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一章 スタートライン
作戦前夜
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俺は流れに乗るようにエリスの後を追う。だが、このままついて行くだけではダメだな。
「おいエリス。さっきの行動の意味はなんだ?」
「さっきのですか? あれは私達がゼルヴィン卿の派閥に入ったという意思表示ですよ」
「派閥?」
エリスは唸って考える仕草をした。だが、俺の見立てでは考えている仕草だけだ。
「アリスティア伯爵も何か思惑があった様ですが、先程のゼルヴィン卿との対話でそれが失敗に終わりました。ですので私は『勝った』方のゼルヴィン卿の味方についただけです」
「より強い方に味方するってわけか」
武力での勝負ではなく、交渉の勝負か。
「多分作戦の開始は明日の2時半になりますね」
ここまで予想を当て続けたエリスがここで外す訳が無い。
「早く行きましょうよ。ディナーですよ」
「まだ食うのかよ」
俺はさっきので腹いっぱいなんだけどな。・・・そこも違いなのだろう。
こうして俺達はディナー会場に到着する。綺麗なドレスやタキシードを着ている人達がいる中、俺やエリスは浴衣だ。正直場違いすぎる。
「こんなに満喫してていいのか?」
外では地下室で暮らしてる人達か大勢いるのだ。それなのにここでは豪華にパーティ。俺は待遇を受ける側でも少し憤りを感じてしまうな。
「成し遂げてきた功績の成果ですよ」
「成果?」
「彼らは何もしていない訳ではありません。ここに居るのは貴族等の身分の高い人達ですが、何かの功績が無ければここには居られません。それに私の知る中でここにいる人達は日々努力を続けてきた人達です。そんな人達を知る領民は何も言いませんよ」
・・・こんなに満喫してていいのか、という問は『ここでサボってていいのか?』という意味に捉えがちなんだが。まあエリスの頭の回転の凄さは知ってるからな。一々驚いてると心臓がもたん。
「それに不満があるならゼルヴィン卿にクレームですよ? 私はそれでもいいですけど領民は無理ですよ。ですが、一度手合わして貰いたいものですね」
エリスはクスクスと笑いながら不穏な事を言う。
「辞めてくれ。今度はこの国そのものを地図から消すつもりか?」
「そうですね。ですがリオなら簡単だと思いますよ。・・・やってみます?」
面白がってからかってくる。
「冗談でも辞めてくれ。・・・リオって天導の天龍王だよな?」
「そうですよ。親しげにリオ。私からしたら父親の形見ですし」
そうだったな。超級種の化け物アムネル。そして三柱カマエルとの最終決戦。そのためにエリスは牙を研いできた。
「明日、勝てるのか?」
しかし当のエリスは不安げな顔をした。
「どうでしょうね。少しでも勝率を上げるためにゼルヴィン卿を加えましたが、いいとこ三割でしょう」
「三割!? 街ごとぶっ飛ばした連中ですら三割って・・・」
三割という所よりも後ろが引っかかったらしい。
「やらかしたとはなんですか!? 私はやる事やっただけですよ!?」
・・・。
「「プッ」」
お互い軽く笑い合う。
「なんだかいい距離感だな」
「そうですね。とても居心地がいいです」
この瞬間、俺はやっとエリスの事をもっと知りたいと思えたかもしれないな。
~~~~~~~~~~~~~~~
ディナーを終えて俺が部屋に戻った後、エリスにはゼルヴィン卿から作戦内容の通達があったらしい。・・・なぜらしいかと言うと精霊伝達網、通称STNというものを使っているらしいから俺に行き届かず、〈念話〉を使って伝えてくれたからだ。
作戦内容は教えてくれなかった。俺は〈念話〉を使えないから部屋の電話を使うため城に履歴が残るそうだ。そこまでしなくてもと思うが、情報漏洩を抑えたいのだとか。・・・俺が思うよりも一枚岩では無いのだろう。
現在十二時頃。アディルは工房に居るので俺は電気を消してベッドで一人ゴロゴロしている。・・・疲れたな。
「寝ようか・・・」
「おいおい。まだ寝るんじゃねーよ」
うおっ!
