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一章 スタートライン
会議
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午後7時。俺は会議を行う大会議室に来ていた。
とても広く、縦長。美しい大理石の壁の形に添うようなテーブルの上には何枚かの紙が置かれている。今この部屋に居るのは今も慌ただしく走る複数の官僚に、既に椅子に座っている見知った顔。エリス、ベル、それと一番前の司会席に座っている金髪の女性だ。
「おいおせーぞ。五分前行動が日本人の美徳だろ?」
アディルがニヤつきながら腰掛けている。・・・これだけ見るとカッコイイんだけど中身が中身だからな。
「すまん」
ギリギリになったのは俺が悪い。アイス二本目でお腹を下したのだ。恥ずかしっ。
いやここのアイスがいけないのだ。単純に美味すぎる。・・・ああ。考えてたらもう一本食べたくなってきた。
「早く座りましょうよ。お昼食べてないのでお腹が空きました」
「あ、ああ。すまん」
終始マイペースだな。エリスは。
こうして俺はエリスの隣に座る。
・・・しばらくすると浴衣姿のバジステラさんと、数人のスーツ姿の秘書を連れて部屋に入ってきた。いや、爺さんはもっとちゃんとした姿で来いよ。
「1時間ぶりじゃのう。レクト殿」
「こんばんは」
挨拶をして爺さんは俺と反対側の席に座る。何故隣じゃないんだろう。
「今はエール・ゼルヴィンの領主として来てますから。私達とは立場が違います」
エリスが耳打ちで伝えてくる。・・・だったら余計に浴衣姿で来るなよ。
「ゼルヴィン卿。先程はありがとうございました。・・・少々手加減して頂いても良かったのですがね」
今までデスクワークをしていた金髪の女性が爺さんに話しかける。
「ホッホッ。伯爵殿、ワシも手加減したのじゃがな。それにあれくらいしないと殲滅出来ないじゃろ」
どうやらあの人がアリスティア伯爵のようだ。
まだ慌ただしく走る官僚達を見るとまだ時間がかかる様だ。
「こちら本日の前菜、モッツァレラと紅芯大根のカラバ仕立てでございます」
まあゆっくりしながらこの豪華なディナーを楽しむとしよう。
~~~~~~~~~~~~~~~
俺達の食事が終わり、8時頃。空いていた席が全て埋まり、やっと会議が始まろうとしていた。夕食、もっとゆっくり食べてたかったな。それに眠くなってきた・・・
「四階の大ホールにバイキングがありますから終わってまだやっていたら行きましょう」
「そうだな」
・・・さっきから見透かされてるのが気になるな。
『では今回のエルフィム悪魔襲撃事件についての緊急会議を始めたいと思います。司会は私、アイクレルト王国防衛省人外襲撃対応課所属の審議官タナシス・ロウェンが努めさせて頂きます』
マイクを持ったスーツの女性審議官が今回の司会らしい。
俺は誰がどの役職かは分からないからな。あまり喋る事は無さそうだし黙って見ておこう。
『まず、復興金等を先に話しておきましょう。資料の3ページをご覧の通り、復興金は国金から1360億7000万マルク程が寄付されると上が決定しました』
1360億マルクってドル換算すると13億ドル、日本円だとそのまま1360億円だろ? そんなに渡してもいいのか?
