28 / 36
第28話 華やかなる賭け
しおりを挟む
どれくらいそうしていただろう。もう止めることもできず、エリオットの愛撫は更に深いところへ進もうとしていた。
と、その時。玄関のドアが開いて、アンジェリカが帰って来る音が聞こえた。
「ただいま。あれ、エリオット来てたの? ここ来るの初めてじゃない?」
玄関から音が聞こえた瞬間二人はぱっと離れ、何もなかったかのように振舞った。でも、息は整っておらず頬が上気したままなので、アンジェリカも流石に何かおかしいと気づく。
「やあ、アンジェリカ。こないだはどうも。たまたまビアトリスと街で会って、家に立ち寄らせてもらったんだ。そろそろ仕事に戻らないといけないから帰ろうかな?」
「あら、エリオット。仕事は終わったんじゃないの?」
「いや、締め切り近いから。これでも僕が会社に顔出すようになって仕事がしやすくなったんだ」
エリオットとビアトリスがその場を取り繕う三文芝居を繰り広げている間にも、アンジェリカは目を細めてじっと二人を眺めていた。
「じゃあ、またね。兄さんによろしく言っといて」
アンジェリカは、一応そう言って気付かない振りをしてあげた。しかし、エリオットがいなくなると我慢の限界を迎え、ビアトリスを質問攻めにした。
「ちょっと、そういうことなら前もって言ってよ! 遅く帰ったり家に戻ったりするから! 水臭いじゃないのよ!」
「本当にそんなんじゃないから! 変に勘繰らないでよ!」
「何言ってんのよ! あなた達夫婦なのよ! そういうことがない方がおかしいのよ!」
そう言われて、ビアトリスはぴたっと止まった。
「え……そうなるの?」
きょとんとして尋ねるビアトリスを見て、アンジェリカは深いため息をつく。
「当たり前じゃない。まさかとは思うけど、子供はコウノトリが運んでくるとまだ信じてないよね?」
「それくらい知ってるわよ! 子供じゃないんだから!」
「じゃあ、いい加減次の段階に進みなさいよ! いつまでおままごとやってるのよ!」
「そ、それは……」
そう言われてビアトリスは答えに窮した。確かに自分とエリオットはおままごと夫婦である。彼のことは嫌いじゃない。むしろ大好きなのに。でもこの先どうしたらいいか分からない。さっきは、アンジェリカが邪魔しなければ行く所まで行っただろう。あの時は流れに身を任せてしまえと思っていた。でも今は。改めて考えると恥ずかしい。とても恥ずかしい。
そこまで考えた時、その場にいるのがいたたまれなくなり、脱兎のごとく部屋を飛び出し自室に閉じこもってしまった。アンジェリカはそれを見て更に深いため息をついた。
**********
「……と、こういうわけなのよ。兄さんからもエリオットに言ってやってよ」
「俺が何を言えるんだよ? こういうのは当人同士が何とかしなきゃ意味ないだろ?」
数日後、久しぶりに家に帰ったアンジェリカは、兄のセオドアを捕まえてビアトリスとエリオットのことを相談した。この家にはエリオットも居候中だが、もちろん彼にはこの会話を聞かれないようにしている。
「あの二人に任せていたらいつまでも進展しないわよ。夫婦なのに子供みたいな認識しかないのは、どう見てもおかしいわよ? 何らかの介入が必要よ!」
「ほう。お前、普段は伝統的結婚観がどうのこうのと言ってるじゃないか。それならエリオットとビアトリスみたいな夫婦の在り方もあっていいんじゃないのか?」
「それとこれとは別! 女権拡張運動は確かに大事だけど、私の主義主張をビアトリスに押し付ける気はないの。彼女は私の価値観を否定しないから、私も彼女の価値観を尊重するだけ。ただ、あの子は今のおままごと夫婦みたいな状況は望んでないと思う。エリオットとの関係を進展させたいに違いないわ。友人として傍で見てるともどかしくて」
「それにしたって他人が介入するのは野暮ってもんだよ。大丈夫、エリオットも男だ。本当は我慢できなくてうずうずしてるはずさ。せめて仕事面が順調になれば違うんだろうけど……」
「え? 今仕事が行き詰まってるの?」
「資金面で目途がつかないんだよ。エリオットからの援助を兄貴が切ってしまっただろう? それでスポンサー探しをしてるんだが、あともう少しというところで立ち往生している。うちは、投稿雑誌では最大手だから何とかなると思ったんだけど、見込みが甘かったな。せめて一社見つかれば目途は立つんだけど」
アンジェリカはそれを聞いて、少し考えてから口を開いた。
「それ、ビアトリスに教えないほうがいい? これ以上エリオットのことで心配させない方がいいかしら?」
