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浜辺で遊ぼう 3
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大陸が見えてきて、夕方にはかなり近くまで船を寄せることができた。夜になると到着した。今日は浜辺に船を泊めて休もう、と船長が号令を出したのが聞こえた。
船長たちの話し合いをそばで聞いていると、数匹は船番として残り、あとは浜辺で寝ることに決まっていた。
「ミナライも船に残れ。」
「え、なんで!?ヤだよ!」
「治ったばかりなのに風に当たって寝ると良くないだろう。」
「イヤだ!浜辺がいい!」
「ううむ…船員や俺から離れないように約束できるか?」
「できるよ!」
頼み込んで、浜辺で寝る許可をもらった。
いつもなら島に着いたら下りるのが面倒で船で寝るけど、今は風邪で沈みきった気分を変えたかった。
船底より、浜で風を感じながら波の音を聞いていたい。星がきらめく空を見つめながら寝たい。
風邪の時、船長から「大陸に着いたら浜辺で遊べたら良いな」なんて聞いてから願い続けてきたことだ。
今日はそれが叶うんだ!
皆が停泊の準備をしているかたわら、手すりの上で腕を組んで夜の海を見つめた。
灯台の光がほのかにあると、なぜか昼よりも波の形がわかりやすい。いつもより海が近く感じる。波の音もどこかはっきりして聞こえた。
波打ち際で見上げる空は、夜でも明るい。
船員は「なんか不気味だな」なんて言ってるけど、漁村育ちだからジブンはこんなの平気だ。
準備が整ってウキウキと降りたったはいいものの、もう夜だから「寝る」しかやることがないと気づいた。
せっかく浜辺に来たのに遊べないの…?そんなの残念すぎる。眠るのが惜しくてたまらない。
砂を蹴っていじけているうちに、皆は早々と寝る準備を始めていた。寝るだけなら乗り気なんだ…サボってるときと同じことするんだもんな、そりゃそうだ。
「なにしてんだミナライ?寝るぞ。ほら茣蓙だ。」
「…ありがと。」
腹いせに勢いよく横になったら痛かった。砂浜とはいえ硬い。
うとうと、まだるいものが波のように寄せる。
まだ。まだ耐えられるくらいだ。
みんながイビキをかき出すのを待ってから、起き上がって歩いた。
前にも、夜に散歩をしたことがある。
そのときは眠れなかったから夜の船を冒険したんだけど、今は全く別の場所だ。前と比べて開放的で、そんなに怖くない。
海に触りたい。それで、波から逃げる遊びをやろう。
海の近くまで行く。
何気に、船の横肌をこんなにまじまじと見るのは初めてだった。元は人が造ってるとはいえ、船長ったらなかなか上手いこと修理してるじゃないか。
あ、なんだこれ?1642?船長が削ったのかな。
ふと海に向き合えば、誰かが海の中に立っていた。誰だかわからないはずもない。でもどうしてか、そこにいるモンスターを船長だと思いたくなかった。
月を見上げているんじゃない。ただ、立ち尽くしている。波で遊びたそうにも見えない。ただ見たまま、海の中に立ちたくてそこにいるみたいだった。
「船長…?」
不安になって、おっかなびっくり声を掛けてみる。小さな声が出た。これで聞こえていないようなら、早く戻って寝ようと思ったのに。
「ああ、ミナライか。どうしたんだ?」
船長は、まるでジブン来るのがわかっていたみたいにこちらに気付いた。
遠くから話をするのもなんだか不安で、ジブンも海の中に入って船長に駆け寄った。
船長のヨロイのボディは、膝あたりまで海に浸かっていた。ジブンも膝の上まで浸かって寒いけど、船長と離れたままの方が怖かった。
「来るんじゃ無い。寒いだろう。」
「うん…。」
そうは言いながらも、船長はジブンを片手で抱きしめてくれた。ジブンも抱きつく。
げ、ヨロイが水で冷えてもっと冷たくなってるじゃんか…。それより、妙に船長の口数が少ない。船長が上を向いたのは、困っているからかもしれなかった。
「水に浸かって平気なの?」
船長のボディを爪でつつくと硬い音がした。
「長時間でなければ平気だ。」
「ねえ、ここ深いよ。早く戻ろうよ。」
「なら、オマエは戻るといい。」
「ヤだよ、いっしょに戻ろう?」
船長が黙った。見つめても何を思っているのかわからない。悩むようにうつむいている。
「うわっ…!」
船長は不意にジブンを抱きかかえて、月がある方へ進み始めた。ヨロイの力強い足取りは、海の深さをものともしない。
黒い海が迫ってくる。ジブンを引きずり込んでいくみたいだ。まるで、船長がジブンを海に落とそうとしているような…。
「船長!」
ボディを強く叩きながら呼んでも、船長は足を止めなかった。
さっきのところもかなり深いと思っていたけど、全然そんなことはなかった。
みるみるうちに、海が船長のボディをのみ込んでいく。
「ちょ、ちょっと…!」
ジブンは船長の胸のあたりから肩へと逃げるように登っていって、とうとう頭にしがみつくしかなくなった。
そこでようやく、船長は足を止めた。
船長が何か言うのを待ちわびたけど、黙ったままだった。
こうも深いと、波も感じない。静かな夜の空気がぞんぶんに味わえた。叫びだしたいくらい怖かったのに、できなかった。
なぜって、船長のボディすらも首から下は全て海に浸かっていたから。あと一歩でも動けばふたりとも溺れてしまう。それが怖くて声が出なくなった。
さっき「戻れ」なんて言ったくせに、今の船長はジブンを掴んで放してくれない。このままじゃいけないに決まっている。
船長は何かしようとしてるんだ。
これから怖いことを選ぶつもりなんだろうに…それを選べるのは船長だけなのに。また、どうにもできないかのように立ち尽くしている。
「ねえ、船長!変なことしてないで戻ろうよ!」
結局、ガマンできなくて叫んだ。こんな訳の分からないことに付き合ってなんかいられない。
大声を出せば、船員の誰かが気付いて駆けつけてくれるかもと思ったけど、ここまで離れてるんじゃあダメかもしれない。
きっと、船にいるモンスターにも聞こえていない。そもそも、助けに来てくれるだろうか?
変わり者の船長と、煙たがられている人間のジブン。今ここでまとめて消えたとして、それを悲しむモンスターがいるだろうか?
船長にはそんなモンスターいないかもしれないけど、ジブンには村で待ってくれてる人がいるのに!
今、船長のせいで巻き込まれるかもしれないなんて。このまま引きずり込まれてたまるか…!
「俺は死ぬ。」
「は…?」
今、なんて?
「正確には死なないが…。今、一歩踏み出せば海の底で、こんな濁った水を一生涯見つめながら過ごすことになる。死んだ方がマシだと思いながら生きることになるだろうな。」
いつもよりざらついた声に聞こえる。悪いことを神様に告白しているような言い方だった。
「ミナライ…。」
「うわっ!?」
顔の前で抱えなおされて、海の冷たさが身にしみた。
お尻をしっかりと支えられてはいるものの、ジブンの腰から下がぜんぶ海に浸かった。驚いて、とっさにしがみつくのも遅れたくらいだった。
