41 / 57
ヤりたい衝動
しおりを挟む「あー、ヤりたい……」
「え? ヤりたいって誰と?」
ボソッと呟いたその言葉にまさかの返事が来るとは思わずビクッとすると何故か部屋にゼノの父であるゼツ様がいた。この影の人はいつもどこから入ってくるのかとビクリとしてしまう。
「いえ、人知れずお祖父様とお祖母様を殺ってしまえば楽になれるかな……と……」
「成る程ねぇ~……。俺はてっきりルカくんとヤりたいのヤるに聞こえちゃった。ゴメンね?」
ケラケラ笑うその姿に「はぁ?」と返事をしたが正直に言えば欲求は溜まっているのは仕方ない。毎日毎日、ヤトからルカの一日を報告してくるせいで余計に恋しいと言うか溜まるのは仕方ない。そもそも離れて暮らしてるのは根本として祖父母が原因なのだから……。殺ってしまいたいのは仕方ない。
「そう言えば今日はハイネはいないの?」
「父上ならそろそろ来ると思いますよ?」
その言葉に彼は直ぐ様クローゼットに隠れた。しかし、何故だろう? ゼツ様はゼノとアンドレアの家にいるのに毎日、毎日この家に来る。確かにオリバーよりは近いが、離れていると言えば離れている。
え? 疲れないの? なにその体力……。恐ろしすぎないか?
ちゃんと隠れたのを確認すると何度も叩かれるノック? に返事をした。なんと言うか、ガンガンッと音がするので蹴っているような気がする……。すると「パパだよ、開けて~……というか壁解除して~……」と声が聞こえた。強いて言えばドアには鍵をかけて、尚且つルカやヤトを見習って土の魔法で壁を作り、マスターキーで開けられたとしても誰も入ってこれないようにしてあるのだ。しかも寝るとき、誰にも邪魔されたくないのでベッドの周りにも壁を張っている。
「ぐっちゃーん! あぁ、今日も我が子は可愛いなぁ~……」
抱き締められて頬を合わせるとその部分を擦られた。幼い頃から思っているが、父上はちょっと変だと思う。王との事があるのはわかるけど、この年にもなってまだ続けるか……。思わずいつものこととはいえ遠い目をしてしまうのは仕方ない。
まぁ、ヤトが前に言ってたジョリジョリしたブラシみたいな髭で擦られるよりは良いか──。
「父上、早く入ってくれますかね……。扉を閉めたいのですが」
「あ、忘れてた」
我に返ったのか部屋に鎮座していた侍従達を部屋から払うと俺は鍵をかけて尚且つ土の壁で封鎖した。侍従? 別に彼らなら必要ない。部屋に入れない方が吉なのだ。ヨハン達なら別だけど、彼らは祖父母派の人間だ。うん、そんなのと言っては失礼なのだろうが、世話してもらいたくなんかない。故に要らない。
◆
「ぶふぁ! 今日もなかなかの溺愛だなぁ~……」
「なんだ、もう来てたのか?」
父上の言葉にゼツ様は余計笑っていた。昔から笑い上戸だよね、この人。ゼノも幼い頃からまたかぁ~……みたいな目で見てたし? 通常通りってことなのかな。
「あ、そう言えば今日はこれを持ってきたよ?」
ポーチからベーコンが出てきた。あぁ、これがかの有名なアイテムボックスならぬマジックバックか……。入れられる数量と言うか用量は少ないが手に持たなくて済むと言う便利な鞄。かなり高額だと聞いたのになぜ彼は持っているのだろう? ジーッと見つめているとゼツ様と目が合ってニコッと笑みを見せられると「あげないよ?」と言われた。
いえ、出所が判らないので怖くていりませんが?
「いえ、随分と値の張るものをお持ちなのだなぁと思っただけです」
「あぁ、これねぇ~……。先祖代々から引き継がれてるやつだから俺もよく判らないんだよね」
と言うとまた違うものを取り出した。
「それはまた随分と高いワインだな」
「ヤトくんからねぇ、パパさん達にあげてって手渡されたんだよ。そうしたらルカくんがワインってチーズが合うんでしょ? って何故かヤトくんに聞いて、チーズも預かったよ? チーズって物はよく判らないけども……」
「ルカが言うにはミルクから作るものらしいですよ?」
と、なんかもう昔のことみたいに懐かしく思いながら言うと何故か父上に肩をガシッと掴まれた。どうしたのかなと思っていたらブツブツと呪いのように独り言を始め、要約するとルカはどうして秘密にしていたのか。ヤトも知ってるなら教えろ。ぐっちゃんは──って俺か。俺は律儀に喋らなすぎと繰り返すように話していた。いや、俺は偶然の産物としか聞いてないし……。ゼノが作って見せると息巻いていたような?
「ねぇ、ねぇ、それよりもさ? ハイネ。さっきこの部屋に来たらさ? グレン君が『ヤりたい……』って呟いてたんだけど、どういう意味だと思う?」
と、ニヤニヤしながら質問をしていた。いや、あんたにはさっき説明したでしょうが!
「ヤる……? ぐっちゃん、ルカはまだ体が小さいんだから無理させちゃダメだし、我慢我慢!」
と諭すような表情で、しかも宥めるように言った。
「だよね! やっぱりそういう意味のヤるに聞こえるよね!」
「それ以外にヤるはあるのか?」
「だーかーらー! お祖父様とお祖母様を殺ってしまえば楽になれるかなって呟いただけですって言ったじゃないですか!」
と言うと何故か二人に「ヤる」と「殺る」じゃ違うのよ? と笑われた。
ルカ、どうしましょう? お祖父様達の前に、この2人を殺っても良いですかね──。
11
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた
木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。
自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。
しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。
ユエ×フォラン
(ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~
TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】
公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。
しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!?
王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。
これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。
※別で投稿している作品、
『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。
設定と後半の展開が少し変わっています。
※後日譚を追加しました。
後日譚① レイチェル視点→メルド視点
後日譚② 王弟→王→ケイ視点
後日譚③ メルド視点
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる