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第10章 そこのけそこのけ男の娘が通る
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しおりを挟む「それで? 今日は何するんだ?」
「うーむ……。確か今日は兄はグレン兄さんに剣術を習うって言うか相手をしてもらうとか言ってたっけ? じゃぁ、姉は? 姉もなにか用事があるの?」
「私はアイル様付きではありませんので予定までは存じませんが、アイル様でしたらまだお部屋におられるかと思いますよ? ……あ、確か暇潰しに王妃陛下のダイエットの監視でもしようかしら……とかなんとか仰っていたような……」
よし、心置きなく姉を誘おう!
だってぇ~、暇潰しにママのダイエット見学をするとかさ、それってつまりは時間の無駄ってことだよね。
時間は有限! 時間は無限ではなく有限だもの!
暇だと言うなら俺に付き合ってくれても言いはずだよね? と言うか、誘えばきっと釣られてくれるよね?
ママより俺のが優先順位はきっと高いはず──いや、高いと思いたい。
……高い──よね?
よし、そうと決まれば姉の部屋は俺の部屋の隣のとなり。近いんだよね♪ さっさと移動しなくては……。
そして俺の部屋の隣のとなりにあるドアをノックすると「はい」と返事が聞こえた。
因みに俺の今日のドレスは黒と青のシックなわりに可愛いドレス~……。
紫のケープもありますよ~とミリアムが見せるように広げたのだが、それをみた兄が三つ編みのおさげでいっか……とゆるーく編んでいた。
デザインはちょっと違う気がするけどどことなく似てるので髪型を同じにされてしまったらアレをやりたくなるのが現代人の性だと思うの。
もう我慢できなぁーい……ってことでやっちゃいまーす!
「姉~っ! トンカツをつく~ろ~♪ ドアを開けてぇ~♪ 一緒に作ろう、どうして出てこないの~♪」
「ちょ、ルル様……」
「前は作れなかったから、今日つ~くろ~ぉ~♪ トンカツをつくーろー♪ 分厚いト~ンカツぅ~♪」
ドキドキ、ワクワク……。
カチャッとドアが開き、すごい勢いで抱き締められた。
「あっち行って──とか言えるか、ばかぁ~っ!」
おお、あっち行ってじゃなくて良かったぁ~♪
見事に釣れてくれた姉と仲良く手を繋いでパパに姉が頼んで用意してくれた俺専用の遊び場。
つまりはプレイルームへと移動する間の会話で、姉が「急に歌い出すし、あの歌の場合、私の返事は流れに乗れば一択しかないし、物凄く返事に困ったんだけど~……」と言っていた。
確かにオリジナルで行くなら「あっち行って」のセリフのみだから俺は「わかったよぉ~♪」とショボーンと返事する予定だった。
まぁ、本気で断られても一人で楽しくトンカツ作るけどね!
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