『そして再発防止の防衛金として15億マルク、錬金術師や鍛冶師等の魔法師を約1800人程派遣されます。更にここは貿易特区ですので補償金がでます。我々の明日から復興を開始すると大体2週間程で以前の状態に戻せると思われますが、可能ですよね?』
「ええ。問題無いわ」
タナシスの問いかけにアリスティアが髪を弄りながら答える。
本当に2週間でいいのか? まあここは素人が言っても仕方がない。
『次に今回の事件の発端です。誰が心当たりがある方は挙手をお願いします』
ここですっとエリスが手を挙げる。
「悪魔の襲撃の理由は主に私が狙いでした。それと商業都市ですので物資の略奪等で経済面でのダメージです。これは私が三柱の一角であるカマエルの記憶を覗いたので間違いないでしょう」
周囲から感嘆の声が上がる。しかしバジステラさんは別だ。
「じゃが、この資料にはカマエルを取り逃したと書かれておる。セクトルス卿であれば間違い無く勝ちを取れる相手じゃ」
その声にエリスは驚いて目を見張る。だが、その仕草はいつもより大袈裟だ。
「おや心外ですね~。私はいつも全力ですよ?」
「ホッホッ。それで信じるほどワシは落ちぶれておらんぞ? ・・・教えて貰おうかの。何故逃がした?」
エリスは少しため息をついてから話し出す。
「私の目的は単純ですよ? アムネルを殺す事だけです。ですので彼女にはアムネルの精神状態を少しでも乱すために生きて帰って貰う必要がありました。それにアムネルに身の危険を少しでも感じさせるためにですね」
・・・分からん。
「それに私が去り際に付けたビーコンを彼女がそのままで帰ってくれた事で敵の拠点も分かりましたし」
その瞬間会場がザワつく。
「なるほど。理解したぞ」
『セクトルス卿。敵の拠点は何処にありますか?』
この場にいる全員がエリスに注目する。・・・隣に俺がいるせいで俺に視線が来ている感じがしてムズムズするな。
「この街の南門から南に40キロ程の山の中ですね。一応記憶からも分かっていたことですが、それだけでは確証が持てませんでしたね」
その言葉を皮切りに席に着いていない秘書達が慌てて動き出した。三十年前に現れた超級種悪魔の拠点が分かったのだ。すぐに伝達しない訳が無い。
しかしその危険性を理解している人物がいた。
「〈念話封鎖〉」
その一人、バジステラさんは魔法を使った。どうやら〈念話〉を使えなくする魔法の様だ。
「待たんか。向こうに漏れるの恐れがあろう。この情報はこの場で留めておくのじゃ」
それを見たエリスがクスクスと笑う。
「残念ながら既に一人混じってますよ?」
エリスは一番出口に近い男に目を向ける。その男はアリスティア伯爵の秘書だ。
「っ!?」
「〈龍雷の雨〉」
会議室での無遠慮な魔法。エリスから放たれた雷の龍が男に向かって一直線。
「ガアァァァ!」
男は雷を喰らい絶叫を上げ倒れ付す。そこから普通の顔の男から悪魔のへと変化する。
「ホッホッ。セクトルス卿は短気過ぎじゃよ。もう少し焦らずゆっくり暴いても良かったじゃろ」
その言い方だと爺さんは気づいていたのか。
「私の視界に悪魔がいる時点で憎たらしくなりますよ。早急に消毒です」
エリスって悪魔の事になると厳しくなるよな。こわいこわい。
爺さんが悪魔に近寄っていき、悪魔の髪を掴み持ち上げる。
「それでじゃ。ワシは拷問でもいいのじゃがこんな所にいる木っ端悪魔なぞ大した情報なぞ持っておらんじゃろ」
そう言って爺さんは横に細長い〈転移門〉を出す。
ズバン!
〈転移門〉からは水が飛び出した。そのまま悪魔の体を斜めに真っ二つに切り裂く。ジャバジャバと濡れる水からは塩の匂いがするため海水だろう。その海水が血の匂いを打ち消してくれている。
その後、死体等は〈転移門〉に吸い込まれていく。どこかに飛ばした様だ。
「はぁぁ」
ため息をついたのはアリスティア伯爵だ。序列上位連中の暴れっぷりに呆れたのだろう。
「深海に〈転移門〉を繋ぎ、水圧を利用したウォーターカッターですか。先人は知恵が豊富ですね」
そこかよ。
「ゴホン。今問題なのは何故ここに悪魔がいるかじゃよ。それに今の秘書は伯爵のじゃな? どうして悪魔が秘書をやっておるのかのう。・・・もしかして黒幕は伯爵本人かの?」
「っ! 違うわ! 私も気が付かなかったの!」
そう言っても周囲からの疑いは晴れることは無い。
すると爺さんは楽しげな笑みを浮かべた。
「ホッホッ。冗談じゃよ。招き入れるメリットが無いし、元々捕まっておる事は知ってたしのう」
爺さんは〈転移門〉を開き、気絶している先程と同じ男を運び出した。
「・・・そうでしたか。気を取り乱してしまい申し訳ございませんでした」
「よいよい。貸一つじゃよ」
アリスティア伯爵の顔が険しくなる。・・・アディルが寝てるな。頼むから起きてくれ。
「おや。今回はゼルヴィン卿の戦略勝ちですかね」
