【完結】青の魔女と天才魔術師の禁じられた遊び

雑食ハラミ

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第6章 祝福された現婚約者と忘れられた元婚約者

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あれからまた月日が経った。表向きビクトールとリリアーナの関係は変わっていない。その日は、ビクトールは夜遅くまで魔術書を読んで夜更かしをしていた。家で勉強しているところを父親に見つかると怒られるので、ベッドに潜りながらこっそり読んでいたら朝まで疲れが残ってしまった。翌日は休日だったので、ゆっくりしていようと思っていたが——



「兄ちゃん! 起きて起きて! 今日はお祭りだよ!」



トトとジュジュに朝早い時間に起こされてしまった。



「なんだ? この時期に祭りなんて聞いてないぞ」



「王子さまの婚約お披露目の特別なお祭りがあるの! 相手はすごくきれいなお姫さまなんだって。見に行きたいなあ」



ルークとフローラのことか。ビクトールは先日のリリアーナの記憶を思い出して胸糞が悪くなった。彼自身はそんなもの全く興味なかったが、何も知らないトトとジュジュが目を輝かせている様子を見て、仕方なく彼らを連れて行ってあげることにした。



ビクトールたちは、貧困地区を抜けて商業施設が立ち並ぶ一角へと向かった。ここは王都でも一番華やかな目抜き通りで、中央に噴水がある石畳の大広場が祭りの中心だった。広場の中央には花やリボンで彩られた華やかな舞台がしつらえてあり、ここから民衆に直接メッセージを伝えるらしい。



辺りは既に民衆たちでごった返しており、ビクトールたちは人の間をぬって苦労して歩いた。食べ物の屋台が沢山出ておりおいしそうな匂いが鼻をくすぐる。食べるのが好きなリリアーナならこういう場所は喜ぶだろうなと、ビクトールは考えた。もっとも、恋敵の祝祭に足を運ぶはずがないが。



「兄ちゃん! あそこにあるアイスクリーム食べていい?」



「このベイクドポテト、とろーりチーズがかかっておいしそう! 私あれがいい!」



普段見ることのない珍しい食べ物を前にして、トトとジュジュは目移りしながらあれもこれもと兄にせがんだ。ビクトール自身は、祭りで何も買えなかった経験があるので、弟と妹には自分のようなみじめな思いをさせたくなかった。幸い、秘密のバイトで得た収入があるので、彼らの望み通りに買ってあげられて満足した。



「あっ、王子さまとお姫さまが来たよ!」



トトが指さす方を見ると、煌びやかに装飾された馬車に乗って、ルークとフローラがやって来た。開けた窓から二人がにこやかに手を振るのが見える。トトとジュジュも興奮しながら手を振っていたが、ビクトールは白けた目で眺めていた。



(本当なら、あそこにリリアーナがいたはずなのか……)



きれいなドレスに身を包み、民衆に微笑みかける彼女があの場所にいるのを想像してみた。洗練された所作で堂々と振舞うその姿はさぞかし美しかったに違いない。絵本の挿絵から飛び出したような彼女は羨望の眼差しを浴びたはずだ。しかし、現実はカビと薬草の臭いが混じった小汚い部屋に毎日通って他愛もないお喋りをしたり、汚いスラム街に通って子供と遊んでいる。ビクトールは、重い鉛を飲み込んだような気持ちになった。



「ねー兄ちゃん、見えないよー。前の人の背が高くて」



トトに話しかけられビクトールははっとした。ルークとフローラが馬車から降りて舞台に立ったのだが、彼らのいる場所からは見えにくかった。特に小さい子供なので前にいる大人が邪魔になって、視界が塞がれてしまった。



「しょうがないな。二人とも浮かしてやるから待ってろ」



ビクトールは懐から杖を取り出すと、トトとジュジュを大人の背の位置より高いところまで浮かせてやった。平民で魔法を使える者は珍しいので、周囲からおおっと歓声が上がった。



「わっ、すごーい! よく見えるよ!」



当然トトとジュジュも大喜びである。



前方の舞台では、フローラが何やらスピーチをしていた。彼女は身振り手振りをくわえて、急ごしらえの婚約者の役割を必死で演じていた。



「私も、元々は皆さんと同じ平民でした。そんな私が魔法の力に目覚めたのは7歳の時です。屋根から落ちた父の怪我を治したのがきっかけでした。当時は、奇跡が起きたと村じゅうが大騒ぎになったのを覚えています。その後私は男爵家の養女となり、淑女としての教育を受け、ホグスワンデル魔法学校に入学しました。この癒しの力で多くの国民を助けたい。漠然とそう思っていたところに出会ったのが、今隣にいらっしゃるルーク殿下です。どうすれば国民が救われるか、幸せになれるのか、たくさん話し合いました。殿下の深い御心に触れる中で、私たちはこの国を良くしたいという同じ志を持つ者であることを知り、こうしてお互いの手を取り合ったのです。まだ若輩者かつ、未熟ではございますが、私たちは、未来の国王と聖女として、皆さまの幸福のためにこの身を捧げると誓います」



