品があるような振る舞いをしている女性に惹かれ、婚約者が婚約破棄を告げてきました。～騙されてません？ まぁ構いませんけど～

１話

それはある夏の日のこと。
　婚約者である彼ボンバースに呼び出されたので、指定の通り、彼の自宅へ行った。

　すると。

「今日は彼女を紹介しようと思って」

　彼の隣には上品ぶっている若い女性。恐らくボンバースより三つくらいは年下だろう。無垢ながら品があるような振る舞いをしているが、その動きにはぎこちなさがあって、それが彼女の本性ではないとすぐに分かった。

　もっとも、ボンバースは気づいていないようだが。

「僕は彼女を愛している」

　彼はさらりとそんなことを言う。

「なので、君との婚約は破棄することとする」

　さらにそこまではっきりと言ってのけた。