「セクトルス卿、何を言っておるのかの?」
今度はエリスが主導権を握る。
「まず、復興に2週間という所ですが明らかに短いですね。最低でも倍はかかります。ですので伯爵は周囲の領主から援助を要請する必要があります。・・・アリスティア伯爵、あまり強がらなくてもいいですよ」
伯爵は歯を噛み締める。図星の様だ。
「そしてこの会議の流れから行くと次の話題は敵拠点の襲撃作戦でしょう。ここでゼルヴィン卿が私達に協力しないと言えば、十中八九戦力の足りない私達から協力を要請します。ここで私達から借りを作れますね」
「よく分からないのう。だからと言ってその他の選択肢は無いじゃろ? 少しの借りくらい問題無いはずじゃ」
「別に私は貸しを作る事に文句は無いです。ですから言ったじゃないですか。ゼルヴィン卿の勝ちだと」
会議の流れを全て読み切る爺さんに、完璧なな推理を行うエリス。・・・ホントに一言も?喋る機会無さそうだな。
「司会者を置いて申し訳ございませんが、作戦実行のメンバーは私、レクトさん、ベルキューアさん、アディルさん、そしてゼルヴィン卿の五人で行います。異論がある方は出てきてください。私が物理的に納得させてあげます」
エリスは会議室にいる全員を脅した。不満はある。だが反論出来るわけが無い。なぜなら相手が雷閃の魔女だから。それだけだ。
「会議前に食事を出して思考力の低下を狙ったのも良い戦略だと思いますよ。それに微量の魔法睡眠薬も使っていましたね。ですが、私達に対してはあまり通じませんね」
こうしてエリスは席を立つ。まあ、俺も眠いし効果は覿面だと思うけどな。
「私の要件はこれで全てですので上のバイキングに行ってきます。・・・アリスティア伯爵も安心してください。相手が悪かっただけですよ」
それを言ったエリスは隣の俺に行きますよ、と耳打ちして外へ出ていく。
俺もエリスを追って会議室を後にした。
とても広く、縦長。美しい大理石の壁の形に添うようなテーブルの上には何枚かの紙が置かれている。今この部屋に居るのは今も慌ただしく走る複数の官僚に、既に椅子に座っている見知った顔。エリス、ベル、それと一番前の司会席に座っている金髪の女性だ。
「おいおせーぞ。五分前行動が日本人の美徳だろ?」
アディルがニヤつきながら腰掛けている。・・・これだけ見るとカッコイイんだけど中身が中身だからな。
「すまん」
ギリギリになったのは俺が悪い。アイス二本目でお腹を下したのだ。恥ずかしっ。
いやここのアイスがいけないのだ。単純に美味すぎる。・・・ああ。考えてたらもう一本食べたくなってきた。
「早く座りましょうよ。お昼食べてないのでお腹が空きました」
「あ、ああ。すまん」
終始マイペースだな。エリスは。
こうして俺はエリスの隣に座る。
・・・しばらくすると浴衣姿のバジステラさんと、数人のスーツ姿の秘書を連れて部屋に入ってきた。いや、爺さんはもっとちゃんとした姿で来いよ。
「1時間ぶりじゃのう。レクト殿」
「こんばんは」
挨拶をして爺さんは俺と反対側の席に座る。何故隣じゃないんだろう。
「今はエール・ゼルヴィンの領主として来てますから。私達とは立場が違います」
エリスが耳打ちで伝えてくる。・・・だったら余計に浴衣姿で来るなよ。
「ゼルヴィン卿。先程はありがとうございました。・・・少々手加減して頂いても良かったのですがね」
今までデスクワークをしていた金髪の女性が爺さんに話しかける。
「ホッホッ。伯爵殿、ワシも手加減したのじゃがな。それにあれくらいしないと殲滅出来ないじゃろ」
どうやらあの人がアリスティア伯爵のようだ。
まだ慌ただしく走る官僚達を見るとまだ時間がかかる様だ。
「こちら本日の前菜、モッツァレラと紅芯大根のカラバ仕立てでございます」
まあゆっくりしながらこの豪華なディナーを楽しむとしよう。
~~~~~~~~~~~~~~~
俺達の食事が終わり、8時頃。空いていた席が全て埋まり、やっと会議が始まろうとしていた。夕食、もっとゆっくり食べてたかったな。それに眠くなってきた・・・
「四階の大ホールにバイキングがありますから終わってまだやっていたら行きましょう」
「そうだな」
・・・さっきから見透かされてるのが気になるな。
『では今回のエルフィム悪魔襲撃事件についての緊急会議を始めたいと思います。司会は私、アイクレルト王国防衛省人外襲撃対応課所属の審議官タナシス・ロウェンが努めさせて頂きます』
マイクを持ったスーツの女性審議官が今回の司会らしい。
俺は誰がどの役職かは分からないからな。あまり喋る事は無さそうだし黙って見ておこう。
『まず、復興金等を先に話しておきましょう。資料の3ページをご覧の通り、復興金は国金から1360億7000万マルク程が寄付されると上が決定しました』
1360億マルクってドル換算すると13億ドル、日本円だとそのまま1360億円だろ? そんなに渡してもいいのか?
『そして再発防止の防衛金として15億マルク、錬金術師や鍛冶師等の魔法師を約1800人程派遣されます。更にここは貿易特区ですので補償金がでます。我々の明日から復興を開始すると大体2週間程で以前の状態に戻せると思われますが、可能ですよね?』
「ええ。問題無いわ」
タナシスの問いかけにアリスティアが髪を弄りながら答える。
本当に2週間でいいのか? まあここは素人が言っても仕方がない。
『次に今回の事件の発端です。誰が心当たりがある方は挙手をお願いします』
ここですっとエリスが手を挙げる。
「悪魔の襲撃の理由は主に私が狙いでした。それと商業都市ですので物資の略奪等で経済面でのダメージです。これは私が三柱の一角であるカマエルの記憶を覗いたので間違いないでしょう」
周囲から感嘆の声が上がる。しかしバジステラさんは別だ。
「じゃが、この資料にはカマエルを取り逃したと書かれておる。セクトルス卿であれば間違い無く勝ちを取れる相手じゃ」
その声にエリスは驚いて目を見張る。だが、その仕草はいつもより大袈裟だ。
「おや心外ですね~。私はいつも全力ですよ?」
「ホッホッ。それで信じるほどワシは落ちぶれておらんぞ? ・・・教えて貰おうかの。何故逃がした?」
エリスは少しため息をついてから話し出す。
「私の目的は単純ですよ? アムネルを殺す事だけです。ですので彼女にはアムネルの精神状態を少しでも乱すために生きて帰って貰う必要がありました。それにアムネルに身の危険を少しでも感じさせるためにですね」
・・・分からん。
「それに私が去り際に付けたビーコンを彼女がそのままで帰ってくれた事で敵の拠点も分かりましたし」
その瞬間会場がザワつく。
「なるほど。理解したぞ」
『セクトルス卿。敵の拠点は何処にありますか?』
この場にいる全員がエリスに注目する。・・・隣に俺がいるせいで俺に視線が来ている感じがしてムズムズするな。
「この街の南門から南に40キロ程の山の中ですね。一応記憶からも分かっていたことですが、それだけでは確証が持てませんでしたね」
その言葉を皮切りに席に着いていない秘書達が慌てて動き出した。三十年前に現れた超級種悪魔の拠点が分かったのだ。すぐに伝達しない訳が無い。
しかしその危険性を理解している人物がいた。
「〈念話封鎖〉」
その一人、バジステラさんは魔法を使った。どうやら〈念話〉を使えなくする魔法の様だ。
「待たんか。向こうに漏れるの恐れがあろう。この情報はこの場で留めておくのじゃ」
それを見たエリスがクスクスと笑う。
「残念ながら既に一人混じってますよ?」
エリスは一番出口に近い男に目を向ける。その男はアリスティア伯爵の秘書だ。
「っ!?」
「〈龍雷の雨〉」
会議室での無遠慮な魔法。エリスから放たれた雷の龍が男に向かって一直線。
「ガアァァァ!」
男は雷を喰らい絶叫を上げ倒れ付す。そこから普通の顔の男から悪魔のへと変化する。
「ホッホッ。セクトルス卿は短気過ぎじゃよ。もう少し焦らずゆっくり暴いても良かったじゃろ」
その言い方だと爺さんは気づいていたのか。
「私の視界に悪魔がいる時点で憎たらしくなりますよ。早急に消毒です」
エリスって悪魔の事になると厳しくなるよな。こわいこわい。
爺さんが悪魔に近寄っていき、悪魔の髪を掴み持ち上げる。
「それでじゃ。ワシは拷問でもいいのじゃがこんな所にいる木っ端悪魔なぞ大した情報なぞ持っておらんじゃろ」
そう言って爺さんは横に細長い〈転移門〉を出す。
ズバン!
