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妾じゃなくても……
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しおりを挟むうーん、火の玉。
すなわち名前の通り、ただの火の玉じゃろ?
それを投げつけるもしくは降らせる魔法じゃから、ナパーム弾であってると思うんじゃけど……。
故に風の刃。
これは風が刃となって対象物を切るのじゃから、スパスパッと細切れにするイメージであってるじゃろ……。
そう言えば弟の魔法は何もかもがショボかったの……。
それはもう! へなちょこの何が燃えてるのか不思議な小さな火の玉がへろへろ~っと言う効果音と共に飛んでいくだけの………………あれ? もしかしてそれが普通? 常識?
いやいや! あんなへなちょこの魔法じゃオーク……いや、ウサギ型モンスターのラビですら倒せない。
だが、初級魔法ってそう言うものでは? と頭のなかで葛藤を始めた。
父上に続き、妾も考え事をし始めたので会場は何だかザワザワし始めめしまった。
「あ、あの……。国王様? 王女殿下も……いかがなされた」
学長が心配そうに声をかけてきた。
「あ、あの? 学長じゃったかの? すまぬが妾に火と風の初級魔法を見せてもらってよいかの……」
「は? ええ、構いませんが……」
見せてもらった魔法はジェファードよりもスピードも威力もあるのだがそれらはナパーム弾でもみじん切りでもなかった。
どうしよう、魔法に関しては妾が常識はずれみたいじゃわ……。
「よし。リアちゃん、攻撃魔法は却下で」
「了解なのじゃよ! とりあえず放つときは弟たちのを参考にしてみるのじゃ」
手持ちの鞄から愛用の短剣を2本取り出してベルトを腰に身に付けた。
荷物の鞄は父上に預けたのだが何故だか中身をチェックされた。
「リアちゃん、城に帰ったらちょっとパパとお話ししようか」
「あ、……はい…………なのじゃ…………」
あから様にシューンと落ち込んでいると何処からか野太い声で「可愛い!」と聞こえた。
「父上。妾もう……か」
「だめ!」
帰りたい……とは言わせてくれなかった。なんだか酷すぎる。
「妾が可愛いわけないではないか……。あ、もしかしてこの服のせいなのかの」
芋虫の状態でずっと隠れていたが本日のワンピースは最近、お馴染みになりつつあるプライベートブランド服。メイドインコーデリア。
つまりはアールの奥方のコーデリア様の洋服。
なので本日もフリッフリ。否応なしにフリッフリ。
ちなみに父上とアールが何でか仲良く選んだらしく、とても可愛いフリッフ……ではなくワンピースで、紫陽花のような薄い紫色をしている。
コーデリア様いわく、このワンピースは一昨年のフラワーフェスティバルで着させようと作っていたものらしい。
よく見てみればスカート部分は紫陽花を模した様にモコモコしている。
ふっ……だが、皆のものよ。おおいに笑うが良い。
一昨年の服が違和感なく着れると言う妾の成長率0の事実に……。
「あれ? リアちゃん? どうしたの? そんな顔して。可愛いお顔が台無しだよ?」
「むぅ! 妾、可愛くないのじゃよ? 今日の服が可愛いだけなのじゃ」
「は? ………………本気で言ってるの?」
その言葉に長ーーいため息を吐かれて何やら可哀想な子をみるように見つめられた。
「父上~……。面倒じゃから瞬殺して良いのかの?」
「瞬殺はあまりにも可哀想だからダメだよ?」
「えー! 妾、お昼寝したいのじゃ~……。パパとお昼寝~っ!」
猫被って甘えん坊を演じてみると会話は聞こえないはずなのに周りからは「可愛い~っ!」とまたしても野太い声が聞こえたが父上はニコリときれいな笑みを見せた。
ちっ! その顔は失敗したかの……。
「リアちゃん。パパと一緒にお昼寝する前にお話はちゃんとしようね? パパ、リアちゃんには聞きたいことがたくさんあるからね」
「……はい……」
父上って前世は大熊猫族なのじゃろうか……。
大熊猫というのは白と黒の毛皮の熊で普段はのんびりと動き、丸みのあるフォルムにたれ目模様。色んな可愛い要素に騙されて和むのだが、よくよく見ると目や爪は獰猛な熊そのもの。
一方父上は好感度の高い綺麗な笑顔なのに目は全く笑っていない。
目の前に居る父上と大熊猫は似てると思うんじゃよね……。
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