民衆は大歓声を上げて二人を祝福した。そんな中、ビクトールだけは吐きそうな顔をして聞いていた。何が国民の幸せだ、やっていることは元の婚約者を陥れて蹴落としただけじゃないか。聖女が聞いて呆れる。しかし、そんなことを思っているのはビクトール一人らしく、周りはルークとフローラを褒め称える声であふれていた。



「王子さまもお姫さまもなんて美しいの。正に理想のカップルね」



「前の婚約者は、とんでもない性悪女だったらしいぞ。フローラ様は優しそうな人でよかったな」



何も知らないとはいえ、好き勝手なこと言いやがって。ビクトールはますます胸糞悪くなった。その時、フローラが何やらこちらの方に気付いた様子だった。宙にぷかぷか浮いているトトとジュジュが目立って見えたのだろう。隣にいるビクトールにも気づいた様子だ。フローラとルークは柔和な笑みを浮かべ、トトとジュジュに手を振り返した。周りからは「気付いてもらえてよかったね」という温かい反応が返って来た。向こうにとっても「子供にもお優しい王子さまとお姫さま」といういいアピールができた格好になった。



ビクトールは、一刻も早くこの場を去りたくなった。こんな茶番もうたくさんだ。しかし、周りにはたくさんの人がいて自由に身動きが取れない。そのうち、舞台を降りたルークとフローラが乗っている馬車がこちら側に回って来た。そしてビクトールたちの姿を見つけると、その近くに馬車を停め、中から降りて来たのだ。



「あなた、学園の特待生の方よね。私と同じ境遇の中頑張ってらっしゃるなと遠くから見てました。わざわざ来てくださってありがとう」



学園では一度も話しかけられたことがないのに、なぜこのタイミングでフローラの方から歩み寄ってきたのだろう?何の意図があるのか? 気づくと、3人を民衆が取り囲むかたちになっていた。



「魔法は貴族の特権という者がいるが、このように平民でも能力があれば積極的に入学させている。そしてフローラのように頭角を現す者もいる。私たちは、身分に関わらず、分け隔てなく国民にチャンスを与えているんだ」



またもや民衆から拍手と歓声が湧いた。図らずも、王族の好感度上昇に利用されてしまった。何が分け隔てなくチャンスを与えるだ。王太子に取り入ったフローラはともかく、いくら成績優秀でもビクトールに未来はない。彼は苦々しさでどうにかなってしまいそうだったが、ふと、この状況を逆に利用してやろうと思いついた。どうせ失うものなどない。彼ら相手に何の遠慮もいらない。



「あ、あの……実は、フローラ様にお尋ねしたいことがあるのですが」



何も知らないフローラは、にっこりとビクトールに向き合った。



「前の婚約者がしていた慈善事業を続けられる予定はありますか?」



ビクトールが言った途端、隣にいたルークが険悪な表情になった。



「ここでそんな話題を出すとは、第一無能な女のおままごとと、フローラがこれからやろうとしている救済活動を同列に扱う事自体ナンセンスだ。フローラは無限の可能性を秘めている。これから幾千の民を救う約束がされている彼女につまらない雑用で手を煩わせる必要はない」



ルークは憮然とした表情に変わって冷たく言い放った。ビクトールは黙って聞いていたが、「ありがとうございました」と答えた。そして、そそくさと馬車に戻るフローラにそっと囁いた。



「聖女の力は尊いですが、貴重な反面失われやすい特徴があります。長く力を維持したければ、癒しの目的以外に魔力を乱用しないことです。そう、例えば人をカエルに変えるとか——」



それを耳にしたフローラは一瞬青ざめ、嫌悪感を露わにしてビクトールを睨みつけた。しかしそれは一瞬のことだった。すぐに馬車に戻り、そそくさとその場を去って行った。



周りの民衆は、彼らの変化に気付かなかったが、トトとジュジュは全てが終わってから兄の袖をそっと引いた。



「王子さまとお姫さま、最後おっかない顔していたね。何かあったのかな」



「大したことないよ。さあ、二人とも。そろそろ家に帰ろう」



この日はそれで終わった。後日、学校でいつものようにリリアーナがビクトールの研究室で油を売っていると、ビクトールがふと呟くように言った。



「今まで、貴族ばかり魔法が使えてずるいと思っていたけど、たまに平民の中ですごい奴が現れても、力におぼれて碌な使い方をしない。そう言う意味ではおれもあの女と同じなのかもな」



「あら、あなた珍しく謙虚じゃない。何かあったの?」



リリアーナはクッキーを口に運ぶ手を止め、目を丸くしてビクトールに目を向けた。



「魔法を使って成り上がることしか考えない奴は、倫理の底がすっぽり抜けているってことだよ。俺みたいな人間が魔法技術省みたいなところには向いてないのかもな」



「何言ってるのよ! あなたみたいな人が出世しなくてどうするのよ! 無能な貴族どもの鼻を明かしてやりたいんでしょう!?」



「……別に俺は鼻を明かしてやりたいんじゃない。認めて欲しいだけだ……」



ビクトールはそう言うと、リリアーナをまっすぐ見つめた。



「なあ、証拠の残らない毒薬、作ってやろうか? 俺の力を全て使えば不可能じゃないと思う」

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