・・・アディルか。
「もう眠い。夜遊びは俺抜きで行ってこい」
アディルはやれやれと首を振る。
「ちげーよ。明日じゃ調整が遅れるから少し来いってんだ」
「調整?」
「とりあえず工房に来いよ。話はそれからだ」
そう言ってアディルは〈転移門〉の中に消えていく。
俺はスリッパを履いて門の中に入った。
すると2000年代を思わせる出来栄えの地下室が俺の前に現れた。
工場を思わせる機械の山々、壁には神々しい剣や炎のオーラを放つ斧と言った武器が多数存在しており、奥行は外から見たあの鍛冶屋とは思えない程の広さだ。
「ここがクロウズナイト工房の最奥部だ。過去の記憶から現代の機械を再現し、効率的な製造を行っている」
「記憶からって・・・。ほぼイメージだけじゃん。それで作れたってのか?」
「そこは俺の特殊能力、『情報構築』を使ったぜ」
特殊能力? また分からない単語が出てきたな。
アディルは俺の顔を見て察したらしい。
「特殊能力ってのは魔法とは違う別の能力だ。その能力は多種多様、千差万別、百人百様で人それぞれだ」
コイツ・・・。ただ四字熟語使いたいだけだろ。
「特殊能力には再使用時間があったり、一時間に何回かとか色々あってだな・・・」
「オーナー! サンプル1出来ましたよ~!」
「おう! 今行く! ・・・また後で説明するな」
奥からペテルの声が聞こえた。・・・半日ぶりだな。
俺達がペテルの元に行くと机の上は、たくさんの〈魔法画面〉があった。そして白く輝く銃弾が八弾と一丁の銃が。
「こちら試験型魔法銃弾が八弾、同じく試験型の魔法拳銃、ベレッタMCです」
「Thank you!」
深夜テンションだからだろうか。アディルが前の世界の性格に戻っている。
それよりもこっちの方が気になる。
「これは? ・・・ベレッタか?」
「おうとも! ・・・あ、ほらお前のだ」
そう言って俺にベレッタを返してくれる。
「魔力を込めたミスリル弾丸と、それに耐えうる強度のベレッタだ。魔法強化してあるからMCだな」
アディルは俺にベレッタMCを手渡してくれた。
「軽い・・・」
最初に握って思った事は通常の拳銃とは比べ物にならないくらい軽いという事だ。
「ほれ。マガジン」
「お、おう」
「一発撃ってみろ。あの的に」
アディルは入口の隣にあるダーツの的に指を指す。・・・お前工房で何してんだよ。
「とりあえずやってみるか」
俺はマガジンを差し込み、いつもの手順をふんで引き金を引く。
「うおっ!」
銃口から勢い良く飛び出したのは炎の球体。銃口よりも一回り大きいが、ほぼ発砲時の銃弾と同じ速度で的へと一直線。そして爆散。
「どうだ? 擬似的な魔法の使い心地は」
「火力すっげ。サンキューな」
アディルは気前がいいことで、専用のホルスターを作ってくれたようだ。
「マジで嬉しいわ」
ホントに嬉しい。いや、擬似的でも魔法だぞ? テンション上がるに決まってるだろ。
それを聞いたアディルはペテルに声をかける。
「ペテル! 今すぐに銃弾を量産しろ!」
「はい!」
ペテル・・・。社畜かな?
~~~~~~~~~~~~~~~
「ベルキューアさん、今回の協力で私の目的は達成されます。今までありがとうございました」
日付が回る寸前、私はベルキューアさんの部屋に向かい、直接声をかけに行きました。
急に押しかけて、こんな話してますからベルキューアさんは相当困惑してます。
「どした急に? いつもの事だろ?」
「そうではないんです。今回は私の人生の分岐点です。たった2年の復讐劇だと言われるかも知れませんが、私にとってはこれが全てでした」
「人生の分岐点なんて毎日訪れるぞ? たった一日で幾つもの選択肢を選んでここに来ている。現に、復讐をすると選択して来たのはエリスだしな」
「そういう事では・・・」
分かってる、とベルキューアさんは呆れた様に言います。
「今、話したいのはそういう事じゃねーだろ? ・・・つまり今回の一件が終わったら縁を切りたいという事だな?」
よく分かってます。これで15歳だとはとても思えませんね。
「もちろん私が生きていればの話ですが、これ以上私と付き合えば面倒事ばかりです。ですのでこれ以上・・・」
「今更だぜ。これまでも何処かに行くたびに面倒事。ならこれからも変わらない。・・・なら楽しい方に行くのが筋ってもんだろ?」
ベルキューアさんはこういう人でしたね。一つ一つの出来事を楽しく生きています。・・・私とは違いますね。
「私は言いましたよ。後悔は・・・。ベルキューアさんには無いでしょうけど」
ベルキューアさんはにぱっと笑う。
「当たり前だ! それにエリスといて後悔はしないって知ってっからな! これ以上、じゃなくてこれからだ!」
「そうですね。・・・夜遅くにすみませんでした。ではまた明日。おやすみなさいませ」
「おう! 明日、がんばろーぜ!」
私は部屋を後にしました。
出来ればベルキューアさんを巻き込みたくありませんでした。・・・と、私は自分の部屋に戻りながら考えていました。
ベルキューアさんは頭がキレれます。しかし交渉戦は得意としてません。正直、付き合いの長いベルキューアさんをこの後の事に巻き込む事はあまりいい事では無いでしょう。
「ですがベルキューアさんは私に付いてきてくれると言ってくれました」
ベルキューアさん自身が楽しむため。それはそれで楽しい生き方です。少し憧れますね。
「これが終わったら自分らしい生き方を探してみるのも面白いかも知れませんね」
どの道、明日が全てです。生きるか死ぬか、そのどちらか。
私は部屋の扉を開け、ベッドに横たわります。
「・・・出来ることはしたと思います。あとは全力でぶつかるだけですね」
さて、頑張ります。見てて下さいね、父さん。
「おいエリス。さっきの行動の意味はなんだ?」
「さっきのですか? あれは私達がゼルヴィン卿の派閥に入ったという意思表示ですよ」
「派閥?」
エリスは唸って考える仕草をした。だが、俺の見立てでは考えている仕草だけだ。
「アリスティア伯爵も何か思惑があった様ですが、先程のゼルヴィン卿との対話でそれが失敗に終わりました。ですので私は『勝った』方のゼルヴィン卿の味方についただけです」
「より強い方に味方するってわけか」
武力での勝負ではなく、交渉の勝負か。
「多分作戦の開始は明日の2時半になりますね」
ここまで予想を当て続けたエリスがここで外す訳が無い。
「早く行きましょうよ。ディナーですよ」
「まだ食うのかよ」
俺はさっきので腹いっぱいなんだけどな。・・・そこも違いなのだろう。
こうして俺達はディナー会場に到着する。綺麗なドレスやタキシードを着ている人達がいる中、俺やエリスは浴衣だ。正直場違いすぎる。
「こんなに満喫してていいのか?」
外では地下室で暮らしてる人達か大勢いるのだ。それなのにここでは豪華にパーティ。俺は待遇を受ける側でも少し憤りを感じてしまうな。
「成し遂げてきた功績の成果ですよ」
「成果?」
「彼らは何もしていない訳ではありません。ここに居るのは貴族等の身分の高い人達ですが、何かの功績が無ければここには居られません。それに私の知る中でここにいる人達は日々努力を続けてきた人達です。そんな人達を知る領民は何も言いませんよ」
・・・こんなに満喫してていいのか、という問は『ここでサボってていいのか?』という意味に捉えがちなんだが。まあエリスの頭の回転の凄さは知ってるからな。一々驚いてると心臓がもたん。
「それに不満があるならゼルヴィン卿にクレームですよ? 私はそれでもいいですけど領民は無理ですよ。ですが、一度手合わして貰いたいものですね」
エリスはクスクスと笑いながら不穏な事を言う。
「辞めてくれ。今度はこの国そのものを地図から消すつもりか?」
「そうですね。ですがリオなら簡単だと思いますよ。・・・やってみます?」
面白がってからかってくる。
「冗談でも辞めてくれ。・・・リオって天導の天龍王だよな?」
「そうですよ。親しげにリオ。私からしたら父親の形見ですし」
そうだったな。超級種の化け物アムネル。そして三柱カマエルとの最終決戦。そのためにエリスは牙を研いできた。
「明日、勝てるのか?」
しかし当のエリスは不安げな顔をした。
「どうでしょうね。少しでも勝率を上げるためにゼルヴィン卿を加えましたが、いいとこ三割でしょう」
「三割!? 街ごとぶっ飛ばした連中ですら三割って・・・」
三割という所よりも後ろが引っかかったらしい。
「やらかしたとはなんですか!? 私はやる事やっただけですよ!?」
・・・。
「「プッ」」
お互い軽く笑い合う。
「なんだかいい距離感だな」
「そうですね。とても居心地がいいです」
この瞬間、俺はやっとエリスの事をもっと知りたいと思えたかもしれないな。
~~~~~~~~~~~~~~~
ディナーを終えて俺が部屋に戻った後、エリスにはゼルヴィン卿から作戦内容の通達があったらしい。・・・なぜらしいかと言うと精霊伝達網、通称STNというものを使っているらしいから俺に行き届かず、〈念話〉を使って伝えてくれたからだ。
作戦内容は教えてくれなかった。俺は〈念話〉を使えないから部屋の電話を使うため城に履歴が残るそうだ。そこまでしなくてもと思うが、情報漏洩を抑えたいのだとか。・・・俺が思うよりも一枚岩では無いのだろう。
現在十二時頃。アディルは工房に居るので俺は電気を消してベッドで一人ゴロゴロしている。・・・疲れたな。
「寝ようか・・・」
「おいおい。まだ寝るんじゃねーよ」
うおっ!
・・・アディルか。
「もう眠い。夜遊びは俺抜きで行ってこい」
アディルはやれやれと首を振る。
「ちげーよ。明日じゃ調整が遅れるから少し来いってんだ」
「調整?」
「とりあえず工房に来いよ。話はそれからだ」
そう言ってアディルは〈転移門〉の中に消えていく。
俺はスリッパを履いて門の中に入った。
すると2000年代を思わせる出来栄えの地下室が俺の前に現れた。
工場を思わせる機械の山々、壁には神々しい剣や炎のオーラを放つ斧と言った武器が多数存在しており、奥行は外から見たあの鍛冶屋とは思えない程の広さだ。
「ここがクロウズナイト工房の最奥部だ。過去の記憶から現代の機械を再現し、効率的な製造を行っている」
「記憶からって・・・。ほぼイメージだけじゃん。それで作れたってのか?」
「そこは俺の特殊能力、『情報構築』を使ったぜ」
特殊能力? また分からない単語が出てきたな。
アディルは俺の顔を見て察したらしい。
「特殊能力ってのは魔法とは違う別の能力だ。その能力は多種多様、千差万別、百人百様で人それぞれだ」
コイツ・・・。ただ四字熟語使いたいだけだろ。
「特殊能力には再使用時間があったり、一時間に何回かとか色々あってだな・・・」
「オーナー! サンプル1出来ましたよ~!」
「おう! 今行く! ・・・また後で説明するな」
奥からペテルの声が聞こえた。・・・半日ぶりだな。
俺達がペテルの元に行くと机の上は、たくさんの〈魔法画面〉があった。そして白く輝く銃弾が八弾と一丁の銃が。
「こちら試験型魔法銃弾が八弾、同じく試験型の魔法拳銃、ベレッタMCです」
「Thank you!」
深夜テンションだからだろうか。アディルが前の世界の性格に戻っている。
