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第14話 兄の帰還
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「兄様! お帰りなさい! 寂しかったです!」
エリオットは、きらきらした笑顔でユージンに駆け寄った。噂通り、全く兄弟の顔は似ていない。王子様のようにハンサムなユージンと陰気なエリオットでは、違う世界の住人に見える。だが、ここでは輝く笑顔を浮かべるのはエリオットの方で、じとっとした表情を浮かべているのはユージンだった。
「地下室から出たのか?」
これがユージンの第一声だ。久しぶりの再会ならもっと他に言うことがあるのに。エリオットはおやと思いつつも素直に答えた。
「うん、そうだよ。物が増えすぎて手狭になったから部屋を変えたんだ」
「よく出られたな」
「自分でもそう思う。僕一人ではとてもそんな勇気は出なかったけど、ビアトリスがいてくれたから。あっ、まだ紹介してなかったね。こちらが妻のビアトリス。手紙で知らせた通りだよ」
エリオットが、ビアトリスを自分の方に引き寄せて、ユージンに紹介する。ビアトリスは、内心震えながらもそれを悟られないように、ユージンに挨拶をした。
「そうか、君が例の、ね。よくエリオットをここまで変えたね。まるで別人のようだ」
ユージンはビアトリスに近づくと、まるでスイッチを切り替えたかのようにぱっと輝くような笑顔になる。だが、その前の暗い表情を見ていたので、ビアトリスは逆に背筋がぞくっとした。
「初めまして、妻のビアトリスです。お義兄さんにお会いできて嬉しいです。どうぞよろしくお願いします」
ビアトリスは平静を装って答えたが、ユージンの言葉が全く信じられなかった。そもそも、突然姿を消して皆を心配させておいて、他に言うべきことがあるのでは? 笑顔とは裏腹に、まるで「どうして弟を外へ出したんだ?」と詰問されているような気分になる。
「ささ、立ち話でも何ですから、奥の部屋へ。お茶の用意ができています」
ハインズが気を利かせて3人をリビングに案内した。使用人に給仕されながらお茶とお菓子をつまみつつこれまでの話をする。ユージンは社交的な人物らしく、朗らかな様子で話し始めた。
「いや、心配をかけて申し訳なかった。特に君の実家のテレンス家には何の説明もせず失礼なことをしたと思う。今度お詫びも兼ねてご家族を招待しよう。改めて事の経過を説明したい」
「一体何があったんですか?」
「古くからの友人が重い病にかかってしまってね、最後の別れになるかもしれないと思い会いに行ったんだ。彼には妻と小さな子供もいるから、もしもの時は残された者の処遇も考えないといけないし。それもあって後処理に追われてた。詳しくは言えないが、実は、その友人は国家機密に関与する重要人物で、まあスパイみたいな存在とでも言えばいいのかな、存在自体大っぴらにはできない事情があって、こんな不自然な形で姿を消すしかなかった」
一見もっともらしいが本当なのだろうか? ビアトリスは内心疑問に思った。いくら友人とは言え、ユージンほどの目立つ人物が動いて長期間姿を消したら秘密にしておけなくなるのでは? これ以上の追及は難しいが、すっきりする回答とは言えない。
「ごめん、僕は兄様から事情を聞いていて、手紙のやり取りもずっとしていた。でも秘密にしておく約束だったから君にも何も言えなくて」
エリオットがすまなそうに付け加える。どうやらユージンの説明に一片の疑問もないらしい。
「そ、そうだったの。でも全て解決したなら問題ないわ。後は、実家の家族にも説明してくだされば」
ビアトリスは、釈然としないながらも受け入れるしかなかった。とても疑問を挟める空気ではない。気まずい気持ちを一人抱えたまま、ぬるくなった紅茶をすするしかなかった。
「そう言えば兄様、食堂室を移動したんだ。その、ビアトリスが僕に合わせてくれて」
エリオットがユージン不在中に変化のあったことを説明した。ここまで言えば、なぜ移動したかユージンには察しが付くはずだ。しかし、ユージンは眉間にしわを寄せて怪訝な顔をした。
「ん? どうして? あの食堂室は日差しも入って明るくて過ごしやすいだろう? あれより適当な部屋があるとは思えないが?」
そんなことを言われるとは思ってなかったエリオットはえっと言葉に詰まった。察してもらうのは無理なのか。しびれを切らしたビアトリスが代わりに答える。
「元の食堂室には辛い思い出があるから、気持ちよく食事をするために部屋を変えたんです。お義兄様もその場にいらしたからご理解いただけるかと」
