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前編
しおりを挟むあの日、婚約者アバロンが見知らぬ女を連れていかがわしい場所へ入っていくのを見てしまって、それから――私はもう彼を、否、この世のすべての男性を信じられなくなった。
彼との婚約はその後破棄となった。
あんなところを見てもなお続いていくような関係ではなかったのだ。
……終わりは必然だったのだと思う。
アバロンは後に既婚女性に手を出す行為を繰り返したことで国家警備隊に目をつけられ、十件目で拘束された。そして数年の労働の後、反省の色がまったく見られなかったために更生施設という名の黒い箱庭へ送られ、広く知られぬ環境にて処刑された。
そう、あの時私を傷つけた男は既にこの世にはいないのだ。
「ねえルル、今何考えてるの?」
――そう声をかけてきたのはこの国の王女メリッサ、とても美しい齢二十の娘だ。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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