それよりもこっちの方が気になる。
「これは? ・・・ベレッタか?」
「おうとも! ・・・あ、ほらお前のだ」
そう言って俺にベレッタを返してくれる。
「魔力を込めたミスリル弾丸と、それに耐えうる強度のベレッタだ。魔法強化してあるからMCだな」
アディルは俺にベレッタMCを手渡してくれた。
「軽い・・・」
最初に握って思った事は通常の拳銃とは比べ物にならないくらい軽いという事だ。
「ほれ。マガジン」
「お、おう」
「一発撃ってみろ。あの的に」
アディルは入口の隣にあるダーツの的に指を指す。・・・お前工房で何してんだよ。
「とりあえずやってみるか」
俺はマガジンを差し込み、いつもの手順をふんで引き金を引く。
「うおっ!」
銃口から勢い良く飛び出したのは炎の球体。銃口よりも一回り大きいが、ほぼ発砲時の銃弾と同じ速度で的へと一直線。そして爆散。
「どうだ? 擬似的な魔法の使い心地は」
「火力すっげ。サンキューな」
アディルは気前がいいことで、専用のホルスターを作ってくれたようだ。
「マジで嬉しいわ」
ホントに嬉しい。いや、擬似的でも魔法だぞ? テンション上がるに決まってるだろ。
それを聞いたアディルはペテルに声をかける。
「ペテル! 今すぐに銃弾を量産しろ!」
「はい!」
ペテル・・・。社畜かな?
~~~~~~~~~~~~~~~
「ベルキューアさん、今回の協力で私の目的は達成されます。今までありがとうございました」
日付が回る寸前、私はベルキューアさんの部屋に向かい、直接声をかけに行きました。
急に押しかけて、こんな話してますからベルキューアさんは相当困惑してます。
「どした急に? いつもの事だろ?」
「そうではないんです。今回は私の人生の分岐点です。たった2年の復讐劇だと言われるかも知れませんが、私にとってはこれが全てでした」
「人生の分岐点なんて毎日訪れるぞ? たった一日で幾つもの選択肢を選んでここに来ている。現に、復讐をすると選択して来たのはエリスだしな」
「そういう事では・・・」
分かってる、とベルキューアさんは呆れた様に言います。
「今、話したいのはそういう事じゃねーだろ? ・・・つまり今回の一件が終わったら縁を切りたいという事だな?」
よく分かってます。これで15歳だとはとても思えませんね。
「もちろん私が生きていればの話ですが、これ以上私と付き合えば面倒事ばかりです。ですのでこれ以上・・・」
「今更だぜ。これまでも何処かに行くたびに面倒事。ならこれからも変わらない。・・・なら楽しい方に行くのが筋ってもんだろ?」
ベルキューアさんはこういう人でしたね。一つ一つの出来事を楽しく生きています。・・・私とは違いますね。
「私は言いましたよ。後悔は・・・。ベルキューアさんには無いでしょうけど」
ベルキューアさんはにぱっと笑う。
「当たり前だ! それにエリスといて後悔はしないって知ってっからな! これ以上、じゃなくてこれからだ!」
「そうですね。・・・夜遅くにすみませんでした。ではまた明日。おやすみなさいませ」
「おう! 明日、がんばろーぜ!」
私は部屋を後にしました。
出来ればベルキューアさんを巻き込みたくありませんでした。・・・と、私は自分の部屋に戻りながら考えていました。
ベルキューアさんは頭がキレれます。しかし交渉戦は得意としてません。正直、付き合いの長いベルキューアさんをこの後の事に巻き込む事はあまりいい事では無いでしょう。
「ですがベルキューアさんは私に付いてきてくれると言ってくれました」
ベルキューアさん自身が楽しむため。それはそれで楽しい生き方です。少し憧れますね。
「これが終わったら自分らしい生き方を探してみるのも面白いかも知れませんね」
どの道、明日が全てです。生きるか死ぬか、そのどちらか。
私は部屋の扉を開け、ベッドに横たわります。
「・・・出来ることはしたと思います。あとは全力でぶつかるだけですね」
さて、頑張ります。見てて下さいね、父さん。
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