「君は僕には相応しくない、そう判断した」ですか、失礼ですね。……ま、どうでもいいですよ。何とでも言っていれば良いのです。

四季

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後編

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 ◆


 あれから数年が経った。

 今年の夏は幸せの夏。
 暑いのは辛いがそれを超えるほどの幸福がここには在る。

「ウィッシュ! これ運んでもらっていい?」
「あ、うん! いいよー。運んできまーっす!」
「ありがとう、いつも」
「いーえいーえ! 全然気にしないで! 行ってきまーす」

 婚約破棄された直後に出会った郵便屋の青年ウィッシュ、彼こそが我が夫である。

 彼はたまにおっちょこちょい。余計なことをしてしまったり、何でそうなったのみたいなやらかしをしたり、少々不安になるような行動をすることもあるけれど。でもそれは欠点なだけではない。そういうところを含めて可愛いと思う、そんな要素もあるのだ。また、やらかすと言っても他人を傷つけるようなやらかしではないので、その辺りは善良なほうだと思う。

 ウィッシュはとても大切な人だ。

 これまでこんな風に思ったことはない――堂々とそう言えるくらい、彼は私にとって特別な存在である。

 ちなみにエールはというと。
 あの後複数人の女性と親しくしていてそのことが些細なきっかけで全員にばれてしまい、女性全員から暴言を吐かれたうえ殴られたり鞭で打たれたりしたそうだ。
 命までは取られなかったようだが。
 しかしながらその件によって彼は恥をかき、また、多くの人たちから「何人もに同時に手を出すようなみっともない男」と言われ――それによって彼は評判を大きく低下させたそうだ。

 彼にはもう称賛はない。

 彼に向けられるのは呆れと見下しだけである。

 私は幸せになれた。
 彼は幸せを掴めなかった。

 私たちは、真逆の今を手に入れた。


◆終わり◆
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