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妾じゃなくても……

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「恥ずかしい。身内として恥ずかしすぎる」
「同感だよ。でも、考えようによっては弱いのは早々にいなくなったからこれからの時間はハイレベルな戦いが見られるようになったって事だよね……」

 それは確かに……。うむ、弟たちよ。これから頑張れ!
 お姉様は現実逃避をやめて観戦を……。うむ、純粋に観戦を楽しもうかと思う。





 途中、時季が雨季のために雨が振りだしたのでこのまま中止にしようかとなったがここでやめるのはあまりにも可哀想&観客も不完全燃焼と言うことで父上と相談の上、妾が地属性魔法の土の壁ミュールドゥテールを傘のイメージで屋根を簡易的に作った。
 しかし、光を一切通さない壁なので薄暗くなった為に更に光魔法の辺りを照らすだけの照明エクレラージュを発動させた。

「へぇ、こういう使い方もあるんだねぇ……」
「土魔法の屋根に密着させるイメージで放つとこんな感じになったのじゃよ……。領内の雨季のお祭りでフラワーフェスティバルがあるのじゃけど、いつも大雨での……。試行錯誤したらこれが出来上がって重宝しとるよ?」
「へぇ……。今年、お忍びで遊びにいこうかな……」

 そんな会話をして楽しく見学をしていたのだが、妾は何故か闘技場のど真ん中に芋虫から解放されて立っていた。



 妾、何でここに立ってるんじゃろ……。



 思い返せば楽しく見学をしていて、優勝者にはこの場完結でのご褒美授与となった。

 騎士学科の生徒は学食1ヶ月無料。うん、健康的と言うか食は大事。
 戦術学科の生徒は戦術の書かれたレアな本の図書室への入荷決定。

 そして何故なのか……。

 魔法騎士学科の生徒は妾の魔法を目の当たりにして血が騒いだらしく手合わせとなった。

 いやいや、妾、子供みたいじゃから……と逃げようとしたら父上が何故か乗り気になった。
 以前のマンティコア云々で実力が気になっていたそうだ。

「あのな? 申し訳ないんじゃが、妾はいつも魔物相手じゃから手加減できないし、騎士道も何もわからんよ?」
「大丈夫です! 騎士になったとして相手が騎士だとは限りませんから!」
「お主が良いと言うのなら構わんがな? 死んでも文句は言うんじゃないぞ?」
「いいえ、死ぬなんてことはあり得ませんから」

 と、自信満々に言われた。

 え? 妾、魔法が凄いと思われとるのかの? こんなガキみたいなのが剣で戦うとは思わないか……。

「ちちうえー」

 壇上にいた父上に駆け寄って腰に抱きつくとそのまま見上げた。

「ん? どうしたの?」
「どこまでやって良いのじゃ?」

 コテン……と首をかしげると何故か会場から「可愛い~っ!」と野太い声が響いた。
 そんな言葉に不思議そうな顔をしていたのか父上は笑っていた。

 むぅ! 小さくてチマッとしてるからって可愛いとか!
 妾、大人じゃからなっ! 今更可愛いとか言われたって嬉しくない!

「うーんと、どこまでって?」
「1、戦死。2、死なないけど部分欠損。3、死なないけど大怪我。4、それなりの怪我。5、かすり傷。6、無傷」
「うーん、出来れば6かな?」
「1、魔法のみ。2、武器のみ。3、両方やっちゃえ」
「魔法騎士相手だから3だね」

 そう言われてふむふむ……と頷いていると心配になったのか父上が抱っこしてくれた。

「リアちゃん、どうしたの?」
「あの、父上……。魔法はどこまで?」

 まぁ、禁呪は却下じゃよなぁ……。
 妾の作る禁呪は世界を崩壊させる禁断魔法と言うよりも、便利になるけど怠惰になりうる禁断魔法が多い。
 崩壊させそうな魔法もそりゃいくつか持ち合わせているが……。

 あれ? 父上の広範囲魔法は威力とえげつなさからして禁断魔法じゃないのか?

 幼いときに危うく洪水と言うよりも領が水のなかに沈みそうになったことが1度だけあったけど……。
 あの時はアールがとっさに土魔法を使って、事なきを得たような……。
 あのときの魔法ってなんじゃったかな……。

「そうだなぁ……。土は使わないで、火と風だけね? 上位属性はもちろん却下」
「うーんと、じゃあ……弟たちと似たような魔法で良いのかの?」

 コテン……と首を倒すと父上が困った顔をして居た。

「あー、でもなぁ……。リアちゃんの初級魔法は初歩中の初歩でも初級魔法じゃないからなぁ……。小さいときから火の玉は何でかナパーム弾なんだよねぇ……」
「イメージとしてそれしか思い浮かばなかったんじゃもん……」

 そして父上は妾を床に下ろして頭を抱え始めた。

 しかも幼児がイメージするのにナパーム弾ってどこで見たんだろう……と呟きつつーー。
 どうやら頭のなかで議論というか会議が行われ始めたらしい。

 え? ナパーム弾をどこで見たのか?

 アールが簡単な模型を作ってこんな戦い方もあるよ? と石を使って教えてくれましたけど?












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