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1話
しおりを挟む言葉にできないほど澄んで美しい青空の下、告げられたのは。
「君との婚約は破棄とするよ」
婚約者の青年メタストフルからのお別れの言葉であった。
私たちが出会ったのは一年ほど前。
晩餐会で彼が声をかけてくれたのが最初だった。
それからアプローチを受けるようになり、私自身はそれほど乗り気でもなかったのだが周囲が彼を推したこともあって、気づけば婚約者同士となっていた。
してやられた感も多少あったけれど……。
でも、彼は私を愛してくれているのだとは感じていたし、だからこそ私も彼を愛せるようになろうと思って歩いてきて――今では彼を大切な人だと思えるところまで彼への感情を育てられている。
なのに、まさかの婚約破棄宣言。
……これは一体どういうこと?
「気づいたんだ、俺は愛されていなかったのだと」
「え……? お願い、待って、一体どういうこと……?」
困惑していると。
「嫌いだと言いふらしていたんだろう!!」
急に叫ばれた。
「え……」
出てきた言葉が理解できないものだったので音一つしかこぼせなかった。
だってそうだろう? いきなり意味が分からないことを叫ばれて。何が何だか分からない、でも彼は追い詰まっているみたい。そんな時、冷静に言葉を紡げる? それも即座に。……そんなのは無理だろう。俳優ならできるのかもしれないが、少なくとも、一般人である私には無理だ。いや、大抵の人には無理だろう。いや、逆に、この状況でささっと言葉を紡げたとしても……そんなのは嘘くさいではないか?
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