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ネット通販もドラッグストアも無い別宇宙
新しい担当者
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美玲が目を覚ますと、そこは別宇宙だった。
状況把握に少し時間がかかったが、こんな世界らしいと美玲は理解した。
~~~
一言でいうと、戦後の高度経済成長期のような世界である。
まず、インターネットは存在しないらしい。家電くらいしかない。当然、ネット通販は無い。それ以前に、通販自体がほとんど普及していないようだ。
それから、ドラッグストアや大手スーパーというものが無い。買い物は青果店や魚屋を個別に回る必要があり、不便この上ない。
更に、共同住宅は団地が一般的なため基本的にエレベータというものがなく、特に4階以上に住んでいるととにかくいろいろめんどくさい。
そのため訪問販売が大変盛んで、主婦たちはこれを大いに利用している。
美玲は若妻で、夫と団地の最上階である5階に住んでいた。美玲もまた訪問販売を大いに利用している。
訪問販売の中でよく主婦が利用するものに、コンドームの訪問販売があった。この世界にドラッグストアは無く、町の小さな薬局で恥ずかしい思いをして買わなければならないため、これはかなりの需要があった。もちろん販売員は女性である。
美玲もコンドームの訪問販売にサブスクしており、月に一回販売員の訪問を受けていた。
~~~
ピンポーン。玄関のチャイムが鳴った。団地にはインターホンなどというものは無い。ドアの外側に美玲の基本宇宙でいう指紋認証器のような形をしたボタンがついており、ボタンの濃い茶色の部分を押すとチャイムがなる仕組みだ。
「はーい。」美玲は明るく返事をした。「コンドームの今月分のお届けと、来月分の注文ね。」美玲はうなづいた。美玲は自分の格好を確認した。少し胸の谷間が出るV字のシャツを着ていて、下はショートパンツだ。ちょっとセクシーだが、しかし毎月このタイミングで来る販売員は女性なので問題無い。もう1年近くお世話になっている人だ。
「はーい。」玄関に駆け寄った美玲はもう一度明るく言い、ドアを開け放った。しかしそこに立っているのはいつもの女性ではなく、男だった。
「?」美玲はキョトンとした。新規の飛び込みセールスか、新聞の勧誘か何かだろうか。
「ヤマト家族計画の佐藤です。」男は社名を名乗った。ヤマト家族計画、通称ヤマケイは、美玲が定期購入契約を結んでいるコンドーム販売会社の名前だ。
「あ、どうも。お世話になってます。」美玲はともかく挨拶をした。
「お世話になっております。実は今月からわたくしがおたく様の担当になりまして。佐藤と申します。」佐藤は名刺を差し出した。
「あら。山田さんはどうなさったんですか?あの女性の。」
「山田は退職いたしまして。」佐藤が申し訳なさそうに言った。「今後何卒よろしくお願い致します。」
「いえ…こちらこそ。よろしくお願い致します。」モノがモノだけに男が担当というのは恥ずかしいが仕方ない。
「本日は初訪問となりますので、改めて商品の紹介を行ったり、家族計画のインタビューを行なってカルテを更新したいのですが、お時間大丈夫でしょうか?」
「え?ええ…。大丈夫です。」美玲は少し躊躇ったが、「どうぞお上りください」と男を室内に入れ、応接スペースに案内した。
これが全ての間違いの始まりだった。
状況把握に少し時間がかかったが、こんな世界らしいと美玲は理解した。
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一言でいうと、戦後の高度経済成長期のような世界である。
まず、インターネットは存在しないらしい。家電くらいしかない。当然、ネット通販は無い。それ以前に、通販自体がほとんど普及していないようだ。
それから、ドラッグストアや大手スーパーというものが無い。買い物は青果店や魚屋を個別に回る必要があり、不便この上ない。
更に、共同住宅は団地が一般的なため基本的にエレベータというものがなく、特に4階以上に住んでいるととにかくいろいろめんどくさい。
そのため訪問販売が大変盛んで、主婦たちはこれを大いに利用している。
美玲は若妻で、夫と団地の最上階である5階に住んでいた。美玲もまた訪問販売を大いに利用している。
訪問販売の中でよく主婦が利用するものに、コンドームの訪問販売があった。この世界にドラッグストアは無く、町の小さな薬局で恥ずかしい思いをして買わなければならないため、これはかなりの需要があった。もちろん販売員は女性である。
美玲もコンドームの訪問販売にサブスクしており、月に一回販売員の訪問を受けていた。
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ピンポーン。玄関のチャイムが鳴った。団地にはインターホンなどというものは無い。ドアの外側に美玲の基本宇宙でいう指紋認証器のような形をしたボタンがついており、ボタンの濃い茶色の部分を押すとチャイムがなる仕組みだ。
「はーい。」美玲は明るく返事をした。「コンドームの今月分のお届けと、来月分の注文ね。」美玲はうなづいた。美玲は自分の格好を確認した。少し胸の谷間が出るV字のシャツを着ていて、下はショートパンツだ。ちょっとセクシーだが、しかし毎月このタイミングで来る販売員は女性なので問題無い。もう1年近くお世話になっている人だ。
「はーい。」玄関に駆け寄った美玲はもう一度明るく言い、ドアを開け放った。しかしそこに立っているのはいつもの女性ではなく、男だった。
「?」美玲はキョトンとした。新規の飛び込みセールスか、新聞の勧誘か何かだろうか。
「ヤマト家族計画の佐藤です。」男は社名を名乗った。ヤマト家族計画、通称ヤマケイは、美玲が定期購入契約を結んでいるコンドーム販売会社の名前だ。
「あ、どうも。お世話になってます。」美玲はともかく挨拶をした。
「お世話になっております。実は今月からわたくしがおたく様の担当になりまして。佐藤と申します。」佐藤は名刺を差し出した。
「あら。山田さんはどうなさったんですか?あの女性の。」
「山田は退職いたしまして。」佐藤が申し訳なさそうに言った。「今後何卒よろしくお願い致します。」
「いえ…こちらこそ。よろしくお願い致します。」モノがモノだけに男が担当というのは恥ずかしいが仕方ない。
「本日は初訪問となりますので、改めて商品の紹介を行ったり、家族計画のインタビューを行なってカルテを更新したいのですが、お時間大丈夫でしょうか?」
「え?ええ…。大丈夫です。」美玲は少し躊躇ったが、「どうぞお上りください」と男を室内に入れ、応接スペースに案内した。
これが全ての間違いの始まりだった。
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