「うん? 別にいいんじゃない? ただ、ビアトリスどうにかできる問題じゃないと思うけど」
そう言って、セオドアは途方に暮れた様子で頭をかいた。
**********
マークは宣言通り、仕事が終わってからビアトリスを誘ってこぢんまりした洒落たレストランへと連れて行った。彼女の連載作家デビュー記念だ。格式は高くないが、ちょっとしたお祝いをするのにちょうどいい場所で、マークのセンスの良さをうかがわせる。ここまでのおぜん立てをしてもらって、浮足立つなという方が無理だった。
「まずは乾杯と行こう。未来の大作家様に」
「ちょっとやめてください。いくら何でもお世辞が過ぎますよ」
ビアトリスは、冗談を受け流せなくて、顔を赤くして否定した。仕事帰りなので服装は変えてないが、せっかくだから一回着替えてくればよかったかなと考え慌てて否定した。本当は既婚者なのにそんなことを考える自分が恥ずかしい。それに、マークに真実を隠している後ろめたさもある。
「お世辞じゃないよ。うちが君を見つけられたのは運がいいと思う。他に取られなくてよかった」
それは「紅の梟」のことを指しているのだろうか。ビアトリスは変にどぎまぎした。
「正直言って、競合他社のことをどう思ってますか? よく『紅の梟』と比べられることが多いですが?」
「周りからはライバル同士と見られることも多いけど、実際のところ、対抗意識を燃やして張り合ってるつもりはないんだよ。向こうも多分同じじゃないかな。僕たちはみな、それぞれ作風が違ってて、住み分けができてるからね。お互いのテリトリーを荒らすことはしない。それに、小説を書く人が増えた方が界隈全体も発展するんだ。だから、色んな会社から違う雑誌が出ているのは、プラスにこそなれ、マイナスには決してならない」
それを聞いてビアトリスはほっとした。「紅の梟」の編集長の関係者である自分が「楡の木」に出入りしていることを、密かに後ろめたく思っているのだ。エリオットは、誰かをライバル視するような人ではないのは聞かなくても分かるが、マークも似たような考えであると知れて安心する。そのせいか、つい油断したビアトリスは、先日アンジェリカから聞いた話題をぽろっと漏らしてしまった。
「それじゃ、もし、ライバル誌が廃刊の危機にあるとしたらどう思います?」
マークは、妙な話題を振られたことが疑問だったらしく、ん? と眉をしかめた。
「あ、あのですね! アンジェから聞いた話なんですが、『紅の梟』が今ちょっとまずいらしくて、長年とある貴族からの寄付を受けていたんですが、それが途絶えてしまったらしいんです。それで、スポンサーを募っているんですが、なかなか集まらないらしくて……『楡の木』はどうやってスポンサーを集めたんですか?」
「ああ、うちも最初はそれで苦労したよ。とにかく人海戦術で頼れる伝手をくまなく当たるしかなかったな。お陰で今は信頼できるルートをいくつか確保している」
「そうですか……」
ビアトリスは、半ば上の空で返事をした。もう少しで「そのルート分けてください!」と言ってしまいそうになる。流石に厚かましくて口にはできないが、本当のところ喉から手が出るほど欲しい。その葛藤に悩まされ、食事が喉を通らなくなってしまった。
「なんでビアトリスがそんなに悩んでいるの?」
「え? ええ。いえ、向こうがすごく困っているとアンジェから聞いているので。彼女とは友達ですし、力になってあげたいんです」
ビアトリスの声色に必死さを感じたマークは、何を考えたか、悪戯を企むような表情になり、奇妙な提案をしてきた。
「ふむ、そうか。僕が助けてやれないこともないけど、ただじゃつまらない。一つ賭けをしてみよう。次の号で今月号より部数がよかったら、『紅の梟』にスポンサーを紹介してやろう。どう? これならビアトリスも仕事のやる気が出るんじゃない?」
「もちろんです! ありがとうございます!」
満面の笑みを浮かべるビアトリスに、マークは苦笑しながら答えた。
「いいや、まだ決まった訳じゃないよ。全ては君の小説の手ごたえに懸かっている。今月は業績よかったからそれを上回るのは簡単じゃないぞ」
「読者が期待する続きを書ければいいってことですよね! 私頑張ります!」
マークが出した条件にもひるむことなく、笑顔全開で張り切るビアトリスを、マークは微笑ましく眺めていた。
★★★
最後までお読みいただきありがとうございます。
恋愛小説大賞エントリー中です。
いいムードになったと思ったら邪魔が入ったのかよ!と思ったら清き一票をお願いします!
「忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される」も同時連載中です。こちらはシリアス度高めです。
と、その時。玄関のドアが開いて、アンジェリカが帰って来る音が聞こえた。
「ただいま。あれ、エリオット来てたの? ここ来るの初めてじゃない?」
玄関から音が聞こえた瞬間二人はぱっと離れ、何もなかったかのように振舞った。でも、息は整っておらず頬が上気したままなので、アンジェリカも流石に何かおかしいと気づく。
「やあ、アンジェリカ。こないだはどうも。たまたまビアトリスと街で会って、家に立ち寄らせてもらったんだ。そろそろ仕事に戻らないといけないから帰ろうかな?」
「あら、エリオット。仕事は終わったんじゃないの?」
「いや、締め切り近いから。これでも僕が会社に顔出すようになって仕事がしやすくなったんだ」
エリオットとビアトリスがその場を取り繕う三文芝居を繰り広げている間にも、アンジェリカは目を細めてじっと二人を眺めていた。
「じゃあ、またね。兄さんによろしく言っといて」
アンジェリカは、一応そう言って気付かない振りをしてあげた。しかし、エリオットがいなくなると我慢の限界を迎え、ビアトリスを質問攻めにした。
「ちょっと、そういうことなら前もって言ってよ! 遅く帰ったり家に戻ったりするから! 水臭いじゃないのよ!」
「本当にそんなんじゃないから! 変に勘繰らないでよ!」
「何言ってんのよ! あなた達夫婦なのよ! そういうことがない方がおかしいのよ!」
そう言われて、ビアトリスはぴたっと止まった。
「え……そうなるの?」
きょとんとして尋ねるビアトリスを見て、アンジェリカは深いため息をつく。
「当たり前じゃない。まさかとは思うけど、子供はコウノトリが運んでくるとまだ信じてないよね?」
「それくらい知ってるわよ! 子供じゃないんだから!」
「じゃあ、いい加減次の段階に進みなさいよ! いつまでおままごとやってるのよ!」
「そ、それは……」
そう言われてビアトリスは答えに窮した。確かに自分とエリオットはおままごと夫婦である。彼のことは嫌いじゃない。むしろ大好きなのに。でもこの先どうしたらいいか分からない。さっきは、アンジェリカが邪魔しなければ行く所まで行っただろう。あの時は流れに身を任せてしまえと思っていた。でも今は。改めて考えると恥ずかしい。とても恥ずかしい。
そこまで考えた時、その場にいるのがいたたまれなくなり、脱兎のごとく部屋を飛び出し自室に閉じこもってしまった。アンジェリカはそれを見て更に深いため息をついた。
**********
「……と、こういうわけなのよ。兄さんからもエリオットに言ってやってよ」
「俺が何を言えるんだよ? こういうのは当人同士が何とかしなきゃ意味ないだろ?」
数日後、久しぶりに家に帰ったアンジェリカは、兄のセオドアを捕まえてビアトリスとエリオットのことを相談した。この家にはエリオットも居候中だが、もちろん彼にはこの会話を聞かれないようにしている。
「あの二人に任せていたらいつまでも進展しないわよ。夫婦なのに子供みたいな認識しかないのは、どう見てもおかしいわよ? 何らかの介入が必要よ!」
「ほう。お前、普段は伝統的結婚観がどうのこうのと言ってるじゃないか。それならエリオットとビアトリスみたいな夫婦の在り方もあっていいんじゃないのか?」
「それとこれとは別! 女権拡張運動は確かに大事だけど、私の主義主張をビアトリスに押し付ける気はないの。彼女は私の価値観を否定しないから、私も彼女の価値観を尊重するだけ。ただ、あの子は今のおままごと夫婦みたいな状況は望んでないと思う。エリオットとの関係を進展させたいに違いないわ。友人として傍で見てるともどかしくて」
「それにしたって他人が介入するのは野暮ってもんだよ。大丈夫、エリオットも男だ。本当は我慢できなくてうずうずしてるはずさ。せめて仕事面が順調になれば違うんだろうけど……」
「え? 今仕事が行き詰まってるの?」
「資金面で目途がつかないんだよ。エリオットからの援助を兄貴が切ってしまっただろう? それでスポンサー探しをしてるんだが、あともう少しというところで立ち往生している。うちは、投稿雑誌では最大手だから何とかなると思ったんだけど、見込みが甘かったな。せめて一社見つかれば目途は立つんだけど」
アンジェリカはそれを聞いて、少し考えてから口を開いた。
「それ、ビアトリスに教えないほうがいい? これ以上エリオットのことで心配させない方がいいかしら?」
「うん? 別にいいんじゃない? ただ、ビアトリスどうにかできる問題じゃないと思うけど」
そう言って、セオドアは途方に暮れた様子で頭をかいた。
**********
マークは宣言通り、仕事が終わってからビアトリスを誘ってこぢんまりした洒落たレストランへと連れて行った。彼女の連載作家デビュー記念だ。格式は高くないが、ちょっとしたお祝いをするのにちょうどいい場所で、マークのセンスの良さをうかがわせる。ここまでのおぜん立てをしてもらって、浮足立つなという方が無理だった。
「まずは乾杯と行こう。未来の大作家様に」
「ちょっとやめてください。いくら何でもお世辞が過ぎますよ」
ビアトリスは、冗談を受け流せなくて、顔を赤くして否定した。仕事帰りなので服装は変えてないが、せっかくだから一回着替えてくればよかったかなと考え慌てて否定した。本当は既婚者なのにそんなことを考える自分が恥ずかしい。それに、マークに真実を隠している後ろめたさもある。
「お世辞じゃないよ。うちが君を見つけられたのは運がいいと思う。他に取られなくてよかった」
それは「紅の梟」のことを指しているのだろうか。ビアトリスは変にどぎまぎした。
「正直言って、競合他社のことをどう思ってますか? よく『紅の梟』と比べられることが多いですが?」
「周りからはライバル同士と見られることも多いけど、実際のところ、対抗意識を燃やして張り合ってるつもりはないんだよ。向こうも多分同じじゃないかな。僕たちはみな、それぞれ作風が違ってて、住み分けができてるからね。お互いのテリトリーを荒らすことはしない。それに、小説を書く人が増えた方が界隈全体も発展するんだ。だから、色んな会社から違う雑誌が出ているのは、プラスにこそなれ、マイナスには決してならない」
それを聞いてビアトリスはほっとした。「紅の梟」の編集長の関係者である自分が「楡の木」に出入りしていることを、密かに後ろめたく思っているのだ。エリオットは、誰かをライバル視するような人ではないのは聞かなくても分かるが、マークも似たような考えであると知れて安心する。そのせいか、つい油断したビアトリスは、先日アンジェリカから聞いた話題をぽろっと漏らしてしまった。
「それじゃ、もし、ライバル誌が廃刊の危機にあるとしたらどう思います?」
マークは、妙な話題を振られたことが疑問だったらしく、ん? と眉をしかめた。
「あ、あのですね! アンジェから聞いた話なんですが、『紅の梟』が今ちょっとまずいらしくて、長年とある貴族からの寄付を受けていたんですが、それが途絶えてしまったらしいんです。それで、スポンサーを募っているんですが、なかなか集まらないらしくて……『楡の木』はどうやってスポンサーを集めたんですか?」
「ああ、うちも最初はそれで苦労したよ。とにかく人海戦術で頼れる伝手をくまなく当たるしかなかったな。お陰で今は信頼できるルートをいくつか確保している」
「そうですか……」
ビアトリスは、半ば上の空で返事をした。もう少しで「そのルート分けてください!」と言ってしまいそうになる。流石に厚かましくて口にはできないが、本当のところ喉から手が出るほど欲しい。その葛藤に悩まされ、食事が喉を通らなくなってしまった。
「なんでビアトリスがそんなに悩んでいるの?」
「え? ええ。いえ、向こうがすごく困っているとアンジェから聞いているので。彼女とは友達ですし、力になってあげたいんです」
ビアトリスの声色に必死さを感じたマークは、何を考えたか、悪戯を企むような表情になり、奇妙な提案をしてきた。
「ふむ、そうか。僕が助けてやれないこともないけど、ただじゃつまらない。一つ賭けをしてみよう。次の号で今月号より部数がよかったら、『紅の梟』にスポンサーを紹介してやろう。どう? これならビアトリスも仕事のやる気が出るんじゃない?」
「もちろんです! ありがとうございます!」
満面の笑みを浮かべるビアトリスに、マークは苦笑しながら答えた。
「いいや、まだ決まった訳じゃないよ。全ては君の小説の手ごたえに懸かっている。今月は業績よかったからそれを上回るのは簡単じゃないぞ」
「読者が期待する続きを書ければいいってことですよね! 私頑張ります!」
マークが出した条件にもひるむことなく、笑顔全開で張り切るビアトリスを、マークは微笑ましく眺めていた。
★★★
最後までお読みいただきありがとうございます。
恋愛小説大賞エントリー中です。
いいムードになったと思ったら邪魔が入ったのかよ!と思ったら清き一票をお願いします!
「忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される」も同時連載中です。こちらはシリアス度高めです。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
崖っぷち令嬢の生き残り術
甘寧
恋愛
「婚約破棄ですか…構いませんよ?子種だけ頂けたらね」
主人公であるリディアは両親亡き後、子爵家当主としてある日、いわく付きの土地を引き継いだ。
その土地に住まう精霊、レウルェに契約という名の呪いをかけられ、三年の内に子供を成さねばならなくなった。
ある満月の夜、契約印の力で発情状態のリディアの前に、不審な男が飛び込んできた。背に腹はかえられないと、リディアは目の前の男に縋りついた。
知らぬ男と一夜を共にしたが、反省はしても後悔はない。
清々しい気持ちで朝を迎えたリディアだったが……契約印が消えてない!?
困惑するリディア。更に困惑する事態が訪れて……
追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
湊一桜
恋愛
王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。
森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。
オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。
行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。
そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。
※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。
わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
※完結しました。
離婚約――それは離婚を約束した結婚のこと。
王太子アルバートの婚約披露パーティーで目にあまる行動をした、社交界でも噂の毒女クラリスは、辺境伯ユージーンと結婚するようにと国王から命じられる。
アルバートの側にいたかったクラリスであるが、国王からの命令である以上、この結婚は断れない。
断れないのはユージーンも同じだったようで、二人は二年後の離婚を前提として結婚を受け入れた――はずなのだが。
毒女令嬢クラリスと女に縁のない辺境伯ユージーンの、離婚前提の結婚による空回り恋愛物語。
※以前、短編で書いたものを長編にしたものです。
※蛇が出てきますので、苦手な方はお気をつけください。
お嬢様の身代わりで冷徹王子に嫁ぎます!
佐倉ミズキ
恋愛
ラニマール侯爵家のお嬢様、ジュアナは王子に嫁ぐことが決まっていた。
王宮からの迎えの前日、ジュアナは幼いころから世話をしてくれる侍女エルマにあることを提案する。
二人が入れ替わって、王宮からの迎えの使者を驚かせてやろうというものだった。
歳も近く背格好も似ているふたりは、度々入れ替わり、いつもエルマが叱責されていたのだ。
ジュアナは驚かせて、からかってやろうと言う。
エルマは必至で拒否するが、我がままお嬢様ジュアナの言うことには逆らえない。
「使者を驚かせたらすぐに出てきて種明かししてくださいね」
と、しぶしぶ入れ替わることを承諾。
翌日。
ドレスに身を包んだエルマは屋敷内が騒然としていることに気が付く。
そしてジュアナの父親である侯爵にとんでもないことを言われるのであったーー……。
継母の嫌がらせで冷酷な辺境伯の元に嫁がされましたが、噂と違って優しい彼から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアーティアは、継母に冷酷無慈悲と噂されるフレイグ・メーカム辺境伯の元に嫁ぐように言い渡された。
継母は、アーティアが苦しい生活を送ると思い、そんな辺境伯の元に嫁がせることに決めたようだ。
しかし、そんな彼女の意図とは裏腹にアーティアは楽しい毎日を送っていた。辺境伯のフレイグは、噂のような人物ではなかったのである。
彼は、多少無口で不愛想な所はあるが優しい人物だった。そんな彼とアーティアは不思議と気が合い、やがてお互いに惹かれるようになっていく。
2022/03/04 改題しました。(旧題:不器用な辺境伯の不器用な愛し方 ~継母の嫌がらせで冷酷無慈悲な辺境伯の元に嫁がされましたが、溺愛されています~)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる