20 / 52
20.王太子の憂うつ
しおりを挟む
広大な王宮の中の、更に奥まった一角にルークの部屋はあった。学生の立場とは言え、王太子と言う身分にあり、学校以外でも学ばなければいけないことは多い。ルークはこの日も、夜遅くなってやっと自室に戻れた。「王子様って案外やることは地味なんですね」とフローラが目を丸くして言っていたのを思い出す。無邪気で正直な彼女らしいなとおかしくなり一人クスクスと笑った。
それに引き換え、あの元婚約者と来たら。ルークは先日フローラから聞いた話を思い出して忌々しさが蘇った。
(気付かなかった、知らぬ間に薬を盛られていたなんて! 確かに俺にそんなことをする奴なんてあいつしか考えられない!)
フローラから話を聞いたルークは、すぐにリリアーナを捕らえようと思った。しかし、フローラに「リリアーナ様が犯人という証拠はまだないからもう少し様子を見ましょう。幸い薬は一過性のもので体への影響はないみたい」と止められた。フローラの深謀遠慮さには感心する。きっと将来立派な聖女となるだろう。
それにしても、あれだけこっぴどく振ってやったのに、リリアーナがまだ諦めていなかったとは驚いた。毒薬でなかったのなら一体何が目的だったのだろう。フローラは、大体の見当がついている様子だったが、「まだはっきりしないから」と詳しいことは教えてくれなかった。いずれにしても、王太子相手にこっそり薬を盛ること自体重罪だ。最終的にはきっちり懲らしめてやる。
ルークは革張りのソファに腰を下ろし、こめかみをぐりぐりしながら昔を思い出した。今ではリリアーナのことなんて考えたくもないが、最初からそうだったわけではない。
初めて出会ったのはいつだっただろう。確か7歳の時、庭園の迷路で会ったのが最初だろうか。彼女は兄にいじめられて迷路の中で迷いこみ、途方に暮れて泣いていた。外に出してやったらとても感謝されて、淑女の礼で自己紹介された。あの時の彼女は、少年のルークの目にも可愛らしく映った。
彼女との婚約は親に仕組まれた政略的な物だったが、当時は特に不満はなかった。今思えば、従順な子供時代に将来のことを決めてしまえば反発がないだろうという大人の策略にはまったとも言える。婚約や結婚とはどういうものなのか、本当の意味では知る由もなかったのだから仕方のないことだ。
ルークは帝王学を基礎から学び、リリアーナも定期的に王宮に出向いて、王太子妃として必要な勉強をしていた。大人の計らいで彼女としばしば会うことはあったが、半ば義務的な社交以上のものはなかった。
リリアーナは魔力が少ないのをコンプレックスに思っていて、何とか魔法が上達するように頑張っていたが、結果はなかなか出なかった。そんなこと別に気にしなくていいのに、魔法が苦手なら別の人間に任せればいいじゃないか。ルークはそう思っていたが、リリアーナの方は「それでは殿下を守れませんから」と大真面目に答えていた。それを聞いた時は悪い気がしなかった。
しかし、周りの者たちは、彼女の魔力が少ないのを問題視していたらしく、「あの娘は公爵家のくせに碌に魔法も使えない」という陰口を耳にすることが多くなってきた。最初の内は別に気にしていなかったが、余りに同じことを聞くと、「そんなものなのかな」と彼も思うようになった。
リリアーナは魔法に対するコンプレックスを解消するため、今度は別の能力を伸ばすことにしたようだ。魔術以外の学問を頑張るようになり、かなり優秀な成績を修めるようになった。しかし、貴族の世界はやはり魔法が物を言う。彼女の父が魔法学校に娘を入れると決めた時、彼女の命運は決まったようなものだった。それからは、他の分野でどれだけいい結果を出しても認められることは決してなく、だんだんと居場所を失っていった。
この時、彼女に優しい言葉の一つでもかけていれば結果は違ったのかもしれない。ちょうどその頃、彼女は母親を失って失意の底にあった。しかし、この頃はルークも思春期の真っ只中にあって、女の子に優しくするのが妙に恥ずかしくなる年頃だった。彼女も気の強い性格をしていたので、同情されるのは嫌なのかなと自分に都合のいい解釈をしていた。それがただの強がりであったとは、未熟な彼には想像できなかったのだ。
魔法以外の勉強はやればやるほど伸びるので、彼女はそのうち自分の領分外のことにも口を出すようになった。変に聡いから黙って見過ごすことができないのだろう。そんなものは男に任せておけばいいものを。
ルークはだんだんリリアーナを目障りに感じるようになった。妻となる女性ならもっと自分を立てるべきではないのか。何様のつもりで対等に張り合おうとしているのか。魔法も碌に使えないくせに。
たまに、「王太子殿下の婚約者殿は先見の明がある。女に生まれたのがもったいないくらいだ」という声を聞くと、自分を否定されたみたいで腹が立った。現に実の家族からも疎んじられているらしい。きっと生意気で高慢ちきなのを家族も知っているからだろう。それでも、そんなものはおいおい教育していけばよくなるだろうと思っていた。
しかし、フローラに出会ってからすべてが変わった。フローラは、リリアーナにはない愛嬌とたおやかさがあった。面倒見がよく、表情豊かによく笑い、女性としての愛らしさが詰まっている。それに比べたら、リリアーナは氷の女王だった。
上に立つ者として、常に模範を強いられているルークは、フローラのきめ細かい愛情と甲斐甲斐しさに癒された。フローラの魅力に溺れれば溺れるほど、リリアーナが憎らしく思えるようになった。それがだんだん態度に現れるようになっても、リリアーナは傷ついた様子を見せず、逆に「あなたには負けませんわよ」とでも言いたげに不敵な笑みを浮かべるだけだった。
しかも、陰でフローラを虐めていると人づてに聞いてから、何て性悪な女なのだろうとますます嫌悪感が募った。いかにもリリアーナのやりそうなことだ。憐れなフローラは、目に涙をためるだけで表立ってリリアーナを非難することはしなかったから、ますます信ぴょう性が増した。
一度だけ、リリアーナがフローラにカエルに変えられたと訴えたことがあったが、ちっとも信じられなかった。フローラがそんなことやるはずがないし、リリアーナに対しては、嘘をつくならもう少しましな物にしろと言い放った。
それ以来、リリアーナとの関係はこれ以上ないくらいに悪化した。しかし、ここまでひどくなっても、リリアーナは婚約者の座を譲ろうとしなかった。それがますます憎らしく思えて来て、彼女にそんなに王太子妃の座が欲しいかと詰め寄ったことがある。その時、彼女は「私がどうこうできる問題ではありませんから。私たちが結婚しなければ周りが許しません」と言っていた。あれはどういう意味だったのだろう?
王太子の業務と学業の両立は難しい。何とかこなせているが、身体への負担は大きく、この日も頭痛がしていた。明日になればまた愛しいフローラに会える。それを楽しみにして今日の所は休もう。彼女の優しい笑顔を思い浮かべながら、ルークはベッドに身を横たえた。
しかしその日は来なかった。ルークは翌朝になっても目を覚ますことはなかった。心臓は動いており、呼吸はしているので死んだわけではない。ただ眠った状態から起きないのだ。
このニュースは、その日のうちに貴族社会の中をくまなく駆け巡った。元より狭い社会だ。情報を秘匿しておくのは最初から難しいと言えた。公式には何のアナウンスもなかったが、じわじわと一般の国民にも広がり始め、結局1週間後に王室自ら発表する羽目になった。王太子が眠りから覚めないというニュースは、国を揺るがす大事件として大きな驚きを持って国民に受け止められた。
***********
続きが気になったらお気に入り登録お願いします。感想もいただけると嬉しいです!
それに引き換え、あの元婚約者と来たら。ルークは先日フローラから聞いた話を思い出して忌々しさが蘇った。
(気付かなかった、知らぬ間に薬を盛られていたなんて! 確かに俺にそんなことをする奴なんてあいつしか考えられない!)
フローラから話を聞いたルークは、すぐにリリアーナを捕らえようと思った。しかし、フローラに「リリアーナ様が犯人という証拠はまだないからもう少し様子を見ましょう。幸い薬は一過性のもので体への影響はないみたい」と止められた。フローラの深謀遠慮さには感心する。きっと将来立派な聖女となるだろう。
それにしても、あれだけこっぴどく振ってやったのに、リリアーナがまだ諦めていなかったとは驚いた。毒薬でなかったのなら一体何が目的だったのだろう。フローラは、大体の見当がついている様子だったが、「まだはっきりしないから」と詳しいことは教えてくれなかった。いずれにしても、王太子相手にこっそり薬を盛ること自体重罪だ。最終的にはきっちり懲らしめてやる。
ルークは革張りのソファに腰を下ろし、こめかみをぐりぐりしながら昔を思い出した。今ではリリアーナのことなんて考えたくもないが、最初からそうだったわけではない。
初めて出会ったのはいつだっただろう。確か7歳の時、庭園の迷路で会ったのが最初だろうか。彼女は兄にいじめられて迷路の中で迷いこみ、途方に暮れて泣いていた。外に出してやったらとても感謝されて、淑女の礼で自己紹介された。あの時の彼女は、少年のルークの目にも可愛らしく映った。
彼女との婚約は親に仕組まれた政略的な物だったが、当時は特に不満はなかった。今思えば、従順な子供時代に将来のことを決めてしまえば反発がないだろうという大人の策略にはまったとも言える。婚約や結婚とはどういうものなのか、本当の意味では知る由もなかったのだから仕方のないことだ。
ルークは帝王学を基礎から学び、リリアーナも定期的に王宮に出向いて、王太子妃として必要な勉強をしていた。大人の計らいで彼女としばしば会うことはあったが、半ば義務的な社交以上のものはなかった。
リリアーナは魔力が少ないのをコンプレックスに思っていて、何とか魔法が上達するように頑張っていたが、結果はなかなか出なかった。そんなこと別に気にしなくていいのに、魔法が苦手なら別の人間に任せればいいじゃないか。ルークはそう思っていたが、リリアーナの方は「それでは殿下を守れませんから」と大真面目に答えていた。それを聞いた時は悪い気がしなかった。
しかし、周りの者たちは、彼女の魔力が少ないのを問題視していたらしく、「あの娘は公爵家のくせに碌に魔法も使えない」という陰口を耳にすることが多くなってきた。最初の内は別に気にしていなかったが、余りに同じことを聞くと、「そんなものなのかな」と彼も思うようになった。
リリアーナは魔法に対するコンプレックスを解消するため、今度は別の能力を伸ばすことにしたようだ。魔術以外の学問を頑張るようになり、かなり優秀な成績を修めるようになった。しかし、貴族の世界はやはり魔法が物を言う。彼女の父が魔法学校に娘を入れると決めた時、彼女の命運は決まったようなものだった。それからは、他の分野でどれだけいい結果を出しても認められることは決してなく、だんだんと居場所を失っていった。
