2 / 2
後編
しおりを挟む
運が悪く、一日中なぜかルジェベリアと話せなかったミルナは、いじけながら宿泊所の女湯へと向かった。入り口の扉を開け、一歩踏み込むと、湯船の方へ向かおうとしているルジェベリアの姿が視界に飛び込んでくる。
「あっ! ルジェベーー」
話せる、と喜んだのもつかの間、たまたま地面に落ちていた固形石鹸で足を滑らせてしまう。
「……大丈夫か」
「あ」
ミルナは何とか転倒せずに済んだ。
というのも、ルジェベリアが咄嗟に支えてくれていたのである。
「気をつけた方がいい。風呂場は滑りやすいし、ここはなぜか固形石鹸がよく落ちている」
「う……うん。気をつける」
その後、ミルナはルジェベリアと共に湯船に浸かることとなった。
「どうしてあんなに暗い顔をしていた?」
ミルナはルジェベリアのうなじに見惚れている。
「え……。な、何の話……?」
「ここへ入ってきた時。随分不満げな顔をしていたが、何かあったのか」
「う……ううん。何もない」
「そうとは思えない。本当のことを言ってくれ」
少し黙った後、ミルナは口を開く。
「……寂しかったの。その……ルジェベリアと、話せなかった……から……」
ようやく本心を口にすることができたミルナの頭頂部を、ルジェベリアはぽんと軽く叩く。
「そういうことか」
ルジェベリアはふっと笑みをこぼしていた。
◆終わり◆
「あっ! ルジェベーー」
話せる、と喜んだのもつかの間、たまたま地面に落ちていた固形石鹸で足を滑らせてしまう。
「……大丈夫か」
「あ」
ミルナは何とか転倒せずに済んだ。
というのも、ルジェベリアが咄嗟に支えてくれていたのである。
「気をつけた方がいい。風呂場は滑りやすいし、ここはなぜか固形石鹸がよく落ちている」
「う……うん。気をつける」
その後、ミルナはルジェベリアと共に湯船に浸かることとなった。
「どうしてあんなに暗い顔をしていた?」
ミルナはルジェベリアのうなじに見惚れている。
「え……。な、何の話……?」
「ここへ入ってきた時。随分不満げな顔をしていたが、何かあったのか」
「う……ううん。何もない」
「そうとは思えない。本当のことを言ってくれ」
少し黙った後、ミルナは口を開く。
「……寂しかったの。その……ルジェベリアと、話せなかった……から……」
ようやく本心を口にすることができたミルナの頭頂部を、ルジェベリアはぽんと軽く叩く。
「そういうことか」
ルジェベリアはふっと笑みをこぼしていた。
◆終わり◆
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる