「君は僕には相応しくない、そう判断した」ですか、失礼ですね。……ま、どうでもいいですよ。何とでも言っていれば良いのです。

四季

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前編

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「君は僕には相応しくない、そう判断した」

 婚約者エールよりある日突然告げられた言葉。
 それはどこまでも冷ややかで心ないものであった。

「え……」
「言語が分からないというのか? そこまで馬鹿なのか?」
「いえ、そうではありませんが」
「なら何なんだ」
「あまりにもいきなりで、戸惑いました」
「はーぁ、そういうことか」
「はい。それで、本題は何ですか?」

 すると彼は大きく息を吸って。

「婚約は破棄とすることにした」

 そう述べた。

 それはまるで冬の風が吹き抜けてゆくかのよう。
 唐突にやって来て身も心も冷やされる。

「いいな?」
「えっ……」
「理由が知りたいか?」
「はい」

 一応そう言ってみれば。

「生意気だな。だがまぁいい、言ってやろう。君が僕に相応しいというのはだな、君が僕のレベルに追いついていないということだ。君のレベルの女性が僕と共に生きてゆく権利を得るということは不可能に近いことなのだ、どうしても関係を続けたいのなら必死に努力し奉仕し続けなくては」

 彼はとんでもない勢いで多くの文章を並べた。

「本気……なのですか? エールさん」
「当たり前だろう!」
「……はい分かりました。ではこれにて。さようなら、ということですね」
「ああそうだ」

 こうしてエールとの関係は終わりを迎えてしまったのであった。

 他者に対してレベルとか何とか言うというのは失礼な気がするのだが――しかしここで私があれこれ言っても無意味だろう、だから流しておくことにした。
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