「あ? ああ、そう言えばそんなことがあったね。でも、地下室から出たのなら、その辺もすっかり克服してるのかと思った」
それを聞いたビアトリスは、すこしむっとした。エリオットの気持ちを少しは考えたらどうだ? もう少し虫の居所が悪ければ反論しそうになっていた。
「そんなこと言っても、まだ一歩踏み出しただけだから……まだまだだよ」
「無理をしているならば、そんなに先走らなくてもいいんだぞ。兄様が守ってやるから——」
「エリオットが一歩を踏み出したのは大きいわ。私は彼を応援します。お義兄様も同じ気持ちですよね?」
ユージンが甘い声色で囁きかけたのを、ビアトリスが遮った。ユージンが考えていることがいまいち分からず気持ち悪い。でも、もっと気持ち悪いのは、エリオットが何も気づいていないところだ。自分だけ取り残された気分になる。この時にはもう、ぬるくなった紅茶をすする気力も残されてなかった。
それから数日後、ユージンの言った通りビアトリスの家族が呼ばれて、内輪だけの席が設けられた。不誠実な対応を取られて文句の一つでも言うのかと、思いきや、両親と妹のミーガンは、ユージンの誘いに対して二つ返事でほいほいとやって来た。
「いやー、しばらくお姿を見なかったからどうしたものかと心配してました。ご無事に帰ってこられて本当によかった」
「いえいえ、こちらこそ失礼しました。やむを得ない事情があったとはいえ、あなた方にはご迷惑をおかけしました」
「あの、それで、どうでしょう? 一旦立ち消えになった婚約の話ですが……」
父がキラキラと目を輝かせてユージンの反応を伺う。隣に座るミーガンもいそいそと落ち着かない様子になる。まさか、まだ諦めてなかったのかとビアトリスは心の中で呆れ返った。
「ああ、そのことですか。そうですね。ミーガン嬢には申し訳ないことをした。また話を進めてもらっても構いませんよ」
ユージンは、ソファのひじ掛けに頬杖を突き、組んだ足を崩さぬまま、フランクな口調で言った。それを聞いた父とミーガンはぱっと顔を輝かせる。その場にいたビアトリスは、はあ? と声を出しそうになった。
自分から反故にしといて「別にいいですよ」なんて無礼もいいとこなのに、なぜ父とミーガンは気付かないのだろうか? そこまでしてユージンが欲しいのだろうか? この世界で皆がユージンに魅了され、自分だけ魔法が利いていないような、不思議な心地に包まれる。
「でも、お父様。テレンス家とブラッドリー家が縁故になるという目的は、私とエリオットで達成できたのでは?」
「それはそれ、これはこれだろ? お前たちは勝手にやってくれればいいよ」
「そうよ。どうやら姉さんたちはお似合いカップルのようだし、それはそれでいいんじゃない?」
ミーガンがそう言うと、へらへらと弛緩したような笑いが起きた。何だか馬鹿にされてるような気がするのは気のせいか、それとも被害的になってるだけか? 隣のエリオットを見ると何にも感じてないようである。さっきから一言も口を開かず、置物のようにいるのが仕事だと言わんばかりに見える。
(エリオットはこういう扱いをされることに慣れているのだろうか。うちの家族だけでなく、実の兄からも省みられてないのに)
ふとした時にエリオットとユージンが席を立った瞬間があった。ビアトリスはこのチャンスを逃さなかった。ミーガンに是非とも聴いておきたいことがある。彼女は、妹のところにそそくさと近寄って隣に腰を下ろした。
「ねえ、ミーガン。ちょっと聞きたいことがあるんだけど?」
姉妹だけで会話をするのは珍しい。ミーガンは姉に話しかけられるとは思ってなかったのでおやと目を見開いた。
「あなた、エリオットとお見合いした時、彼のことを化け物呼ばわりしたらしいけど、私が見た感じとてもそうには見えないのね。いいえ、怒ってるのではなくて、単純に不思議なの。その時の彼は挙動不審だったかもしれないけど、見なりは整えて行ったはずだし、どこからそんな言葉が出たのかなって」
「別に深い意味はないけど……ユージン様が前にそう言ってたのよ。地下室から出てこない面汚しがいるって。一家の恥だって。だから、そんなのと結婚させられるのかと全然いいイメージが持てなかったの。でも今日見たら大分マシになってたわね? ユージン様ほどじゃないけどね」
やっぱり。それを聞いたビアトリスは、腹が立つよりも腑に落ちる気持ちの方が大きかった。ユージンは影でエリオットを馬鹿にしてたのだ。本人の前ではいい顔をしておいて、見えないところでは嘲笑っていた。気持ちは晴れないが、謎が一つ解けた時の納得感に包まれたのは確かだった。
★★★
最後までお読みいただきありがとうございます。
恋愛小説大賞エントリー中です。
キャッキャウフフはもう終わり?と思ったら清き一票をお願いします!
「忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される」も同時連載中です。こちらはシリアス度高めです。
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「そう言えば兄様、食堂室を移動したんだ。その、ビアトリスが僕に合わせてくれて」
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「ん? どうして? あの食堂室は日差しも入って明るくて過ごしやすいだろう? あれより適当な部屋があるとは思えないが?」
そんなことを言われるとは思ってなかったエリオットはえっと言葉に詰まった。察してもらうのは無理なのか。しびれを切らしたビアトリスが代わりに答える。
「元の食堂室には辛い思い出があるから、気持ちよく食事をするために部屋を変えたんです。お義兄様もその場にいらしたからご理解いただけるかと」
「あ? ああ、そう言えばそんなことがあったね。でも、地下室から出たのなら、その辺もすっかり克服してるのかと思った」
それを聞いたビアトリスは、すこしむっとした。エリオットの気持ちを少しは考えたらどうだ? もう少し虫の居所が悪ければ反論しそうになっていた。
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「でも、お父様。テレンス家とブラッドリー家が縁故になるという目的は、私とエリオットで達成できたのでは?」
「それはそれ、これはこれだろ? お前たちは勝手にやってくれればいいよ」
「そうよ。どうやら姉さんたちはお似合いカップルのようだし、それはそれでいいんじゃない?」
ミーガンがそう言うと、へらへらと弛緩したような笑いが起きた。何だか馬鹿にされてるような気がするのは気のせいか、それとも被害的になってるだけか? 隣のエリオットを見ると何にも感じてないようである。さっきから一言も口を開かず、置物のようにいるのが仕事だと言わんばかりに見える。
(エリオットはこういう扱いをされることに慣れているのだろうか。うちの家族だけでなく、実の兄からも省みられてないのに)
ふとした時にエリオットとユージンが席を立った瞬間があった。ビアトリスはこのチャンスを逃さなかった。ミーガンに是非とも聴いておきたいことがある。彼女は、妹のところにそそくさと近寄って隣に腰を下ろした。
「ねえ、ミーガン。ちょっと聞きたいことがあるんだけど?」
姉妹だけで会話をするのは珍しい。ミーガンは姉に話しかけられるとは思ってなかったのでおやと目を見開いた。
「あなた、エリオットとお見合いした時、彼のことを化け物呼ばわりしたらしいけど、私が見た感じとてもそうには見えないのね。いいえ、怒ってるのではなくて、単純に不思議なの。その時の彼は挙動不審だったかもしれないけど、見なりは整えて行ったはずだし、どこからそんな言葉が出たのかなって」
「別に深い意味はないけど……ユージン様が前にそう言ってたのよ。地下室から出てこない面汚しがいるって。一家の恥だって。だから、そんなのと結婚させられるのかと全然いいイメージが持てなかったの。でも今日見たら大分マシになってたわね? ユージン様ほどじゃないけどね」
やっぱり。それを聞いたビアトリスは、腹が立つよりも腑に落ちる気持ちの方が大きかった。ユージンは影でエリオットを馬鹿にしてたのだ。本人の前ではいい顔をしておいて、見えないところでは嘲笑っていた。気持ちは晴れないが、謎が一つ解けた時の納得感に包まれたのは確かだった。
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