〈転移門〉からは水が飛び出した。そのまま悪魔の体を斜めに真っ二つに切り裂く。ジャバジャバと濡れる水からは塩の匂いがするため海水だろう。その海水が血の匂いを打ち消してくれている。
その後、死体等は〈転移門〉に吸い込まれていく。どこかに飛ばした様だ。
「はぁぁ」
ため息をついたのはアリスティア伯爵だ。序列上位連中の暴れっぷりに呆れたのだろう。
「深海に〈転移門〉を繋ぎ、水圧を利用したウォーターカッターですか。先人は知恵が豊富ですね」
そこかよ。
「ゴホン。今問題なのは何故ここに悪魔がいるかじゃよ。それに今の秘書は伯爵のじゃな? どうして悪魔が秘書をやっておるのかのう。・・・もしかして黒幕は伯爵本人かの?」
「っ! 違うわ! 私も気が付かなかったの!」
そう言っても周囲からの疑いは晴れることは無い。
すると爺さんは楽しげな笑みを浮かべた。
「ホッホッ。冗談じゃよ。招き入れるメリットが無いし、元々捕まっておる事は知ってたしのう」
爺さんは〈転移門〉を開き、気絶している先程と同じ男を運び出した。
「・・・そうでしたか。気を取り乱してしまい申し訳ございませんでした」
「よいよい。貸一つじゃよ」
アリスティア伯爵の顔が険しくなる。・・・アディルが寝てるな。頼むから起きてくれ。
「おや。今回はゼルヴィン卿の戦略勝ちですかね」
「セクトルス卿、何を言っておるのかの?」
今度はエリスが主導権を握る。
「まず、復興に2週間という所ですが明らかに短いですね。最低でも倍はかかります。ですので伯爵は周囲の領主から援助を要請する必要があります。・・・アリスティア伯爵、あまり強がらなくてもいいですよ」
伯爵は歯を噛み締める。図星の様だ。
「そしてこの会議の流れから行くと次の話題は敵拠点の襲撃作戦でしょう。ここでゼルヴィン卿が私達に協力しないと言えば、十中八九戦力の足りない私達から協力を要請します。ここで私達から借りを作れますね」
「よく分からないのう。だからと言ってその他の選択肢は無いじゃろ? 少しの借りくらい問題無いはずじゃ」
「別に私は貸しを作る事に文句は無いです。ですから言ったじゃないですか。ゼルヴィン卿の勝ちだと」
会議の流れを全て読み切る爺さんに、完璧なな推理を行うエリス。・・・ホントに一言も?喋る機会無さそうだな。
「司会者を置いて申し訳ございませんが、作戦実行のメンバーは私、レクトさん、ベルキューアさん、アディルさん、そしてゼルヴィン卿の五人で行います。異論がある方は出てきてください。私が物理的に納得させてあげます」
エリスは会議室にいる全員を脅した。不満はある。だが反論出来るわけが無い。なぜなら相手が雷閃の魔女だから。それだけだ。
「会議前に食事を出して思考力の低下を狙ったのも良い戦略だと思いますよ。それに微量の魔法睡眠薬も使っていましたね。ですが、私達に対してはあまり通じませんね」
こうしてエリスは席を立つ。まあ、俺も眠いし効果は覿面だと思うけどな。
「私の要件はこれで全てですので上のバイキングに行ってきます。・・・アリスティア伯爵も安心してください。相手が悪かっただけですよ」
それを言ったエリスは隣の俺に行きますよ、と耳打ちして外へ出ていく。
俺もエリスを追って会議室を後にした。
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