私の血を理由に婚約破棄を告げてきました。~いやいや、その件に関しては前もって説明しましたよね!?~

四季

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前編

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 遠い先祖に泥族がいる私は、婚約者であるアーノットからある日突然告げられる。

「お前との婚約だが、破棄とすることにした」

 まさかの言葉に言葉を失った。

「理由は一つ、お前に泥族の血が流れているからだ」

 私はこれまで彼に対して嘘をついたことはない。泥を自由自在に操る泥族が先祖にいるということだって婚約前に告げた。その時彼は、それでもいい、と言ったのだ。だからこそ婚約した。

 なのになぜ今になって……。

「本当にそれが理由ですか?」
「何だと?」
「もっと他の理由があるのではないですか、本当は」

 するとアーノットは少し黙ったが。

「ああ、この際言おう。理由は実はもう一つある。それは――お前以上に愛する人ができたということだ」

 やはり、と納得。

「では泥族うんぬんは関係ないですよね」
「ある!」
「そうですか?」
「泥族の血を引いているからと差別はしない、が……やはり、できるなら穢れなき血の女が良いということは事実だ」

 そうだろうか?
 本当にそれは『差別していない』のだろうか?

 というより、血が嫌なら婚約前に言ってくれ。

 後出しはずるい。
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