海の中に入ってしまえば、水の冷たさと波をはっきりと感じた。足が波にさらわれて勝手に動く。
このまま、手を放されたら海の底に沈む。
いくら頑張って泳いだって、波に絡め取られてしまうだろう。そうなれば、ジブンは死ぬんだ。
船長が「死なない」と言っていたのは、船長がそもそも息をしていないってだけだろう。船長がそうでも、ジブンは違うのに。いっしょに海の底へ逃げようなんて思われたら困る。
「なに…?死にたいの?」
「どうだろう。今更、投げ出したい気持ちになったんだ。それだけはわかる。」
「なにが…?」
「なあ、許すと言ってくれ。オマエなんぞを引き入れた俺を…ニンゲン一人殺せない俺を…。」
船長が縋り付いてくるのが怖くて、腕から逃れようともがいた。この腕から落ちたらジブンは死んじゃうけど、それよりも船長のことが怖かった。
何かをジブンに求めて、それを押しつけてくるようで…。
「はあ…はあ…俺は、こんなこと…。」
「うぅわっ…!」
ジブンの背中をおさえて、船長はうなだれるように一気に腰を折った。海の中で寝るように、体が横になった。頭の下半分以外はぜんぶ、海の下だ。
無理な体勢を取られたせいで船長にしがみつくことすらできない。
まさに死にかけていた。
「ああ、寒いな…寒いよな、ミナライ。いっしょに帰ろうな…。」
海から引き上げられる。
船長はいつもみたいにジブンを抱きかかえて、月から浜辺へと体の向きを変えて何事も無かったかのように進んでいった。
暗い。何も見えない。力強い足取りが、波を切り開いていく。
ジブンがこんな深いところで歩こうとしたら、絶対に溺れている。
こんなにたくましいのに、なんであんなことを悩むんだろう。
わからない。いつかのピッシュのように、ジブンも船から突き落とされるんじゃないかとひそかに願ってきた。そうしたら、泳いで島に逃げられるんじゃないかって。
そんなことなかった。
めちゃくちゃな目に遭ったじゃないか…!
胸がどきどきして、息がみだれて止まらない。
落ち着けと思うほどに、速く、変になっていく。
さっきまで、ひとりでに海に消えていきそうだったくせに…急にひとりがイヤになったみたいにジブンまで引きずり込もうとしてきた。
地面に足がつくようになったらすぐに逃げようと思っていたのに、立てる気がしない。
どうしようどうしようと慌てながら何もできない。抱きかかえられたまま揺られていたら、浜辺まで戻ってきていた。
「おやすみ、ミナライ。」
ジブンの頭からほっぺたまでたっぷりなでて、船長は離れていく。
改めて心に浮かんだ。
このモンスターはどうしてジブンを殺さないんだろう。
わからない。もう、寝られる気がしない。
震えながら、自分の体を抱きしめた。
船長たちの話し合いをそばで聞いていると、数匹は船番として残り、あとは浜辺で寝ることに決まっていた。
「ミナライも船に残れ。」
「え、なんで!?ヤだよ!」
「治ったばかりなのに風に当たって寝ると良くないだろう。」
「イヤだ!浜辺がいい!」
「ううむ…船員や俺から離れないように約束できるか?」
「できるよ!」
頼み込んで、浜辺で寝る許可をもらった。
いつもなら島に着いたら下りるのが面倒で船で寝るけど、今は風邪で沈みきった気分を変えたかった。
船底より、浜で風を感じながら波の音を聞いていたい。星がきらめく空を見つめながら寝たい。
風邪の時、船長から「大陸に着いたら浜辺で遊べたら良いな」なんて聞いてから願い続けてきたことだ。
今日はそれが叶うんだ!
