははっと弾かれたように振り返った。何かを持ったカイル・ギャレットが立っていた。
「よく私の前に顔が出せるわね! 元はと言えばあなたが……!」
リリアーナは怒りのこもった目でカイルを睨みつけたが、カイルはいつものように眉一つ動かさず受け流した。
「だから罪滅ぼしのためにメッセンジャーやってんだろ。ほれ」
カイルはそう言うと、手に持っていた袋をリリアーナに渡した。
「ビクトールからこれを渡すように頼まれた。直接渡せないからって」
リリアーナが袋の中身を開けると、いくつかの魔法薬と一個のネックレスが入っていた。
「これは治癒の魔法薬。治癒の魔法は聖女しか使えないが、魔法薬なら薬師も作れる。効能はビンに書いてあるから読んどいで。あと、ネックレスの方にはいくつか数珠があるだろう? これは襲われた時に反撃する魔術が込められている。数珠の数しか反撃できないから気を付けて」
「これ……ビクトールが作ったの?」
「そうだよ。俺たちは自分で自分の身を守れるが、いざという時に一番危ないのが君だ。だから急ピッチでできる限りの準備をしたんだ。君がいなくなってからあいつ、授業もサボってあの部屋に閉じこもってひたすら魔法薬を作っていたんだよ。そのネックレスも彼が作った。数珠に込められた魔力も彼のものだ。今頃げっそりしておんぼろソファに寝転がってるよ」
ビクトールが自分のために。そう考えただけで涙が出そうになった。カイルの前で泣くわけにはいかないと思いつつ、こみあげる感情は制御できなかった。自分はただ悲しみに暮れていただけだったのに、その間にもビクトールはできる限りのことをしてくれたのだ。
「おいおい、今生の別れみたいな顔をするなよ。俺はそこまでやらなくてもいいと思ったけど、ビクトールが最悪の事態を想定して色々準備したんだ。俺も手持ちのカードを増やそうとフローラの身辺を探ったり、父に相談したりしてるからさ。ここまでやっとけば悪いようにはならないよ」
「まだ向こうからのアクションはないの?」
「まだね。でも時間の問題だろうな。これでフローラが手を引くとは思えない。おそらく彼女の真の目的はビクトールだ」
それを聞いてリリアーナは、反射的に身体をびくっと震わせた。
「彼の類まれなる能力が魅力的なんだろう。全く強欲な女だよな、それくらいでないと他人の婚約者を奪おうとはしないだろうけど。そのために一番邪魔なのは君だ。君を潰せば、彼を手に入れやすくなる。だから絶対にやられるな。いいな」
滅多に見せないカイルの真剣な表情を見て、リリアーナはただ頷くしかなかった。
「よし、じゃこの話はこれまでだ。また何かあったら会いに来るよ。気持ちを強く持てよ。じゃあな」
「待って!」
リリアーナは、去ろうとするカイルを呼び止めた。
「ビクトールに伝言をお願い。『ありがとう、ゆっくり休んで』と言っ
それを聞いたカイルはにやっと笑って応えた。カイルが去った後一人残されたリリアーナは、魔法薬とネックレスが入った袋をぎゅっと胸に押し当て抱きしめた。
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「おい、言われた通り、リリアーナに届けて来たぞ」
カイルは研究室に戻り、ソファにぐったりと横たわるビクトールに声をかけた。元々顔色はよくないが、更に血の気が失せたような色になっている。
「本当に大丈夫か? いくらお前でも一気に魔力を放出したら激しく消耗するだろう。しばらく動かない方がいい。なんか食べるものでも持って来ようか?」
「いや、だいじょう……うっ」
ビクトールは起き上がろうとしたが、すぐに身体がふらついてソファに戻ってしまった。
「ほれみろ。戦闘に特化した魔術師でも急な魔力の消費はダメージが大きい。よほど訓練しないと体が参ってしまうんだ」
カイルは家の仕事上、戦闘要員も雇用しているからそちらの知識も豊富だった。しかし、今のビクトールは、それより気がかりなことがあった。
「リリアーナの様子はどうだった?」
「身体は健康そうだけど、かなり憔悴していたな。でも例のブツを渡したら喜んでいたよ。言づてを頼まれたぞ。『ありがとう、ゆっくり休んで』だって」
「そうか……それならいい……」
ビクトールは、腕で目を覆いながら呟くように言った。
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そう言えば、父がビクトールに会ってみたいと言っていたことをカイルは思い出した。ちょうどいい機会かもしれない。
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