裏側・クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか?

けいき

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ヤりたい衝動

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「あー、ヤりたい……」
「え? ヤりたいって誰と?」

 ボソッと呟いたその言葉にまさかの返事が来るとは思わずビクッとすると何故か部屋にゼノの父であるゼツ様がいた。この影の人はいつもどこから入ってくるのかとビクリとしてしまう。

「いえ、人知れずお祖父様とお祖母様を殺ってしまえば楽になれるかな……と……」
「成る程ねぇ~……。俺はてっきりルカくんとヤりたいのヤるに聞こえちゃった。ゴメンね?」

 ケラケラ笑うその姿に「はぁ?」と返事をしたが正直に言えば欲求は溜まっているのは仕方ない。毎日毎日、ヤトからルカの一日を報告してくるせいで余計に恋しいと言うか溜まるのは仕方ない。そもそも離れて暮らしてるのは根本として祖父母が原因なのだから……。殺ってしまいたいのは仕方ない。

「そう言えば今日はハイネはいないの?」
「父上ならそろそろ来ると思いますよ?」

 その言葉に彼は直ぐ様クローゼットに隠れた。しかし、何故だろう? ゼツ様はゼノとアンドレアの家にいるのに毎日、毎日この家に来る。確かにオリバーよりは近いが、離れていると言えば離れている。

 え? 疲れないの? なにその体力……。恐ろしすぎないか?

 ちゃんと隠れたのを確認すると何度も叩かれるノック? に返事をした。なんと言うか、ガンガンッと音がするので蹴っているような気がする……。すると「パパだよ、開けて~……というか壁解除して~……」と声が聞こえた。強いて言えばドアには鍵をかけて、尚且つルカやヤトを見習って土の魔法で壁を作り、マスターキーで開けられたとしても誰も入ってこれないようにしてあるのだ。しかも寝るとき、誰にも邪魔されたくないのでベッドの周りにも壁を張っている。

「ぐっちゃーん! あぁ、今日も我が子は可愛いなぁ~……」

 抱き締められて頬を合わせるとその部分を擦られた。幼い頃から思っているが、父上はちょっと変だと思う。王との事があるのはわかるけど、この年にもなってまだ続けるか……。思わずいつものこととはいえ遠い目をしてしまうのは仕方ない。

 まぁ、ヤトが前に言ってたジョリジョリしたブラシみたいな髭で擦られるよりは良いか──。

「父上、早く入ってくれますかね……。扉を閉めたいのですが」
「あ、忘れてた」

 我に返ったのか部屋に鎮座していた侍従達を部屋から払うと俺は鍵をかけて尚且つ土の壁で封鎖した。侍従? 別に彼らなら必要ない。部屋に入れない方が吉なのだ。ヨハン達なら別だけど、彼らは祖父母派の人間だ。うん、そんなのと言っては失礼なのだろうが、世話してもらいたくなんかない。故に要らない。


   ◆


「ぶふぁ! 今日もなかなかの溺愛だなぁ~……」
「なんだ、もう来てたのか?」

 父上の言葉にゼツ様は余計笑っていた。昔から笑い上戸だよね、この人。ゼノも幼い頃からまたかぁ~……みたいな目で見てたし? 通常通りってことなのかな。

「あ、そう言えば今日はこれを持ってきたよ?」

 ポーチからベーコンが出てきた。あぁ、これがかの有名なアイテムボックスならぬマジックバックか……。入れられる数量と言うか用量は少ないが手に持たなくて済むと言う便利な鞄。かなり高額だと聞いたのになぜ彼は持っているのだろう? ジーッと見つめているとゼツ様と目が合ってニコッと笑みを見せられると「あげないよ?」と言われた。

 いえ、出所が判らないので怖くていりませんが?

「いえ、随分と値の張るものをお持ちなのだなぁと思っただけです」
「あぁ、これねぇ~……。先祖代々から引き継がれてるやつだから俺もよく判らないんだよね」

 と言うとまた違うものを取り出した。

「それはまた随分と高いワインだな」
「ヤトくんからねぇ、パパさん達にあげてって手渡されたんだよ。そうしたらルカくんがワインってチーズが合うんでしょ? って何故かヤトくんに聞いて、チーズも預かったよ? チーズって物はよく判らないけども……」
「ルカが言うにはミルクから作るものらしいですよ?」

 と、なんかもう昔のことみたいに懐かしく思いながら言うと何故か父上に肩をガシッと掴まれた。どうしたのかなと思っていたらブツブツと呪いのように独り言を始め、要約するとルカはどうして秘密にしていたのか。ヤトも知ってるなら教えろ。ぐっちゃんは──って俺か。俺は律儀に喋らなすぎと繰り返すように話していた。いや、俺は偶然の産物としか聞いてないし……。ゼノが作って見せると息巻いていたような?

「ねぇ、ねぇ、それよりもさ? ハイネ。さっきこの部屋に来たらさ? グレン君が『ヤりたい……』って呟いてたんだけど、どういう意味だと思う?」

 と、ニヤニヤしながら質問をしていた。いや、あんたにはさっき説明したでしょうが!

「ヤる……? ぐっちゃん、ルカはまだ体が小さいんだから無理させちゃダメだし、我慢我慢!」

 と諭すような表情で、しかも宥めるように言った。

「だよね! やっぱりそういう意味のヤるに聞こえるよね!」
「それ以外にヤるはあるのか?」
「だーかーらー! お祖父様とお祖母様を殺ってしまえば楽になれるかなって呟いただけですって言ったじゃないですか!」

 と言うと何故か二人に「ヤる」と「殺る」じゃ違うのよ? と笑われた。


 ルカ、どうしましょう? お祖父様達の前に、この2人を殺っても良いですかね──。




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