皆が停泊の準備をしているかたわら、手すりの上で腕を組んで夜の海を見つめた。
灯台の光がほのかにあると、なぜか昼よりも波の形がわかりやすい。いつもより海が近く感じる。波の音もどこかはっきりして聞こえた。
波打ち際で見上げる空は、夜でも明るい。
船員は「なんか不気味だな」なんて言ってるけど、漁村育ちだからジブンはこんなの平気だ。
準備が整ってウキウキと降りたったはいいものの、もう夜だから「寝る」しかやることがないと気づいた。
せっかく浜辺に来たのに遊べないの…?そんなの残念すぎる。眠るのが惜しくてたまらない。
砂を蹴っていじけているうちに、皆は早々と寝る準備を始めていた。寝るだけなら乗り気なんだ…サボってるときと同じことするんだもんな、そりゃそうだ。
「なにしてんだミナライ?寝るぞ。ほら茣蓙だ。」
「…ありがと。」
腹いせに勢いよく横になったら痛かった。砂浜とはいえ硬い。
うとうと、まだるいものが波のように寄せる。
まだ。まだ耐えられるくらいだ。
みんながイビキをかき出すのを待ってから、起き上がって歩いた。
前にも、夜に散歩をしたことがある。
そのときは眠れなかったから夜の船を冒険したんだけど、今は全く別の場所だ。前と比べて開放的で、そんなに怖くない。
海に触りたい。それで、波から逃げる遊びをやろう。
海の近くまで行く。
何気に、船の横肌をこんなにまじまじと見るのは初めてだった。元は人が造ってるとはいえ、船長ったらなかなか上手いこと修理してるじゃないか。
あ、なんだこれ?1642?船長が削ったのかな。
ふと海に向き合えば、誰かが海の中に立っていた。誰だかわからないはずもない。でもどうしてか、そこにいるモンスターを船長だと思いたくなかった。
月を見上げているんじゃない。ただ、立ち尽くしている。波で遊びたそうにも見えない。ただ見たまま、海の中に立ちたくてそこにいるみたいだった。
「船長…?」
不安になって、おっかなびっくり声を掛けてみる。小さな声が出た。これで聞こえていないようなら、早く戻って寝ようと思ったのに。
「ああ、ミナライか。どうしたんだ?」
船長は、まるでジブン来るのがわかっていたみたいにこちらに気付いた。
遠くから話をするのもなんだか不安で、ジブンも海の中に入って船長に駆け寄った。
船長のヨロイのボディは、膝あたりまで海に浸かっていた。ジブンも膝の上まで浸かって寒いけど、船長と離れたままの方が怖かった。
「来るんじゃ無い。寒いだろう。」
「うん…。」
そうは言いながらも、船長はジブンを片手で抱きしめてくれた。ジブンも抱きつく。
げ、ヨロイが水で冷えてもっと冷たくなってるじゃんか…。それより、妙に船長の口数が少ない。船長が上を向いたのは、困っているからかもしれなかった。
「水に浸かって平気なの?」
船長のボディを爪でつつくと硬い音がした。
「長時間でなければ平気だ。」
「ねえ、ここ深いよ。早く戻ろうよ。」
「なら、オマエは戻るといい。」
「ヤだよ、いっしょに戻ろう?」
船長が黙った。見つめても何を思っているのかわからない。悩むようにうつむいている。
「うわっ…!」
船長は不意にジブンを抱きかかえて、月がある方へ進み始めた。ヨロイの力強い足取りは、海の深さをものともしない。
黒い海が迫ってくる。ジブンを引きずり込んでいくみたいだ。まるで、船長がジブンを海に落とそうとしているような…。
「船長!」
ボディを強く叩きながら呼んでも、船長は足を止めなかった。
さっきのところもかなり深いと思っていたけど、全然そんなことはなかった。
みるみるうちに、海が船長のボディをのみ込んでいく。
「ちょ、ちょっと…!」
ジブンは船長の胸のあたりから肩へと逃げるように登っていって、とうとう頭にしがみつくしかなくなった。
そこでようやく、船長は足を止めた。
船長が何か言うのを待ちわびたけど、黙ったままだった。
こうも深いと、波も感じない。静かな夜の空気がぞんぶんに味わえた。叫びだしたいくらい怖かったのに、できなかった。
なぜって、船長のボディすらも首から下は全て海に浸かっていたから。あと一歩でも動けばふたりとも溺れてしまう。それが怖くて声が出なくなった。
さっき「戻れ」なんて言ったくせに、今の船長はジブンを掴んで放してくれない。このままじゃいけないに決まっている。
船長は何かしようとしてるんだ。
これから怖いことを選ぶつもりなんだろうに…それを選べるのは船長だけなのに。また、どうにもできないかのように立ち尽くしている。
「ねえ、船長!変なことしてないで戻ろうよ!」
結局、ガマンできなくて叫んだ。こんな訳の分からないことに付き合ってなんかいられない。
大声を出せば、船員の誰かが気付いて駆けつけてくれるかもと思ったけど、ここまで離れてるんじゃあダメかもしれない。
きっと、船にいるモンスターにも聞こえていない。そもそも、助けに来てくれるだろうか?
変わり者の船長と、煙たがられている人間のジブン。今ここでまとめて消えたとして、それを悲しむモンスターがいるだろうか?
船長にはそんなモンスターいないかもしれないけど、ジブンには村で待ってくれてる人がいるのに!
今、船長のせいで巻き込まれるかもしれないなんて。このまま引きずり込まれてたまるか…!
「俺は死ぬ。」
「は…?」
今、なんて?
「正確には死なないが…。今、一歩踏み出せば海の底で、こんな濁った水を一生涯見つめながら過ごすことになる。死んだ方がマシだと思いながら生きることになるだろうな。」
いつもよりざらついた声に聞こえる。悪いことを神様に告白しているような言い方だった。
「ミナライ…。」
「うわっ!?」
顔の前で抱えなおされて、海の冷たさが身にしみた。
お尻をしっかりと支えられてはいるものの、ジブンの腰から下がぜんぶ海に浸かった。驚いて、とっさにしがみつくのも遅れたくらいだった。
海の中に入ってしまえば、水の冷たさと波をはっきりと感じた。足が波にさらわれて勝手に動く。
このまま、手を放されたら海の底に沈む。
いくら頑張って泳いだって、波に絡め取られてしまうだろう。そうなれば、ジブンは死ぬんだ。
船長が「死なない」と言っていたのは、船長がそもそも息をしていないってだけだろう。船長がそうでも、ジブンは違うのに。いっしょに海の底へ逃げようなんて思われたら困る。
「なに…?死にたいの?」
「どうだろう。今更、投げ出したい気持ちになったんだ。それだけはわかる。」
「なにが…?」
「なあ、許すと言ってくれ。オマエなんぞを引き入れた俺を…ニンゲン一人殺せない俺を…。」
船長が縋り付いてくるのが怖くて、腕から逃れようともがいた。この腕から落ちたらジブンは死んじゃうけど、それよりも船長のことが怖かった。
何かをジブンに求めて、それを押しつけてくるようで…。
「はあ…はあ…俺は、こんなこと…。」
「うぅわっ…!」
ジブンの背中をおさえて、船長はうなだれるように一気に腰を折った。海の中で寝るように、体が横になった。頭の下半分以外はぜんぶ、海の下だ。
無理な体勢を取られたせいで船長にしがみつくことすらできない。
まさに死にかけていた。
「ああ、寒いな…寒いよな、ミナライ。いっしょに帰ろうな…。」
海から引き上げられる。
船長はいつもみたいにジブンを抱きかかえて、月から浜辺へと体の向きを変えて何事も無かったかのように進んでいった。
暗い。何も見えない。力強い足取りが、波を切り開いていく。
ジブンがこんな深いところで歩こうとしたら、絶対に溺れている。
こんなにたくましいのに、なんであんなことを悩むんだろう。
わからない。いつかのピッシュのように、ジブンも船から突き落とされるんじゃないかとひそかに願ってきた。そうしたら、泳いで島に逃げられるんじゃないかって。
そんなことなかった。
めちゃくちゃな目に遭ったじゃないか…!
胸がどきどきして、息がみだれて止まらない。
落ち着けと思うほどに、速く、変になっていく。
さっきまで、ひとりでに海に消えていきそうだったくせに…急にひとりがイヤになったみたいにジブンまで引きずり込もうとしてきた。
地面に足がつくようになったらすぐに逃げようと思っていたのに、立てる気がしない。
どうしようどうしようと慌てながら何もできない。抱きかかえられたまま揺られていたら、浜辺まで戻ってきていた。
「おやすみ、ミナライ。」
ジブンの頭からほっぺたまでたっぷりなでて、船長は離れていく。
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