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中学三年生、千恵。

ドラッグストアでのトラブル

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ドラッグストアは賑わっていた。駐車場は満車に近い。県外ナンバーも少なくなかった。このあたりは観光地としても人気がある場所だ。しかも今日は週末なのだ。

ヨシヒコはスキンが売られている棚を探した。彼氏と一緒にスキンを買っている女の子、と好奇の目で見られる可能性があるので、千恵には店内を適当にぶらついているように言って遠ざけた。

「処女の子相手にあんまりスキン使いたくないんだけど…。」ヨシヒコは薄さを謳った銀色のパッケージをカゴに放り込んだ。「挿れにくいからな…。」

スキンの他、カモフラージュに他の品物を何点か適当にカゴに入れると、ヨシヒコはレジに並んだ。千恵はヨシヒコと目が合うと、赤い箱を持ってととと、とヨシヒコの元に来た。

「これも買う。」と、千恵は赤い箱を突き出した。「をっとっと」の箱だった。「好きなの。」
「可愛いなぁ。」ヨシヒコはほのぼのした。頭を撫で撫でしたくなった。
千恵は財布を取り出し金を払おうとしたが、「いいよ。」とヨシヒコは断った。

千恵はヨシヒコの隣に並ぼうとしたが、「先に出て待ってて。」とヨシヒコは千恵の背中を軽く押し、列から離脱させた。コンドームを買っているカップル=今からヤる二人、という目でレジの店員にみられないように、という配慮だ。

レジの店員は男だった。「結構可愛い女の子連れてるじゃねぇか。今からこの子をヤるんだな。」という目で千恵を見られたくなかった。まぁおばさんの店員はおばさんの店員で、睨まれそうだしそれはそれで嫌だったが。

買った物が入った紙袋を持って店の外に出ると、千恵が見知らぬ女と何やら言い合っていた。ヨシヒコは近寄って行った。

「こんな時間に、なんでこんなところにいるのっ。」と、女は左手を腰に当て、右手の人差し指を千恵に突きつけて詰問していた。

「どうかしましたか?」ヨシヒコが声をかけると、女はヨシヒコが敵か味方かわかりかねる、というような表情を浮かべてヨシヒコを見たが、「ありがとう。身内のことですのでお気になさらず。」と言ってまた千恵に向き直った。

女はヨシヒコを善意の第三者と判定したようだったが、千恵がすすっ、とヨシヒコの背後に隠れたのを見てギョッと表情を変えた。

「この人は誰なの?!」女は抑制しながらも怒りを滲ませた様子で千恵に言った。
「…彼氏…。」千恵は少し自信なさげに言うと、ヨシヒコのシャツの端を摘んで顔を見上げて来た。ヨシヒコの保護欲は大きく刺激された。
「そうなの?」女は呆れた口調でヨシヒコに言い、「大人の男じゃないの!」と千恵に怒った。
「千恵が18歳で俺が20歳だから、別に問題ないじゃん。」ヨシヒコは心の中で思った。
「あなたね、中学生の女の子と付き合ってどうしようとしてるわけ?」女はヨシヒコにも怒りの矛先を向けてきた。
「えっ?はっ?」ヨシヒコは面食らってしまった。「中学生だって?」
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