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中学三年生、千恵。
真剣交際?
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「高三じゃないんですか?」ヨシヒコは当惑して女に言った。
「中三ですっ。」女は腰に両手を当てて言い、しばらくヨシヒコを睨み続けた。
「ちなみにあなたは…?」
「母親ですっ」決まってるでしょ、というキツい口調で女は答えた。再婚して千恵とは別の家庭を営んでいると言う、あの母親だった。
「あの人とドライブでこっちに来てみたら…。」母親は左手を顔に当て、はぁっとため息をついた。「あんたが男と夜ほっつき歩いてるところに出くわすなんてビックリよ。」
母親と聞いてヨシヒコは動揺したが、すぐにコンドームを買っていたことは見られていないようだと気づいた。気づいていたらこの程度の反応では済んでいないだろう。
ヨシヒコは母親を観察した。30代半ばくらいだろうか。20歳くらいで千恵を産んだということになる。
「子どもは異性親に似ることが多いというが。」ヨシヒコは心の中で思った。母親は千恵とはあまり似ていないが、なかなか美人だ。
「抱けるか抱けないかと言われたら。」ヨシヒコは心の中で思った。「十分抱けるな。」
「あなた本当に彼氏なのっ?」母親はヨシヒコを詰問した。千恵がヨシヒコのシャツの裾をつまみ、また不安そうにヨシヒコを見上げた。
「はい。お付き合いさせていただいてます。千恵ちゃんは俺の彼女です。大事にしてます。」ヨシヒコがこう言うと、千恵の顔が輝いた。母親は少し落ち着いたようだったが、まだ眉間に皺を寄せている。
「中三とは知りませんでした。三年生と聞いて、高三だと勝手に思い込んでました。」かなり苦しい言い訳ではある。
「千恵さんは大人っぽいので。はやとちりでした。」ヨシヒコは頭を下げてから母親を見た。実際千恵の身長は母親と変わらないし、オッパイなどは千恵の方が大きいくらいだ。
「俺はバイオ大の学生で、ヨシヒコといいます。」
東京国際教養情報バイオ大学、通称バイオ大。ヨシヒコの学びやの名称である。偏差値爆上がりキーワードを散りばめた成り上がり大学であり、偏差値は早慶に並ぶ。いくつかの学部、例えばヨシヒコの情報科学部などは、早慶のほとんどの学部よりも偏差値が高い。ちなみにヨシヒコの通うキャンパスは東京ではない。
「まぁ、バイオ大の学生さんなの?」母親は感心したような表情を浮かべた。大学生が中学生とどういう経緯で知り合って付き合うようになったのかと聞かれたらどう答えようかと焦ったが、母親はその点は聞いてこなかった。
母親はヨシヒコの態度と大学名にだいぶ安心してきたようで、ようやく穏やかな表情を浮かべた。「多分こっちが普段のこの人なんだろうな。」ヨシヒコは思った。娘が夜、地元でもない場所で男とほっつき歩いているのを見つけたら、不安や怒りを覚えて当然だ。無理もない。
これまでバイオ大の名前で女の子にモテたことは特になかったが、バイオ大ということで人の親からこんなに信用されるとは知らなかった。たまには学歴も役に立つもんだとヨシヒコは思った。
「中三ですっ。」女は腰に両手を当てて言い、しばらくヨシヒコを睨み続けた。
「ちなみにあなたは…?」
「母親ですっ」決まってるでしょ、というキツい口調で女は答えた。再婚して千恵とは別の家庭を営んでいると言う、あの母親だった。
「あの人とドライブでこっちに来てみたら…。」母親は左手を顔に当て、はぁっとため息をついた。「あんたが男と夜ほっつき歩いてるところに出くわすなんてビックリよ。」
母親と聞いてヨシヒコは動揺したが、すぐにコンドームを買っていたことは見られていないようだと気づいた。気づいていたらこの程度の反応では済んでいないだろう。
ヨシヒコは母親を観察した。30代半ばくらいだろうか。20歳くらいで千恵を産んだということになる。
「子どもは異性親に似ることが多いというが。」ヨシヒコは心の中で思った。母親は千恵とはあまり似ていないが、なかなか美人だ。
「抱けるか抱けないかと言われたら。」ヨシヒコは心の中で思った。「十分抱けるな。」
「あなた本当に彼氏なのっ?」母親はヨシヒコを詰問した。千恵がヨシヒコのシャツの裾をつまみ、また不安そうにヨシヒコを見上げた。
「はい。お付き合いさせていただいてます。千恵ちゃんは俺の彼女です。大事にしてます。」ヨシヒコがこう言うと、千恵の顔が輝いた。母親は少し落ち着いたようだったが、まだ眉間に皺を寄せている。
「中三とは知りませんでした。三年生と聞いて、高三だと勝手に思い込んでました。」かなり苦しい言い訳ではある。
「千恵さんは大人っぽいので。はやとちりでした。」ヨシヒコは頭を下げてから母親を見た。実際千恵の身長は母親と変わらないし、オッパイなどは千恵の方が大きいくらいだ。
「俺はバイオ大の学生で、ヨシヒコといいます。」
東京国際教養情報バイオ大学、通称バイオ大。ヨシヒコの学びやの名称である。偏差値爆上がりキーワードを散りばめた成り上がり大学であり、偏差値は早慶に並ぶ。いくつかの学部、例えばヨシヒコの情報科学部などは、早慶のほとんどの学部よりも偏差値が高い。ちなみにヨシヒコの通うキャンパスは東京ではない。
「まぁ、バイオ大の学生さんなの?」母親は感心したような表情を浮かべた。大学生が中学生とどういう経緯で知り合って付き合うようになったのかと聞かれたらどう答えようかと焦ったが、母親はその点は聞いてこなかった。
母親はヨシヒコの態度と大学名にだいぶ安心してきたようで、ようやく穏やかな表情を浮かべた。「多分こっちが普段のこの人なんだろうな。」ヨシヒコは思った。娘が夜、地元でもない場所で男とほっつき歩いているのを見つけたら、不安や怒りを覚えて当然だ。無理もない。
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