この時、彼女に優しい言葉の一つでもかけていれば結果は違ったのかもしれない。ちょうどその頃、彼女は母親を失って失意の底にあった。しかし、この頃はルークも思春期の真っ只中にあって、女の子に優しくするのが妙に恥ずかしくなる年頃だった。彼女も気の強い性格をしていたので、同情されるのは嫌なのかなと自分に都合のいい解釈をしていた。それがただの強がりであったとは、未熟な彼には想像できなかったのだ。
魔法以外の勉強はやればやるほど伸びるので、彼女はそのうち自分の領分外のことにも口を出すようになった。変に聡いから黙って見過ごすことができないのだろう。そんなものは男に任せておけばいいものを。
ルークはだんだんリリアーナを目障りに感じるようになった。妻となる女性ならもっと自分を立てるべきではないのか。何様のつもりで対等に張り合おうとしているのか。魔法も碌に使えないくせに。
たまに、「王太子殿下の婚約者殿は先見の明がある。女に生まれたのがもったいないくらいだ」という声を聞くと、自分を否定されたみたいで腹が立った。現に実の家族からも疎んじられているらしい。きっと生意気で高慢ちきなのを家族も知っているからだろう。それでも、そんなものはおいおい教育していけばよくなるだろうと思っていた。
しかし、フローラに出会ってからすべてが変わった。フローラは、リリアーナにはない愛嬌とたおやかさがあった。面倒見がよく、表情豊かによく笑い、女性としての愛らしさが詰まっている。それに比べたら、リリアーナは氷の女王だった。
上に立つ者として、常に模範を強いられているルークは、フローラのきめ細かい愛情と甲斐甲斐しさに癒された。フローラの魅力に溺れれば溺れるほど、リリアーナが憎らしく思えるようになった。それがだんだん態度に現れるようになっても、リリアーナは傷ついた様子を見せず、逆に「あなたには負けませんわよ」とでも言いたげに不敵な笑みを浮かべるだけだった。
しかも、陰でフローラを虐めていると人づてに聞いてから、何て性悪な女なのだろうとますます嫌悪感が募った。いかにもリリアーナのやりそうなことだ。憐れなフローラは、目に涙をためるだけで表立ってリリアーナを非難することはしなかったから、ますます信ぴょう性が増した。
一度だけ、リリアーナがフローラにカエルに変えられたと訴えたことがあったが、ちっとも信じられなかった。フローラがそんなことやるはずがないし、リリアーナに対しては、嘘をつくならもう少しましな物にしろと言い放った。
それ以来、リリアーナとの関係はこれ以上ないくらいに悪化した。しかし、ここまでひどくなっても、リリアーナは婚約者の座を譲ろうとしなかった。それがますます憎らしく思えて来て、彼女にそんなに王太子妃の座が欲しいかと詰め寄ったことがある。その時、彼女は「私がどうこうできる問題ではありませんから。私たちが結婚しなければ周りが許しません」と言っていた。あれはどういう意味だったのだろう?
王太子の業務と学業の両立は難しい。何とかこなせているが、身体への負担は大きく、この日も頭痛がしていた。明日になればまた愛しいフローラに会える。それを楽しみにして今日の所は休もう。彼女の優しい笑顔を思い浮かべながら、ルークはベッドに身を横たえた。
しかしその日は来なかった。ルークは翌朝になっても目を覚ますことはなかった。心臓は動いており、呼吸はしているので死んだわけではない。ただ眠った状態から起きないのだ。
このニュースは、その日のうちに貴族社会の中をくまなく駆け巡った。元より狭い社会だ。情報を秘匿しておくのは最初から難しいと言えた。公式には何のアナウンスもなかったが、じわじわと一般の国民にも広がり始め、結局1週間後に王室自ら発表する羽目になった。王太子が眠りから覚めないというニュースは、国を揺るがす大事件として大きな驚きを持って国民に受け止められた。
***********
続きが気になったらお気に入り登録お願いします。感想もいただけると嬉しいです!
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!
木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。
胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。
けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。
勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに……
『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。
子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。
逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。
時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。
これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる