裏側・クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか?

けいき

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※ けもっ! 1(Easter)

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 朝起きると何だかいつになく眠く、だるだる~……というか動きたくない。何て言うか起きたくない。二度寝最高! マジ最高! 昼寝ばっちこーい! いやぁ、春だわぁ~……。春眠暁を覚えず。怠けてしまいたい! そんな気分にさせた。こうなったら思う存分ベッドを堪能しよう。ご飯はうん、別に食べなくてもいいや。

「ねむねむ……」

 布団の中へと潜り、目を閉じてスヤーっと眠りにつくとしばらくして誰かにユサユサと体を揺さぶられた。

「ルー、ルー? 朝だぞ、起きろ」
「ルカ、起きてください。朝ですよ」

 どうやら声と呼び方で兄とグレン兄さんだと理解したものの眠さには勝てない。しかし執拗に起こそうとするので何かあったのかと思い面倒とは思うが起きることにした。布団からモゾモゾと這い出てから目を開け、まずグレン兄さんに兄の綺麗な顔が確認できた。

「あぁ、なるほど……。ヤト、どうやら遅かったみたいですね」
「全くだね。どうやら愛しの弟は簡易的な洞穴で寝ていたらしい。それで、ルー? 気分は? 何ともないか?」

 なんの話かと不思議な気分で聞いていると何だかいつになくソワソワすると言うか、何だろう? 辺りをキョロキョロしている自分がいた。部屋にはグレン兄さんに兄がいて、いつものように遠くにミリアムがいる。目覚めのお茶を淹れてくれているみたいだけどなんかヤダ!

「うぅ……」

 よくわからないが枕元にあったクッションをボスッボスッと叩いてはストレス発散のように叩きまくっている。何だろう? なんかグレン兄さんに兄以外が部屋にいるのやだ! 絶対にヤダ!

「あー……。ミリアム、申し訳ない。すまないがちょっと部屋を出てもらえるかな。ルーが本当にごめんね──」

 兄の言葉にミリアムが「いいえ、心得ておりますのでお気になさりませんよう。お茶はこちらに淹れてありますので」と言い残して立ち去った。あれ? ミリアムを嫌いになった訳じゃないのになんでこんなにイライラしてたんだろう? 俺、凄く心が狭くね? 居なくなった途端に安心を覚えるとか薄情じゃね? でもミリアムと喧嘩した覚えなんかないし、何だろこの気持ち……。

「ルー、ちょっと落ち着いて聞くんだぞ?」

 兄の説明を聞いて驚いたとしか言えない。「何も言えねぇ~……」この言葉につきる。今しがた隣国である帝国からインフルエンザのような流行り病の報せが届いたそうだ。現代のように予防接種も特効薬もなく、ただ耐えて体から消えるのを待つしかないらしい。まぁ、病気が発症したとしてもインフルエンザと違って命の危険は全くないらしいのだけれども……。

「えーっと、ケモニマル病って……」
「ルー、とりあえず歩けるなら鏡で自分の姿を確認してこい」

 そう言われて話が進むならと思って行くと俺の綺麗な黒髪というか頭には薄い本のネタかと思うほどの黒ウサギの耳が生えていた。やわやわと優しく触れば毛並みは本物のソレ。うわぁ、けも耳。けも耳だわぁ。

「グレン兄さんに兄ぃ~……。けも耳が……。けも耳が生えてる!」
「えぇ、生えてますね。起きてこないルカに教えなければと思って急いできたのですが、すでに発症してましたねぇ……」
「とりあえず気分は?」

 気分は? と言われてさすがに良くは無いので思ったことを伝えた。兄達以外の誰かが部屋にいるのはなんとなく嫌なこと。よくわからないけどイライラすること。精神的になんかソワソワして落ち着かない等々。

「ルー、あえて言うな?」

 困ったように気分的なことを素直に告げた俺を尻目に兄は優雅に紅茶を飲んでいた。

「嫌な予感がするから聞きたくない!」
「いや、ちゃんと聞け? あのな、それ全部ウサギの発情期のせいだからな? なんかケモニマル病はこの時期に流行るらしいんだよ。つまりは現代で言うイースター前後。だいたいネズミの王国のイースターが始まる頃から流行して、終わる頃にケモニマル病も落ち着きを見せるっぽい」

 なるほど! ……ってヤダよ! なんで! 黒ウサギなら黒豹が良かった! だってウサギって万年発情生物でしょ!? てかネズミの王国のイースターと同時期とか開発チームはどんだけ! どんだけぇ~……! 遊びに行けなくて恨みがあるのか、はたまた行きたい思いをケモニマル病と言うイベント化にしたのか不明すぎる。

「兄さん、とりあえずパパさん達に知らせてくるよ。あと、ルーが起きる前に話した通り1日ずつ交代で世話しよう? 運悪くウサギだったし──。いや、肉食じゃないから運が良いのかな?」
「そうですね……。肉食獣よりも性欲の強い草食の方が好みですね。確か報せによると長くても2週間くらいでしたか?」
「うん、そうだね。あと人払いしておくから……。兄さんの仕事は少なくしてこの部屋に持ってくるよ。ルカは大人しく良い子にしてるんだぞ?」

 なんの話か聞いたらどうやら昨日から俺はどことなく変だったらしい。グレン兄さんに兄が誰かと話してたら抱きついて甘えるものの、話している相手を威嚇したり、放っておくと地団駄というか足ダンし……。そして本日の朝に届いた報せにもしかしてと慌ててきたと言うわけだ。とりあえず兄は「良い子にしてろ」と言うなり俺の頭を撫でて部屋を出ていった。何だろう? 耳に触れた兄の手にゾクッと体が震えた。

「ルカ、少し寝ますか?」
「ううん? あのね、グレン兄さん」

 ソファーに座っている兄さんの膝に対面で座ると「頭を撫でて?」とねだるとそっと撫でてくれた。でもけも耳に少し触れる度に体がビクビクと震える。

「ルカ、どうしました?」

 優しい口調でやわやわと俺の頬を撫でるその手を取り、綺麗な指を口に含んでカプカプと甘噛みしていた。

「可愛いから別に構わないのですが、なんと言うかウサギの習性なのですかねぇ……」

 そう言われて不思議に思いつつもカプカプしていたら急に冷静になった。俺いま、グレン兄さんの指を夢中でカプカプしてたような……。あれ? この状況もウサギの習性? まさかのマウンティングってやつなの……? うわぁ、マジか。え、マジか! 気を抜いたら人の指をカプカプして更には人の体の上に乗ってるって──。しかも無意識にすり寄ってるし……。うわぁ、恥ずかしすぎる~っ! やだーーーーーーーーーーっ!! マジ恥ずか死ねる……。

「ルカ? ふふ、恥ずかしがってる姿も可愛いですね」

 いつものようにチュッと軽くキスをしてくれたが、今回の俺は一味違うのです。何故ならば万年発情期のウサギだからです。

「ん、ん……。っはぁ、グレン兄さぁ~ん。ちゅー、もっと……んっ」
「ん、ルカ? ん……」




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